短期的な成功と長期的な成功をしっかりと区別しておく必要がある
あなたがすぐに導入できるブランディング上の決定は、自分の商品やサービスへの命名である。ブランドとは、結局のところ「強力な名前」であり、名前を喚起することで、人々のアタマの中にブランドは築かれるのである。
例えば、あなたがこの記事を読んでいるのは、検索エンジンの「グーグル 」で、このブログに訪れてくれた方が大半であろう。まさに 「 ググる=検索する 」 という作業自体が、ブランド名を冠した言葉となっているくらいである。
ブランドを短期的に成功させる要素と長期的に成功させる要素を混同してはならない。と本書:ブランディング22の法則 で伝えている。
ブランドの短期的な成功とは、生き残る為にユニークなアイデアないしはコンセプトを必要とする。新しいカテゴリーの一番手でなくてはならない。
人々のアマタの中に一つの言葉を所有することが大前提であり、あなたが、最初にブランドを築く際に、最も必要とする足場なのである。
しかし、長期的にはそのユニークなアイデアないしコンセプトも姿を消し、後に残るのはあなたのブランド名と競合ブランド名の違いなのである。
グローバルで語られるのは、商品並びにサービスを信奉する 商品派 とブランディングを信じる ブランド派 の両者の考え方の違いである。
企業の戦略の基本に、優れた商品やサービスを生み出す点にあるとする 商品派 は、私たち日本では、当たり前に聞こえる戦略であり、大半の商品並びにサービスの質は、世界に比べても格段に高い。
ただ、ことブランディングについて上手くいっている成功例をほとんど聞かない。
世界で戦う大企業は別として、中小企業や零細個人で、名声が轟くブランド名を確立している成功例は非常に少ない。仮に個人でも、特化したブランドを築く事が出来ても、日本人の多くは、個人のブランディングがあまり上手くないと見られている。
例えば、お笑い芸人の初期の成功は、ユニークなアイデアやコンセプト (ギャクやネタ) などを必要としており、世間の注目を浴びてウケる事が絶対条件である。コンビであればコンビ名を、ピンであれば個人名をブランド化する。
その後、その芸人が、極めたカテゴリーを制した後に残るのは、ブランドネームだけであり、その名声を使い、様々なジャンルのメディアに露出していくのである。

多くの一発屋芸人が、新しいカテゴリーを築いた後に消えていくのは、築いた新しいカテゴリーの創造と強化をしないことによる。私はこの方の個人的なファンだが、「毒舌からあだ名芸」 のように、強固なブランドを築くには、足場となるカテゴリーの強化が必要なのである。
そのように、名声がある程度確立し、エントリーされた芸人たちのその後の違いは、競合との名前の違いと、若干そのユニークな人物像だけになる。
お笑い好きな方であれば、理解するのは早いと思うが、コンビ名を改名しただけで、その後ブレークしたコンビもいくつかあるが、名前の法則を上手く使った好例と言えるだろう。
もしも、あなたのブランドを確立したい場合には、日本人的慣行を打ち破る必要に迫られるであろう。
つまりは、皆と同じという安定と横並びを良しとする平等的な考えである。最近思うのは、世間から見ると奇妙に映り真剣に「 クレイジーに独自の世界観を表現する 」こと自体が、ブランド化の早道かと思う。まさに新しいカテゴリーの創造である。
ただ、感動するブランド人を特集しているメディアでも、ほんの数ヶ月もすれば、取り上げられたブランド人の顔も名前も、多くの人々の大半は忘れてしまう。
芸人のようにコンビ名などをブランドネームとするならまだマシだが、その多くの「クレイジーなブランド人」も、良いブランドネームに恵まれていないこともあり、今ひとつ決め手に欠けるという欠陥を抱えていると言っても良いだろう。
多くの人のアタマの中に、あなたのブランドを残すというのは、それだけ難しいというわけであり、その為には 「強力なブランドネーム」 が必要なのである。
参照:ブランディング22の法則