多くの人にとってどうでもいいモノが超高額に化けてしまう理由
コロナウイルスが世界を席巻中であるが、自粛生活中は、自宅にて「オンラインの仕事」をする機会も増え、そうしたなかで「欲しいモノ」がいつでも見てしまい、困ったことになっている。
仕事場に行けば、日中は誘惑に負けることがないのだが、趣味、ライフワークとして「ブランドコレクター」の私は、自宅での自粛中は、衝動買いという誘惑との戦いであった。
ついつい「ガラクタ」をオークションサイトや EC などで検索を掛け探し回り、欲しいモノを買ってしまいがちで、自粛期間中は逆に消費 (日用品や食料も含め) が増えてしまい、金銭的に困ってしまっている。
ブログに書くべきかどうか悩んだが、これから紹介するモノは、生活する上で多くの人にとって実は「どうでもいいモノ」である。
ただその「どうでもいいモノ」が超高額で取引されていると人は不思議なもので「目の色が変わる」のも事実である。
私自身「この商品が欲しい」という基準が世間一般と大きく違い「なんでこんなモノを」と昔から言われることが多かった。
最近では「ネット」を通じて、ヴィンテージラグジュアリーのブランド価値が、高額な取引額を通じ、数字で見えてきた事で、周りの見る目が変わったのが興味深い。
段々「あなたを理解できるようになりましたよ」とヴィンテージ品のブランド価値が、誰にでも分かる時代となり、理解がはじまったのは約 10 年ほど前からである。
そこで今回は、ヴィンテージ品でありながら、現在でも高い価値を維持し続けている (と言っても私がいま欲しいモノ) モノを独断と偏見で取り上げておきたい。
私は長い間、ガラクタを見せては「人の目の色が変わる瞬間」を多く見てきたわけだが、取り上げたモノを含め、まだまだ欲しいモノがたくさんあるのだが、一例を紹介していこう。
New Balance ニューバランス M1300 1985年 初期モデル
アーチサポートインソール や 偏平足などを治す矯正靴を製造するメーカーとして、ウィリアム・J・ライリーが 1906 年 ニューバランス を創業した。矯正靴のノウハウをベースに 1938 年代にランニングシューズの製造を開始。その後、1972 年 ジム・デイビス が同社を買収する。彼は、理想のランニングシューズを実現するために、自ら走る事で開発に従事したことで、独創的なシューズコンセプト「インステップレーシング」を確立。それを具現化したシューズは、多くのランナーたちから支持を獲得していく。以降、伝統を継承しつつ、最新のテクノロジーを集結した名作モデルを輩出し続けている。参照:男の100年ブランド
ニューバランスのなかで最も人気と言っても過言ではない 1000 シリーズの初代モデル M1300 である。
ニューバランスブランドのなかで、ランニングシューズの最高峰としてその礎を築いてきた。
個人的に言えば、ニューバランスのブランドイメージは、この M1300 モデルがいちばん最初にイメージする。
トレードマークとなっているスタンダードなグレーカラー と オーセンティックなデザインは安心して靴を選ぶことができる。
履き心地は抜群であり、比較的安価でありながら、ラグジュアリーの感覚を味わうことができる。
1985 年の誕生から、ニューバランスブランドのフラッグシップモデルである 1000 番台の初代モデルとして市場に投入され、圧倒的な履き心地の良さで人気を獲得。
ニューバランスを代表する唯一無二のモデルである。
オークファンを見ていくと、一言で言うと高い。高すぎる。あまりの人気で中古市場でも高額に取引されている。
初期モデルの使い古されたモデルで、約 120,000 円という高額な価格が付いており、もはや異常な状態である。
あまりの人気で復刻版が出ているが、それも抽選方式が取られており、誰もが入手できるとはいえない。
ブランド側も稀少性を引き上げ、限定戦略をとっており、抽選した出品者による高額な転売も行われている。
約 34,000 円前後で抽選販売されたモデルが、約 90,000 円戦後で売られている。
基本的に言うと、復刻版に興味がなく、初期のオリジナルモデルで、未使用品が出れば入手したいが、その状態で手に入れることはほぼ不可能である。
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HERMES SAINT-LOUIS サンルイ オードゥ エルメス 天皇即位記念 世界 400 本限定
