ブログなどの人気記事に共通するスイートスポットと共通利害の関係
今回 【ブランド論:無形の差別化を作る20の基本原則 】 からエッセンスを学びながら、個人における「セルフブランディング戦略」についてどのように応用できるか、自分なりに何週か渡ってまとめていきたい。
個人におけるマーケティング戦略は様々である。どのようなスキルを用いて、自分ブランドを創り上げていくかで、アプローチは大きく異なることであろう。
実のところ、私も含め「あなたの極めたい仕事の分野」には、大半の人が興味がない。またあなたのブランドをマーケティングによって、広げていこうとしていても、顧客はそうしたことに興味を持たないのである。
私たちはブログを主に情報発信の手段としているが、ヒットしている記事やバズっている記事などを見かけると 「ああすごいな」 と思うと同時に、アクセスして、記事を読み、共感を得て、ソーシャルボタンなどを押して、支持を表明する。
これらの記事の共通項のひとつに、顧客が実際に熱中している活動や関心事、すなわち「スイートスポット」に焦点を当てていることである。私たち多くのブロガーの記事に、共感されないひとつの要因が、既存のユーザーを巻き込まないからである。
最初に、本書を読んでいて、そのことに気づかされた次第である。
多くのブログでの人気記事やシェアされている記事には、新しくアクセスしてくる多くのユーザーを巻き込むだけのスイートスポットが存在しているのである。また 「共通利害」 のアイデアやプログラムである 「ノウハウや方法論・考察など」 上手く体系化することで、自分のブランドとそのスイートスポットを結びつけていている。
人気記事を量産するサイトやブログなどのメディアは、最初からスイートスポットに注目して狙い、共通利害を持たせ、多くのシェアを呼びかけ、加速度的に多くのアクセスを集めて収益化しているのである。
これはどんな事象にも、顧客を巻き込むことに関係している必要があるようだ。
ダヴによる「本当の美しさ」のためのキャンペーンから学ぶべきところ
ダヴ による 「本当の美しさ」 のためのキャンペーンである。2004年ブラジルで、オグルヴィ・アンド・メイザーが考案したプログラムである。
本書では、一例として「ダヴ・リアルビューティー・スケッチ」プログラムをあげている。多くの女性に共通テーマである 「本当の美しさとは」 というスイートスポットに注目している。
犯罪捜査用に使う似顔絵の専門家が、何人かの女性の似顔絵を描いた。最初は、女性が自分の顔を自分で説明し、その説明だけで、似顔絵を描いてもらい次に、それぞれ女性を初めて見る赤の他人が、その女性の顔を専門家に説明。
それに基づき、もうひとつの似顔絵を描いてふたつの作品を比較するというものである。自分が思っている自分の姿よりも、赤の他人が説明した自分の姿の方がはるかに美しいという事に気づくというものである。
こうした一連のキャンペーンで、複数の広告賞を受けた結果、費用はほとんど掛からずに多くの人の目にさらされ、その効果は一億五千万ドルを超える価値があったと見られているという。
このキャンペーンのおかげで、売上の増加や他人に勧める確率が高まっただけでなく、三十億ドルを超えると推計される巨大な事業基盤を生み出したと伝えている。
つまり、直接製品やサービスを売り込むということを行わず、ユーザーを巻き込むことを最初から設計に盛り込まれているところにある。
女性の悩みである 「美へのコンプレックス」 を取り扱うことで 「私も同じような悩みを抱えているが、もしかして悩みではないかも」 という新しい気づきと感動を起こさせる動画である。
ブランド側の戦略としては、専門家に 「最初よりも後の説明でより綺麗に描いてください」 と事前に伝えておくだけで、このキャンペーンはできてしまうのであるが、多くの顧客に共感を得られ、企業的にも成功しているところをみると 「悪意のないもの」 については、素直に受け入れられたプログラムとも言える。
このように、顧客主導型のスイートスポット・プログラムは、豊かなユーザーとの関係への道が開ける可能性が高いと言うことを教えてくれる。
個人のセルフブランディング戦略でも、この顧客が実際に熱中している活動や関心事である「スイートスポット」に焦点を当てることである。
私も含めてそうだが、ほとんどのブログやサイトは、自分が熱中している活動や関心事に興味が強すぎて、アクセスに結びついていないのである。
ある意味で、自分のメディアであるし、致し方ない面があるが 「人の為と言いながら」 最終的に 「自分のため」 の記事となっているブログやサイトが多く、共感やシェアについては、身内や知り合い程度までで、大半のユーザーの「共通利害を生んでいない」ので、ほとんどシェアされることもない。
そのように見ると、ある意味当然と言えば当然と言える。
個人がスイートスポット・プログラムを考える際に有利な点とは
個人のセルフブランディング戦略に基づく、サイトやブログにおける 「顧客主導型のスイートスポット・プログラムの記事」 を生み出すことは難しい。
サイト運営者やブロガーが日々取り組んでいるが 「自身のブランドが、顧客から共通利害を持つパートナーだとみなされる」 ように、運営の主軸として考えると分かりやすいかもしれない。
私たちの多くは、このようにブログを無料で公開する 「一般的な無料キャンペーン」 をすることによって、日々マーケティングをしながら、まれに 「スイートスポット・プログラム」 であるヒット記事になることがある。
多くの場合、狙っているわけではないが、受けそうなテーマを中心に執筆しているだけあって 「スイートスポット・プログラム」 になる可能性は、個人のなかでも比較的高いのである。
そのような意味で言うと、よりユーザー側に立っている個人の方が、スイートスポットを見つけることにおいては、企業よりも有利である。
企業の多くは、人の集団で成り立ち、組織内の利害関係の調整と 企業のコンプライアンス を徹底しながら、そのあとに顧客との共通利害を探していく必要がある。
個人においては、極端な話、最初は 顧客の 「スイートスポット」 だけを探せばいいのである。この面においては、絶対的に有利である。
顧客主導型の「スイートスポット・プログラム」がもたらすメリットは、好感度と信頼度、メンターのような関係を構築できるようになる。
まさに個人のために存在するプログラムに見えてくる。またこのような取り組みは、小さな零細企業でも実践された。
自身の企業ブランドを広げる為、バズる方法をブログ化した 「バズ部」 というものが過去に流行したが、ブログのなかでも非常に洗練された 「顧客主導型のスイートスポット・プログラムの記事」 を多数量産し 「共通利害」 によって、多くの人にシェアされ、アクセスを意のままにしていた。
体系的に書かれた 「 10倍売れるWebコピーライティング ーコンバージョン率平均4.92%を稼ぐランディングページの作り方 」 なども出版し、ある程度ノウハウは、体系化されていたのである。
多くのアクセスを集め、大きな収益をあげているサイトやブログには、共通するノウハウが存在する。私たち個人ができることは、その共通項をできる限り見つけ、自身のメディアに少しずつ反映させていくことである。
また実際に、ブランド力も実績もある外部で成功している既存プログラムを上手く自身のセルフブランディング戦略で利用し、エッセンスを上手く取り入れた方が、効果的で現実的な場合も時にはある。
それにおいては、あなた自身が選択すればよく、ケースバイケースで進めていけば良いのである。