【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則 18の条件

【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則 18の条件

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ラグジュアリーブランドは通常のブランドとは正反対のマーケティングで利益をあげている

 

従来型の企業のマーケティングは、非常に明確に出来ており、様々なマーケティング手法が企業で実践され、売上を上げる手段として日々使われている。通常のマーケティング活動は、ラグジュアリーとは正反対の位置にあるという。

例えば、自分たちのブランドの立ち位置が、通常のブランドで、より高額な商品を売りたいと考える場合、ターゲットとなる顧客が「自分へのご褒美を求める言い訳で高いモノを買う」という本質を突き、マーケティングをする事は正しいが、ラグジュアリーの場合は全然違うものという。

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その場合、ブランドを選ぶ顧客の属性は、社会階層の高い人々を惹きつけているのではなく、一般階層に向けられた、少し経済力のある人々に向いており、購入平均単価を押し上げ、ブランドの収益性の改善をする程度である。一方、ラグジュアリーとなる為には、高額な商品という認識は顧客にはなく、元々多くの人々には高額であるが、それを買える人々にとってはあまり高くないと感じさせているのが、ラグジュアリーと言えるだろう。

個人的な見解で言えば、フェラーリというブランドは、通常多くの人々には高額に映るが、買える人々から見れば、あまり高額には映っておらず、適正価格と映っているものである。毎年一定台数を生産しながらも、いつも完売している状態から見ても、通常のマーケティングではない「他社にない独自性」のあるマーケティングを以て、売り切ってしまうのである。

実はラグジュアリーブランドも、底辺に限られるが、従来型のマーケティングを使っている。それは安価なファストファッションの台頭において、垣根がなくなってきたからに他ならない。ラグジュアリーブランドが通常のマーケティングを使う場合、ラグジュアリーから派生したライセンス契約品やアクセサリー、他のブランドを使った共通する基幹モデル、ファストファッションとのコラボレーション商品、小物・香水や化粧品における比較的安価な入門モデルに限られている。

安価に提供され、通常のマーケティングで使用された分野の商品ばかり購入している層から見れば、ラグジュアリーとプレミアムブランドの区別はつきにくく「差異」すら分からないものである。

今回紹介する、本書で書かれているマーケティングは、普通ブランド・プレミアムブランド・そして比較的高額な商品を売る場合には、有効に働かないが、ラグジュアリーには適用される特殊なマーケティングであり、ラグジュアリーブランドの経営には、通常のマーケティングの概念のほとんどを忘れる必要がある。

本書は、様々な分野のラグジュアリーブランドを調べる事で、18の条件として共通項を導き出しており、その中で個人的見解も含め、まとめているので、興味のある人は参考にして頂きたい。

【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則 18の条件

 

マーケティング逆張りの法則 ポジショニングは忘れラグジュアリーは比較級ではない

通常のマーケティングにおいて、ブランド戦略において重要なのは、ポジショニングであり、そのブランド独自で人を納得させる競争優位に立つことである。自分たちのポジショニングを明確にし、製品・サービス・価格や流通チャネル、コミュニケーションを通じてそれらを伝え、効果的に売上に反映させる事で企業は成長する。

 

スターを広告から締め出してはじめてラグジュアリーとなる

従来型企業では、CMにおいて著名人や映画・舞台のスターたちが広告に使われる。どのような商品でもそうだが、多額の費用を掛けてスターを広告塔に使うのはその地位と知名度を買っているのである。本書では、ネスレにおいて、自社のプレミアムブランド製品であるネスプレッソの宣伝にジョージ・クルーニを起用している事例を挙げている。

 

ラグジュアリーは売らずに売れてしまうシーンをつくる

売ってはならないというこの考え方は、傲慢という考え方ではなく、ラグジュアリー戦略とはまったくの正反対という事で、要は大量販売戦略を行うなという事である。通常のブランドであれば、体系的に価格を上げるという戦略を遂行する事は少なく、売上高や顧客を失う恐怖からなかなか踏み込む事ができない戦略でもある。

 

ラグジュアリーが価格を定め、価格はラグジュアリーを定めない

逆張りでマーケティングができるのは、ラグジュアリーブランドだけである。ラグジュアリーは売り手中心のマーケティングを実践できる稀少性が前提にあり、通常の企業はまったく違うアプローチで、顧客に製品やサービスを提供する。従来型マーケティングでは、買い手中心に物事をすすめていくものであり、このアプローチの仕方で混乱状態に陥りやすい。

 

顧客がブランドアイデンティティを脅かす場合要望を取り持つ必要はない

世界で賞賛されるラグジュアリーの条件は、一つ目に明確なブランドアイデンティティ、二つ目に、長期的視点に立つ安定した経営、三つ目に、首尾一貫した技術と製品崇拝をもたらす優れた企業文化となる。欧州系ブランドはその明確な条件で多くの高級ブランドを長い期間生み出してきたが、書籍で取り上げている参考企業をBMWを事例にして、ラグジュアリーとは何かという事を記している。

 

熱狂者でない奴を締め出す必要もあるが同時に下層にもアプローチする

従来型マーケティングには、顧客を他のブランドから横取りするという強迫観念があるという。売上の成長によって、マネジメントを成功させることやその担当地域のマネージャーの力量が測れるという考え方である。これについて言うと、もはや市場が飽和し、全体的なパイが小さくなってきた場合、その企業規模と売上と利益のバランスで戦略が決まってしまう。

 

