彼女へのプレゼントのはずが、相談に乗っていた女性へのプレゼントとなってしまう
シャネル・マトラッセ・チェーンショルダー ダブルフラップ である。もはや、定番のカタチ定番の人気商品である。
私の彼女の知人で、このブログの熱心なユーザーであり、「あるサービス業のショップの超美人店主」であり、何度かこのブログでもモデルを紹介した。
そんな彼女が、春夏シーズンで手軽に持つことができるショルダーバッグを探しているという事なので、購入のアドバイスを行った次第である。
そのアドバイスを行う中で、ジャージーキャンバス 素材のマトラッセをリザーブし、購入したという話のくだりで、それが見たいということで、ヴィンテージ・ショップに二人で来店したのが運の尽きである。
実はこのモデル、彼女にプレゼントする予定であったが、それ以上のお金を出すので、買わせてほしいという要望を受けて、最終的に知人に譲ったのである。
マトラッセにはレザー以外にも、ジャージーキャンバス素材が存在し、素材を変えることで、比較的リーズナブルに購入することが可能になるのである。
マトラッセの定番の素材は、ラムスキン や キャビアスキン (カーフ:キャビアのような粒上の型押) であるが、それだけでも高価になりやすく手に届きにくい。
ただ、今回のジャージーキャンバス素材は、レザーを使うよりも、軽量で普段から着ている衣類に近く、手軽に持ちやすい優れた素材なのである。
では、さっそく同モデルの相場や購入額、使い心地などを簡単にではあるが記しておきたい。
シャネル・ブランドの本当の強さは 中古相場からみえてくる

今回も、オークファンで相場データを見ていこう。シャネル・マトラッセ・ジャージ素材の相場は、比較的安定している。
マトラッセ・ジャージキャンバスモデルの中古市場の相場は、下値は 約 120,000円代、上値は 約 140,000 円までといったところである。
ジャジーキャンバスモデルについては、比較的数も少なく、相場はおおむね安定している。程度の良くないモデルでも、約 70,000 円程度と、あまり値崩れがなく、購入してもあまり損のないモデルである。
流行とマーケティング・テクニックだけで、高額な値段をつける三流ブランドの中には、強気の価格帯のショルダーも散見される。
ただ、二次市場でも、安定して値を付けているブランドもあまりなく、ラグジュアリーブランドの強さを再認識できる。
少し前であるが【 シャネルの戦略:高騰するマトラッセ、約 50 万円以上のバッグを売り切るマーケティング戦略とコンセプトと企業哲学 】 で、マトラッセについて商品分析を行ったが、今後どうなっていくのか見ものである。

