ドイツでもトップブランドであり熱心なファンが高品質を支えている
今回は、ドイツにある玩具模型専門ブランドであるメルクリン について取り上げてみたいと思う。
この記事に関しては、自分の情報を整理するための「まとめ記事」的な位置として考えて頂けると幸いである。
ドイツには、世界に名立たる鉄道模型メーカーがいくつもあり、なかでもメルクリンほど数多くの熱心なファンから支持を受けているブランドはないだろう。
それにしても、なぜメルクリンが、鉄道好きな大人を含め、少年たちをこれほどまでに虜にするのか。その魅力を探っていきたい。

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破産から再生を果たした高級鉄道模型ブランド
06年5月11日 – メルクリン、フリッツ、ザフトの3家族が所有してきたが、売上高が低迷して約7,050万ドルの借金を抱え、イギリスの投資会社キングスブリッジキャピタルに雇用の維持を条件に約3,800万ドルで売却された。06年 ゾンネベルクとテューリンゲンの工場を閉鎖し従業員400名を削減。09年2月4日 資金繰りに行き詰まって裁判所に破産手続きを申請した。09年2月に破産し管財人により建て直しを図っていたが、10年10月に自己再生を果たした。ゲッピンゲンとハンガリーのジェールに製造拠点を持つ。参照:メルクリン-wiki
まず、模型におけるビジネスモデルであるが、グローバルに拡大を図っても、コストが掛かりすぎる上に、販売価格が安いことと、新興国などの安い労働力を武器にした企業の台頭で、多くの鉄道模型メーカーは苦境に陥る。そのメルクリンも、その波をまともに受けた形となった。
メルクリンを代表する鉄道模型といえば、HOゲージ と Zゲージ とふたつの大きなスケールで展開している。
HOゲージは、87分の1スケール。現実の世界で標準ゲージの車両をこの縮尺にしたものであり、線路幅が16.5mm。Zゲージが、220分の1スケールで、線路幅が6.5mmである。
HOゲージとZゲージ、人気なのは、世界的なシェアではHOゲージに軍配が上がるという。世界の主流はHOゲージは、国内外のメーカーで多くの模型が販売されている。
日本では、コストパフォーマンスの観点から、Nゲージ の人気が高い。物理的かつ身体的問題のある趣味は、その国に応じた空間の規模や身体の大きさ、そのスケール感覚が重要である。
家や遊ぶ場所の大きさや体格的な差は、グローバルに展開する戦略は、多くのブランドで学ぶべきであろう。
稀少性が高く高額モデルのリセールは比較的高く、オールドモデルは愛好家の間で活況に取引される
メルクリンは、欧州型 鉄道模型 メーカーのなかで最大であり、どれも高額な取引が行われており、もはや高級ブランドである。
では、メルクリンの鉄道模型の高額落札物と外国車両の二次市場のカテゴリーはどうなっているのか。
そのオークション相場をオークファンとオークデータ を駆使してみていこう。

やはり日本では、数が稀少な事と元々高額な事から、状態の良いモノや未使用品などに人気があるようだ。
ジオラマ付きや記念品モデルなどが 約 350,000円以上の値段がついている。高額モデルの大半が、約 190,000~210,000円ぐらいなので、なかなかリセールバリューは高い。
そしてあまり中古市場でも出回る事が少ないので、人気になるのは当然であり、国内で手に入れるのもなかなか困難である。
外国車両のカテゴリーを見ても、根強いコアなファン層に支えられた相場となっている。玩具の平均落札額で、約 10,000~15,000円では子供もなかなか手が出ない。
つまり国内では、鉄道模型好きな大人向けの市場となっており、なかなか稀少なモデルを手に入れるのは難しい場合がある。
海外系鉄道模型通販企業でいえば、エルマートレイン ElmerTrain さんなどは有名だが、もはやターゲットは子供向けには見えない。
エルマーさんの店内では、展示場のようになった鉄道模型のジオラマが見れ、デモ運転や運動会まで開催している。近くに出かけられた場合、一度足を運ぶ事をオススメする。
競合企業の買収により大幅な拡大路線と各ゲージのプラットフォームの掌握
HOゲージは、鉄道模型の中でもっとも人気が高いが、人気の高さに目をつけ、HOゲージに「デルタ」と「デジタル」のふたつのラインをメルクリンは揃えている。
最近では、Nゲージや Gゲージ を展開しているが、M&Aをおこない傘下の企業にブランドの展開を任せている。
Nゲージでは、1997年にトリックス を傘下に収め、ミニトリックスブランドで展開。Gゲージは、07年にレーマン を買収し傘下に収め、メルクリン傘下でハンガリーで生産だったが、09年にメルクリンが破産すると生産設備はアジアとなった。
ファンクション機能が充実したメルクリンの HOデジタル