標的にしていない人にもコミュニケーションせよ

ラグジュアリーにはふたつの側面の様相があるという。自分のためのラグジュアリーと他人のためのラグジュアリーである。後者の面を持続させるためには、そのブランドを自分のために買う余裕があるかもしれない人よりも、そのブランドによく通じている人がもっと多くいる事が必須である。例えば、シャネルNo.5 は、香水の中では不動の地位であるが、その認知度は、世の女性のみならず、多くの男性諸氏にも知れ渡っている。

 

障害を与え稀少性を引き上げ顧客がなかなか買えないようにする

ラグジュアリーブランドは名声をいかに確立しているかが重要である。この法則は、名声の上にさらに稀少性を与え、障害を与える事で欲望を喚起させる手法である。ラグジュアリーブランドでは、時間という要素が備え付けになってはじめて真価を発揮するという。手に入れるまでのプロセスは、少し障害を与えるというさじ加減をいかにコントロールするかが、成否を決める。

 

高い権威者から顧客の上に立ち一定の距離を置いて神秘性の霊気を保つ

ラグジュアリーは、実力社会に勝ち抜いた人々に与えられる帰結である。かつて貴族社会の独占的特権であったが、ラグジュアリーはいまでは、階級なき社会を再び階層化している。その階層化は、単なる生まれつきでなく、実力に基づき手に入れる事ができる。皆自分の経済的地位と実力を得るために、向上しようと努めるが、ラグジュアリーブランドは、努力した自分へのご褒美でもあるし、地位が上がった事を示す証拠である。

 

需要を増やすために時が経つにつれて価格を引き上げこと

標準的な市場モデルでは、価格が下がれば需要は増える。ラグジュアリーでは、この関係は逆である。1950年代、クリュッグは、零細シャンパンメゾンのひとつであったが、そのシャンパンの味は名声を博し、偉大な芸術家や当時の役者たちに愛された。とくにイギリスでの人気が高かったのだが、1950年代後半になると、モエ・エ・シャンドンは、クリュッグが生産をわざと控えているのに気付き、クリュッグの高い地位を根本的に覆してしまう新製品を上市した。

 

広告の役割は売ることではなく夢を見せ常に再創造され持続する姿を見せる

例えばタグ・ホイヤーの広告はどのようなものだろうか?女性か男性の写真と時計の機種の写真が載っている。この時計についての論評もなければ、宣伝文句もない。売り込みの口上も載っていない場合が多い。秘密めいたいくつかの文言があるだけである。ラグジュアリーでは、夢が最初に来る。販売員の説明は理屈でわかる話であり、二の次なのである。

 

創業した本拠地以外の製造工場に移転してはならない

大量消費市場においては、原価を削減するのは不可欠であり、そのために工場を移転することが必要になることがある。ラグジュアリーマネジメントでは、こういった戦略を適用しない。誰もがラグジュアリー品目を買うときに、文化やお国柄が浸み込んだ製品を買おうとしているのである。その地域に根ざしている事が、ラグジュアリー品目の知覚価値を高める。

 

初めて買う人のために、芸術へ接近するように努めること

従来型マーケティングでは、普通のブランドは懇願して情緒的な関係性を創る。そのために、できるだけ人気のある、少なくとも狙った観衆が心地よく味わえるような音楽を宣伝によく使う。普通のブランドは人々の嗜好を後追いする。ラグジュアリーブランドは、芸術のように趣味を奨励するものである。

 

需要を支配し増える需要に応えてはならない

従来型マーケティングの主眼点は、販売量を増大させることにある。百貨店やスーパーという大型流通業者と共に体力をつけて、市場専有率で指導者の地位を獲得し、自社を業界で力のある存在に見えるようにする考え方である。製品は広範囲に流通し、多くの人の目に触れることになり、全国放送のテレビで宣伝キャンペーンを放送することでさらに売れるようになるのである。

 

実際の価格より常に高そうに見えるべきである

ラグジュアリー製品の広告というのはたいてい製品を見せるだけで、何の宣伝文句もなく、価格も示していない。ラグジュアリーの世界では、価格というのは言及されるべきではないという。超高級レストランでディナーを食べる時、価格に基づいて料理を選ぶかという問題は、そもそも経済力があり、大金を支払うという感覚のない人向けにサービスが提供されているわけであり、価格に基づいて選択しているわけではなく、支払う痛みという感覚はあまりないのだ。

 

顧客を非顧客から守れ、上客を並みの客から守りきること

現在のラグジュアリーというのは、ある時は閉鎖的で、ある時は開放的な法則の上で機能するという。閉鎖的過ぎてもいけないし開放的すぎてもいけない事の事例としてラルフローレンの成功を上げている。欧州市場においてプロとしての彼の成功の基盤をひとつ蝕んでしまったというのである。

 

製品ラインの平均価格を上げ続け理想のモデルを提示する

従来のマーケティング戦略では、スキミングプライスで市場に投入し、初期段階では高価格に設定、早い段階から利益確保を行い、市場に投入したモデルに競合もしくは販売量が低下した段階で価格を徐々に落としていく戦略が取られている。ラグジュアリーではまさに正反対の事を行う必要がある。

 

製品は傷を持ち傷を許容させてしまうだけの力があるか

エンツォ・フェラーリのブランド哲学を見ていると、その目指しているのは、完璧な製品を世に送り出す事ではない。あくなき完璧さの追求である。普通の製品であれば、少しの故障やリコールなどで注意され、返品の対象となるだろう。フェラーリにおいては、傷について買わない人が知らないというよりも、あって当然と思わせる。

 

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About PG編集:道長

食べる事と寝る事に一生懸命な旅人。 世界は感染症や戦争で混沌としておりますが、平和になったら平和な国を旅をしたいと準備しております。 先代の管理者様より、サイト管理・記事制作を委任しております。 ※現在は写真提供をして頂いております。

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