上記は、シャネルのショルダーバッグだけのオークション市場規模のデータである。ひとつのカテゴリーだけで、常に 1 億円を突破しており、一時中国市場を中心とした高騰などもあり、市場規模は、約 2 億円に届く勢いであった。
現在は、安定傾向で落ち着いてきており、平均的な相場で、購入する場合、比較的適した時期であることがデータからみえてくる。
一番はコストだが、素材を変更したことで肌ざわりと軽量感が良いモデル
シャネルブランドは、自立した女性を象徴した非常に優れたアイコンブランドといっても過言ではない。女性の大半はすでに知っており、一度は憧れるブランドでもある。
シャネルを保有できるということは、経済的にもすでに自立できているという事も世間的にも知らしめることができる。本来ラグジュアリーブランドは、王侯貴族のために作られていた。
シャネルに関して言うと、それは、一般的に働く女性のための手に届くラグジュアリーなのである。どんなに新しい流行ブランドが出てこようが、二次市場になると二束三文になるブランドばかりの中で、不動の人気を誇ってきた。
その原動力となったのが、中国並びにアジア、最近では中東・アフリカ市場であろう。全体の市場を見ると、ブランドの牽引は、これらの市場の存在も見逃せない。
ジャージー マトラッセ ダブルフラップ モデルについては、一番のメリットは、レザーモデルと比べリーズナブルな点に尽きる。一般のレザーモデルに比べ、中古市場では、約半額程度で購入できる。
また、ジャージーキャンバス素材は、傷が付きにくく、女性が持つと身体につけた装飾金具や爪などで簡単に傷をつけやすいレザーモデルと明らかに違う点である。
キャビアスキンやラムスキンの場合、保管する環境で、素材の劣化や硬化が起こりやすいが、ジャージーキャンバス素材の場合、あまりその心配はない。
チェーン部分においても、レザーを使っておらず、一般的な軽量金具のため、レザーと金具を組み合わせた一般のモデルと違い、硬化や劣化とは無縁でありメリットがかなりある。
ただ、金属の軽量化が図られているゆえ、残念ながら、若干チープな感触となっている。コストダウンをどう見るかであるが、私は割り切りがあって良いと思う。
次に、内装についてであるが、内装は一般的なマトラッセと同じくレザー素材で製作されている。シャネルの場合、内側がベトつくタイプのモノが一部含まれている。
アジア圏では、欧州圏と違い、その湿度の違いが影響しているようであり、アジアの気候では適さない事が往々にある。
ただ、ここ約10年間に販売されたモデルについては、あまり心配はないが、保管する場合は、乾燥剤や緩衝材を入れて、通期の良い場所で、型崩れをしないように保管することを心掛けたい。
今回の購入したモデルについては、外装面よりも内部の劣化やべたつきがない方が重要であり、内装は、比較的しっかりと乾燥した環境で保管されており、非常に綺麗であったので安心した。
また、全体的な品質についてであるが、荒く使われることが多くなると、手垢などが多くついたモデルも多数見られるので、中古品を選ぶ場合注意してもらいたい。ギャランティーカード・シリアルシール・外箱や布袋なども揃っているモデルを選ぶ方が良いであろう。
最低限カードとシールは一体であって、真贋する際の保証となる。必ず揃っているモノを選ぼう。
同モデルについては、海外の直営店という事で、若干出所については考えるべきところであるが、それ以外は、特に問題はなさそうなので、販売前のモデルを半額程度で購入したのである。
美しく若い女性に懇願されると譲るしかないのがオトコの悲しい現実
次に、旧オークデータ (2018.06.30終了) を使い、シャネルのショルダーバッグの約 5 年間の総落札数と平均落札額をみていこう。総落札数は、一度大きく上昇し、後に緩やかな右肩下がりの状態となっており、現在は、約 2,000 件前後で、高騰前の件数に落ち着いてきている。
また、平均落札額については、約 6~8 万円前後が平均となっており、数年間安定した相場を形成している。総落札額や件数が高騰しても、平均額は安定していることから、古い品と新品に近いモデルが上手く混在しており、それがバランスよく取引されている感じである。

今回のモデルは、ヴィンテージ品であり、素材も安価なことから、リーズナブルに購入することができた。
何度か利用している知人のショップなので、安く入荷したときに連絡してほしいと伝えていた事から、買取査定額も若干低めで買い取れたようである。査定額に関しては、平均落札価格から、七掛けと言えば、おおよその原価がご理解いただけると思う。
このように、相場を知り、ある程度までの買取査定額 及び オークションでの落札額、店頭での販売額を把握できていれば、あまり無理をせずに取引が可能となるのである。
高級ブランド品を購入する場合、現在の高級ブランドの立ち位置やどのくらいのブランド価値なのかを新品 並びに 中古でも同時に把握しておくことは重要である。
上記のような相場グラフを作り、常に視覚的に具体的な数字を把握しておくことは、購入する際の指針となる。
今回のモデルについて、実際の購入価格は、約 75,000円ほどで済んだのも、しっかりとした計画が功を奏した。
相場よりも、大幅に安価に購入することが出来たのだが、冒頭で説明したとおり、彼女の知人がやはりどうしても譲ってほしいという事で、豪勢な夕飯を奢る条件で、購入価格よりも若干安めで、彼女に譲った次第である。
やはり、美しい女性に懇願されると、ノーとは言えないのがオトコの性であろう。上手く利用されていると言えばそれまでであるが、オトコを手玉に取らなければ、とても自分で商売する事もできないと思う。
女性がブランドを信じて買う。ブランド力の奥深さ、市場での力強さは、現金を受け取るときに初めて、その真価を認識できる瞬間でもある。
高いブランドには、高いなりの理由があるが、市場で高額な取引を可能にしているということは、そのブランドに信頼があるという事の証明なのである。