ゆるキャラ ブームの仕掛け人 「みうらじゅん氏」 による 「ない仕事の作り方」
今回は「ない仕事の作り方」の 4 つの方法を取り上げてみたいと思う。まさに「ない仕事の作り方」とは、個人のブランディング戦略そのものである。
現在、多くの人が、自分自身に誇りを持ち、楽しんで仕事をすることができていない。多くは、サービス業などで、雑用や代替えの利く、誰でもできる仕事に従事している人が多く占めている昨今である。
あなた自身がブランドとなり、あなたが楽しみ、自信と誇りを持ち、第一人者として仕事を創造できる立場となれば、その仕事は楽しくて仕方がなくなるであろう。
ただ多くの場合、あなたが楽しめる仕事と思われている内容は、対価を得られるような仕事ではないかもしれない。
私は仕事として「ない仕事」であったこのブログを立ち上げ、運営しているわけだが、生活ができるまでの仕事の内容とは、まだなっていない。
新しいカテゴリーである当ブログであるが、いまだにモノと情報を大量に収集して、ブログを更新し続けている「無駄な努力」の真っ最中である。
そこで今回は、私のように「無駄な努力」を続け、日頃やりたくもない仕事に多くの時間を費やし、努力の割に成果の出ない「恵まれない人」のために、あなたが、好きで極めたいカテゴリーの創出方法とブームの起こし方などを短いながらも下記にまとめておこうと思う。
さらに詳しい内容は 【 「ない仕事」の作り方 】 に記載されているので、もし宜しければご一読願いたい。
1. 名称もないジャンルに名前をつけて新しいカテゴリーをつくる
最初に行う作業は、あなたが極めたいと思う分野のニッチを探し出してそこを狙う必要がある。大抵の場合、あなたよりも分野を極めた人が、何人かすでに存在していると考えた方が良い。
みうら氏の表現を使うと 「名称もないジャンル」 を探す作業からはじめよう。つまりは、新しいカテゴリーの創造である。すでにニッチの分野でも、細分化されたジャンルが多数ある日本では、さらに 「マイクロニッチ」 にまで細分化しても 問題はなく、むしろ掘り下げて丁度良いと思う。
ひとつアドバイスとして、あなたが極めたい分野の隣接分野で、メジャーな分野は何かを知っておく必要がある。例えば、あなたが生物の研究者で 「ウツボ 」 を研究したとしよう。ほとんどの研究者は 「ウツボ」 には興味がない。
この分野で研究の花形と言えば 「ウナギ 」 である。「新しいカテゴリー」 を創造する場合、大筋のアカデミックな研究対象のさらに脇を攻めるわけだから、もし、極めたいカテゴリーに 「人を惹きつける要素があまり感じられない」 場合、隣接分野の 「メジャー感」 を借りるプロセスをしっかり設計しておく必要があるだろう。
あなたの新しいカテゴリーを創造する際に、手助けとなるはずである。私の場合、自分で良いなと思う 写真に文章を添えて 「私という新しいカテゴリー」を 「個人ブランド」 として確立したいと思っている。
私は、著名人ではないので「人を惹きつける要素が感じられない」わけなので、惹きつける要素で借りているのは 「高級ブランド」 である。
みうら氏が提唱する最初の方法は、未知の新種である動植物などに「自分で探し出し、名前が無いので自身で命名する」ことに近い。
まさに 「ゆるキャラ」 と名付ける 抜群のネーミニングセンスを感じる。名づけてみると、そんな世界があるように見せるということが、大変重要ということがわかる。
前回、【ブランディング22の法則 名前の法則:結局 あなたのブランドが成功する 最もシンプルな長期的方法は 強力な名前である 】でも取り上げてみた次第である。
統一性のない各地のマスコットが、名前のもとにひとつのジャンルを形成しているように見えてしまう のである。まずは、あなたの極めたい新しいカテゴリーに「名前」をつけてジャンルを形成することである。
2. 無駄な努力し自分を信じカテゴリーに関するモノと情報を大量に収集する
なかったものに名前をつけた後は 「自分を洗脳」 して 「無駄な努力」 をしなければならないという。たしかに研究者を志したと考えれば、研究には努力が伴う。みうら氏の 「無駄な努力家」 というのは良い表現である。
私自身も、たいして読まれもせず、無価値に近い儲からないブログを書いて 「無駄な努力」 をしている最中である。これが面白いですよと言うだけでは、人はたいして興味を持たないものである。
人に興味を持ってもらうには 「絶対にあなたの極めたいカテゴリーにブームがくる」 と強く思い込むことが重要である。そこで必要となるのは、無駄な努力をいかに表現して人に見てもらうかである。
興味の対象となるものを、大量に集め始める必要がある。私の場合で言うと 「ブランド品の写真」 である。写真を撮って集めるのが趣味であったので、その対象物は「人を惹きつけるモノ」を探し続けていた。