メルクリンは、デジタル式の制御装置 メルクリン・デジタル を市場に投入する。メルクリンの HOデジタルは、機関車音やディーゼル機関車の音を再現したり、汽笛などの音を再現、室内灯、前照灯と尾灯の制御を行うといった豊富なファンクション機能を備える。
操作上の違いは、デルタの運転制御能力は5台、デジタルなら最大80台の車両を同時に制御する事が可能。
鉄道模型を始めようと考える場合、機能が充実しているデジタルが良いだろう。
デジタルスターターキットというデジタルシステムを始めたい人にオススメな「HOゲージのオールインワンセット」もある。

HO デジタルで出来る5つのこと
1. 80両の列車を同時に運転できる
コントローラーに動かしたい列車の番号をインプットすると最大80両の列車を同時に、あるいは個別に操作することができる。一方、デルタは、最大5両まで操作可能。
2. 超低速運転や安定した高速運転を実現
常にレールに電流が流れているため、超低速運転や安定した高速運転が楽しめる。モーター回転の自動漸次加速機能や車輪の空転防止機能、勾配区間の定速走行機能も内蔵。
3.停車中でも前照灯を点灯できる
駅に停車している列車がライト点灯して、ゆっくりとスタートして加速する。これまで不可能とされてきた離れ業も、デジタルなら、当たり前のことになった。
4.発煙や汽笛など、ファンクションが豊富
発煙のほか、警笛と汽笛を鳴らしたり、蒸気機関車やディーゼル機関車の音を再現。豊富なフリクション機能を搭載。
5.信号やポイントのデジタル制御が可能
最大256基の信号やポイントなどのアクセサリーボタンひとつで切り替え可能。複雑な路線操作をしながら、車両を運行できる。
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Zゲージ:より小型化を目指しメルクリンが考案した世界最小の鉄道模型
Zゲージ とは、220分の1スケールで、線路幅が6.5mm。1972年に市場に投入された世界最小の鉄道模型である。ただ小さいだけでなく、その作りは精密である。驚異的なのは、システムの充実という。
各種ポイント路線・鉄橋・信号機・蒸気機関用のターンテーブルなど、じっくりと遊ぶための小道具が揃えられている。
Zゲージを始めるのであれば、スターターキットからはじめ、セットをベースに徐々にシステムアップを図っていくことが良いだろう。

Images courtesy :Pinterest.com
参照:趣味のドイツ・ブランド―日本で買える趣味のドイツ製品50ブランドの完全カタログ
Marklin Trains Running on the largest Marklin Train Layout in the WORLD
Layout paradise: Märklin Modelleisenbahn Anlage, Marklin Modeltrain layout
鉄道模型に欠かせないのがその精密なジオラマ
鉄道模型につきものなのが、その精密なジオラマであろう。欧州にあるある田舎の風景や駅前の風景、それこそ優雅に欧州の山河を含む渓谷や山を抜ける山岳沿線などあらゆるシーンが作り出せる。
駅に停車した機関車が動き出しながら、その脇で警笛を鳴らしたり、様々なフリクション機能を駆使しながら、優雅な鉄道の旅を演出したい。
また、プラットフォーム用の照明や客車の室内灯、夜を演出する仕掛けを施したり、橋やターンテーブルを導入したり、各地に信号機、様々なストラクチャーを加えて、より現実に近い環境をつくり出すことができる。
このように、趣味の域を超えて、ブランドとしての価値を大きく向上させ、絶え間ぬ企業努力を払って再生した。
再生を図り復活したメルクリンは、次の世代にも伝えていきたいブランドなのである。