Meissen マイセン:何世代もコレクションされ欧州が見た東洋の夢は現在も引き継がれ高額に取引される
今回は、何世代も受け継ぐことのできる数少ない硬質磁器ブランド、マイセンについてである。高額のモデルを中心にいくらぐらいで取引されているのか。そのブランドの真価とはなにか。
磁器ブランドのベンチマークである同ブランドについて、少し考える機会を得たので、情報のまとめを行っておきたかった。簡単ではあるが、記していきたい。
17世紀の欧州では、純白で薄く、硬く艶やかな硬質磁器である日本の伊万里や中国の磁器が珍重されていた。欧州では未だに作り出すことのできなかった。
これらの磁気に憧れたドイツのザクセン選帝候 フリードリヒ・アウグスト1世 は、弱冠19歳の錬金術師 ヨハン・フリードリッヒ・ベトガー に、自分の領内での磁器の製作を命じた。ベルガーは、チルンハウス伯爵と共に試行錯誤の末、1709年に焼成に成功する。マイセンブランドのはじまりである。
日本でも人気は高くその多くがオークション市場で高値で取引される
高級ブランドとして、長い期間その不動の地位を確立してきたマイセンであるが、私たち庶民でも入手する事ができるオークション市場ではどうだろうか。さっそくオークファンで市場の取引状況をみていこう。
なかなか高額な取引状況がみてとれる。マイセンの基本的な大きさのシンプルなフィギュアで、もっとも高い価格は、約 70 万円あたりが相場になってくる。
もっともこれは、新品に近く状態が非常に良い作品である。小さなフィギュアやワケありを探せば、比較的安価に手に入れる事ができる。
ただ安価といっても、約 50 万円までの予算は確保しておきたいところである。
さて次は、約90万~100万円のセグメントであるが、アラビアンナイト 千夜一夜物語 シリーズが、高額な価格をつけている。
ハーレムにおいて夢をイメージし、ハインツ・ヴェルナーがデザインした絵柄が高騰している。24金がふんだんに施され、もはや芸術品であるが、丹念に調べていくと、オークションで販売されている。
現在では、ネットーオークションやECなどの発達により、検索を掛け探せばどこかにある状態であることは、非常に喜ばしい事である。
次は、約 200 万円~のセグメントであるが、もはや自動車が買えてしまう額まで高騰している。
元々新品価格から考えると、リセールバリューは必ずしも高くないが、新品価格が非常に高額であるが故に、中古市場である二次市場でも高額な価格に見えてしまう。
はじめてマイセンブランドを知る方もいると思うが、紹介しているのは非常に高額なモデルであることを付け加えておきたい。
比較的、入門編も多く揃っているので、コレクションのひとつとして考えている人は、いちどマイセンを実物を見ておく事も大事である。
個人的に言えば、何客かC&Sを保有しているが、約10万円ほど出せば手に入れる事が可能であった。
そうはいっても、体験したことがない、または実物を見たことがないという人のために、手軽にマイセンを経験できる場所を2ヶ所ほど紹介しておきたい。
箱根マイセンアンティーク美術館
箱根マイセンアンティーク美術館の邸宅は、吉田茂総理の時代に日本銀行総裁だった一萬田尚登(いちまだひさと)氏が住んでいた邸宅である。
元は東京都港区青山に建っていた邸宅を旧東海銀行が買取り、40年ほど前に保養施設として箱根強羅に移設。
その後、様々な人々の邸宅に使われ、紆余曲折を経て、現在アンティークマイセンの美術館となった。
大きな邸宅に、ギャラリーや展示室を備え、庭園も美術館にもなっており、カフェでマイセンの作品の良さを経験する事ができる。
非常に風光明媚であり、また少しお得感を得たい場合、インターネット割引券もある。印刷して持ち込めば割引してくれるだろう。
箱根にドライブや温泉、少し羽を伸ばして訪れたい場所である。
ドイツの名窯マイセン 日本公式:マイセンカフェ
このカフェで楽しめるのは、世界で初めてのマイセンブランドのコーヒーである。カフェのインテリア、飲食の提供をする食器も、すべてマイセンブランドで揃えられた公式のマイセンカフェ。
貴族の邸宅を思わせる贅沢な空間で、ゆったりとしたひと時を過ごす事ができる。
芦屋や京都など地域には、多くの富裕層が多く住んでおり、場所は関西の中間点にあるので、気軽に立ち寄る事ができる。
マイセンを入門する前に、その精巧な作品を経験する事ができるし、長くコレクションしている人も、様々なモデルを閲覧する事もでき、同時にカフェで楽しむこともできる。
欧州が夢見た東洋の磁器の再現
ザクセン公フリードリヒ・アウグスト1世は、ドレスデンに工房を創設するが、まもなくマイセンのアルブレヒトに移される。
さらに、1861年から1864年にかけて、現在のトリービッシュタールに工場を移転し今日に至る。もとは、旧東ドイツ領にあったが、ドイツ統一後は、国立マイセン磁器製作所として、ザクセン州の所有となっている。
初めて焼成に成功した18世紀初頭から今日まで、時代の様式を反映した、芸術性の高い作品が各時代に作られている。
その伝統は受け継がれ、成型、絵付け等、繊細な技術による少量生産を今でも頑なに守り続けている。
全ての工程は、熟練した職人の手仕事によるもの。製作されるその製品は、芸術性や品質の高さにおいて他の追随を許さないものとなっている。
マイセンの作品群を見ていると、その他のブランドのフィギュアは玩具のように見えてしまうから不思議である。
マイセンは、それこそ何世代も受け継ぐほど価値があり、状態がよければ良いほど、モデルの稀少性があるほど、価格は高騰していく。
マイセンに投資し、半世紀ほど楽しんだ後売却しても、比較的高い価格がついてしまう。大半の商品は、その時代でしか評価は受ける事は出来ない。また多くのブランドは、価値が年々上がっていく事はほとんどない。
そのような意味で言えば、現在の中古市場でも、比較的適性な価格で手に入れる事ができるマイセンは、唯一投資に値する磁器ブランドの最高峰なのである。
Images courtesy :Pinterest.com
参照文献:趣味のドイツ・ブランド―日本で買える趣味のドイツ製品50ブランドの完全カタログ