風景や人などたくさん分野があるが、皆上手い人ばかりで、私のような素人同然で趣味の延長線上の作品では、端から勝負にもならない。
一流の人の場合、技術を極め、発信する力があり、世渡りが上手く器用に立ち回り、コネクションをつくりながら、仕事を上手く作り出す。対象物にまさに人生を掛けて現地まで乗り込み、貴重な写真を撮ることで、名声を博したりするのである。
私の場合、そこまでの才能と技術・活動資金、器用に立ち回るアタマの良さがあるわけではないので 「比較的目の前にある対象物で、人を惹きつけるモノで、低コストで素早く手に入れる」 ことのできる新しいカテゴリーを長年探していたのである。
好きだから対象を絞るのではなく、収集して圧倒的な量が集まってきたから、好きになろう としたのである。みうら氏の提唱する 「好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになる」 という戦略である。
私自身、この戦略を少し手直しをして実践している。つまりは 「買う」 部分を 「売る」 に変えて 「 活動資金を得るために、売ったモノの写真の「量」が集まってきて好きになる 」 と戦略を手直ししたのである。その戦略は、このブログを見て頂ければわかるであろう。
多くの場合、自身の無駄な努力をベースに、資金と行動力を使って、モノと情報を大量に収集して「数」で人を圧倒し、錯覚させて「無い仕事をあるように見せて」 新しいカテゴリーを表現するという手法であるが、実は誰も認めてはくれない 「無駄な努力の結晶」 がこのブログであり、努力と資金と行動力がない私が編み出した秘策なのである。
3. あなたができる効果的な宣伝方法でカテゴリーを売り込む
なかったジャンルのものに名前をつけ、それが好きだと自分に思い込ませ、大量に集めたら、次にすることは「発表」することである。収集しただけではただのコレクターに過ぎない。
それを書籍やイベントに昇華させて、初めて「仕事」になるという。多くの人が躓くのは、この方法となるであろう。「発表」における売り込みが最も難しい。
みうら氏のように、顔が売れているわけではなく、雑誌やテレビ局などに持ち込んでいくだけのコネクションやツテなども大半の人はないのである。
また「ない仕事」なので、先方から依頼がくることはほぼないので、最も多いのが「ブログ」などのメディアを自前でつくることになるのである。
ブログであれば、即世界中に 「大量に集めた写真」 を発表することができる。コネやツテなどが無くても、ネットメディアを持てば「発表」することは比較的簡単になった。
最近多いのが「ブログ」を書いている人の「電子書籍」の販売である。アマゾンなどを通じて、書籍に昇華して広げ、次にイベントを自ら仕掛けるのは、もはやセオリーである。
ところが、多くのブロガーはこの壁に大きなハードルを感じる事が多いのである。つまりは 「客観的評価」 を得られないということへの問題である。
たしかに電子書籍は 「誰でも本を出す」 ことのできる優れたツールであるが、自前で出版した人の多くは 「読ませ楽しませ売れるための厳しい目」 を通っていない事が多い。
私たちは作品として 「発表」 されたモノを読むわけだが 「著者自身だけが納得できる考えや面白さ」 だけでは 「客として見せられる方は面白くはない」のである。
マンガで言うと、面白い作品には、原作者だけではなく、関わる多くの関係者や編集者などの「プロの目」が入っているのである。
あなたが作品を楽しむ側であれば 「客観的な目が入っていない自前で作った電子書籍」 をあまり読みたいとは思わないであろう。
この宣伝及び売り込むという手法は、とくに難しい問題を含んでおり、大半がここで躓く事となるのである。
みうら氏が、提唱しているのは、関わるプロに向けての 「接待」 である。すべて自前で行う 「一人電通」 制度を説いているが、この段階で、みうら氏の非凡な才能の前に多くの人が挫折する。
みうら氏が、ない仕事をつくる能力で、突出しているのは、この部分が大きいのである。前例のない「ない仕事」をしようとしているので、当然と言えば当然なのだが 「接待」 を得意として、業界にコネがあるもしくは営業畑の人に向いている手法である。
人付き合いの苦手な人は 「キーマン」 に接触する方法を挙げておく。つまりスピーカー役の人に、上手く宣伝してもらうのである。なにも必ずしも人である必要はない。
多くの人は、コスト・時間・労力上の問題から、ネットを使う事になるが、ツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディアを駆使する必要が出てくる。どうしても、良質な記事を書けと推奨する大手検索サイト様だけでは限界なのである。
なぜなら、検索サイト様の機嫌を損ねたら、あっという間に権力を行使されて、弱者である私たちを潰しに掛かる。良質は、読者が決めるわけだが、多くは閲覧して終わり、良質だからといって、良いリンクなどは、ほとんど残してくれないのである。
となると、私たちでも自身で宣伝する必要があるわけだ。良質なメディアを作れと推奨する検索サイト様は、私たちが既存メディアや大手企業よりも、企画力があり、一次情報に近い有益な情報、もしくは、着眼点を持っていて、かつネットの技術的作法を守り、なおかつそこに優れた情報を書けと言っているのに等しい。
そんなものは、普通は不可能である。ということで権力やコネがない場合、自身で宣伝活動する必要があるので、多くのネットメディアに参加したりしてみよう。
ブロガーであれば、ブログサークルやブログ村であったり、はてな等の ソーシャルブックマーク などを積極的に使っていこう。営業が苦手、既存メディアにコネや払える広告費用などない場合、あなたが最も得意とする「お金やコネのいらない」手法を編み出す必要があるのだ。
4. あなたができる効果的なイベントを「リアル」の場で仕掛け カテゴリーを広げる
営業活動と並行して、あなた独自のイベントを仕掛ける必要がある。つまりここで初めて「リアルな場」に出ていき、ファン獲得のために接近していくのである。ない仕事をつくり「今までに ない イベント」をつくるわけなので、最初は身内だけのイベントでも十分である。
イベントを作るだけの余裕のない人は、他の「イベント」に参加して、寄生して成長する手法でも良いのである。番組における「ゲストスピーカー」と同じである。なんだ「それもネット上での人気メディアなどに、記事を投稿したりして、やっていけばいいのでは」と思われた方もいるだろう。
注意したいのが、ネットでは、この手の「ゲストにおける記事の寄稿」などは 【 Google ゲスト投稿やコンテンツ配信を悪用した外部リンク獲得施策に警告 】 として、検索サイト様に、ペナルティの対象として睨まれやすくなるので、できる限り「リアル」を狙うべきである。
こちらとしては、痛くもない腹を探られ、スパム扱いを受け、機械的にフィルターなどを掛けられる恐れがあり、非常にリスキーな手法である。このように、イベント等での自身の宣伝は 「リアル」 に限るのである。
多くの人にとって、あなたの活動を「つまらない」と反応されるか「無視」されるかのどちらかであろう。ただ、あなたが絶対にする事が 「熱狂的に楽しみ活動を肯定する」 ことである。
そうでなければ、自身のアイデアを支えてくれる理解者や関係者、そして新しいファンの方を広げ巻き込んでいけるわけがない。ここはあなたの手腕が大きく問われるところである。
人が興味を持ち「良い誤解」が生まれてくるとブームは生まれる
比較的、規模が把握でき、知名度が出てきて、面白がってくれる人が増えてくれば、あなたはカテゴリーの第一人者である。そのうち関わっている分野の人間から仕事の依頼が来たりするだろう。
芸能人や著名人が、趣味や好きなことを追求していると、その分野から仕事が来るのは「ない仕事の作り方」そのものである。著名であるがゆえに、その分野の広告塔を分野に関わる企業は欲しがるのである。
最初に、なにかの分野で名前が売れていれば、自分が興味があり、好きな分野を追求すれば、比較的仕事を得られやすい時代なのである。つまり少しカジっただけでも、お金を得られてしまう。
ただ、この著名になる戦略は、困難でかつリスキーで、普通の人ができる戦略ではない。要は才能のある人間による再現性のない成功戦略であるので、多くの人にとって著名人が語る内容など、まったく意味がないのである。
彼らに出来て、私たちに出来ないことに何の価値もないが、著名であるがゆえに、アクセスを集め、当たり前の事でも、もっともらしく聞こえるだけである。みうら氏が伝えているのが、大きなブームへの転換期となるのは「誤解」され始めた時であるという。それがブームの正体であると。
いちばんの誤解という事例をあげてくれているが、にわか専門家風の人間による思いがけない「深読み」をしてくれる人たちが現れることであると。ブームというのは、この「勝手に独自の意見を言い出す人」が増えたときに生まれるという。
あらかじめ「カテゴリーの定義」をしっかりと理論付けしないほうが良いとアドバイスをしてくれている。人に誤解されたり、我が物のように言いたくなるような「余白」を残しておくことが重要なのである。
私たちができることと言えば、この「専門家風と著名人・メディアに関わる人々」に、ターゲットに絞ることで 「知名度のある他人から薦めてもらう手法」 が最も優れた戦略となるのだろう。
間違っても、最初からラクをしようと大手企業のように 「流行している風」 を装い、カネを積んで 「ステルスマーケティング 」 を実施しても、多くのユーザーに、すでに手の内がバレてしまっている現在では、止めておくべきであろう。
良い誤解が生まれるまで、一見遠回りであるが、真面目に無駄で地味な努力と行動が、あなたの仕事のブームを生むのである。