エルメスが「平成 天皇陛下御即位記念」を祝し、世界 400 本限定に作られた オードトワレ である。
クリスタルブランドである「サン=ルイ」がボトルを手掛けているが、同ブランドはエルメスの傘下ブランド。
サン=ルイは、聖王ルイ9世 の名にちなむクリスタルガラスの老舗ブランドである。
エルメスが傘下のブランドを使い、コラボレーションモデルを手掛ける事とそれが日本の象徴を祝うために制作されたモデルが欲しいと思った。
エルメスは以前、ライカとコラボレーションモデルを制作していた。( 下記動画参照 )
エルメスのコラボレーション戦略は非常に秀逸であり、相乗効果の高いブランドを慎重に選んでいる。
平成時代において同モデルは、数は少ないが中古市場でも安価で取引されていたが、令和の時代となり価格が高騰。
限定戦略も相まって、現在でもほとんど見る事ができない。
出品者情報によると、香水博物館に 1 本所蔵されているとのことで、シリアルナンバーは 216/400。
現在何本が現存しているか不明であり、香水は未使用であっても時と共に蒸発し最後には無くなってしまう。その儚さがいい。
誰もが知るブランドでありながら、日本の為に平成の象徴を祝した、超稀少なコラボレーションモデルというコレクター心を巧みに掴む優れた逸品である。
未だに良い状態のモデルを見たことがない。どこかの家庭に飾られているのだろう。
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Royal Copenhagen ロイヤルコペンハーゲン フローラダニカ アイスクリームドーム
デンマークの至宝と謳われる世界一豪華なディナーウェアであるロイヤルコペンハーゲン「フローラ・ダニカ」シリーズ。
ジェリマンマリー皇太后の保護のもと、王室御用達製陶所として 1775 年に開窯し、国王クリスチャン7世の命により「フローラ・ダニカ」シリーズの制作を開始した。
ロイヤルコペンハーゲン は、デンマーク王室との深いつながりを持つ老舗ブランドであり、いまだに中古市場でも高いブランド価値を維持し続けている。
出品者情報によると、同モデルは、フローラ・ダニカシリーズの中でもとりわけ特別な「アイスクリームドーム(ディッシュ)」で、定価は、500 万円に迫る世界最高のテーブルウェアという。
オークファンを見てくと、高くて約 500,000 円前後と考えていて、約 300,000 円程度であれば、即決で購入することを考えていた。
実際当初は安価に売られており、段々と価格が高騰した印象である。倍程度価格が高騰したので、購入は見送ったというわけ。
当時欲しいモノが多く、予算の大半を腕時計に投じてしまい、フローラダニカシリーズにまで触手を広げることができなかった。
個人的に言うと、フローラダニカシリーズはコレクションにしたいシリーズである。
珍しい植物デザインであれば、その都度購入したいと思っている。
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Faber-Castell ファーバーカステル ペン・オブ・ザ・イヤー2004 琥珀
世界最古の鉛筆メーカーである「ファーバーカステル」は、ドイツの筆記具ブランドとして高いブランド力を有している。
最近のラグジュアリーブランドの多くは、コングロマリットの企業の傘下であり、グローバルな流通力によって、日本国内でも多く見られるようになった。
驚くべきことに「ファーバーカステル」は、ファーバー=カステル家 が保有しており、数少ない家族経営を行っており、創業家の子孫がブランドを守っている。
ブランドマニアにもなってくると、多数のブランドが買収されるなか、創業家が守るブランドで長期に渡り経営を行っている点で驚かされる。
LVMH や ケリング や リシュモン など多数のファッション業界大手企業体が存在するが、一通りブランドを見てきたが、最近はどれも同じに見えてきた。
新時代のラグジュアリーブランドなかで、買収しか考えていない成り上がりの資本家 (経営者) ではなく、本物の貴族や王族が、企業を直接経営すると面白い。
市場の流行や資金に縛られる事無く、とてつもなく高く非常に品質が良い「手に届かないラグジュアリー」の出現すれば面白いのだが。
同ブランドのなかで、特に欲しい逸品として挙げておきたいのが、ペン・オブ・ザ・イヤー2004 琥珀 である。
歴代のペン・オブ・ザ・イヤーの中でも特に高い人気を誇るモデルであり、なかなか市場でも出てこないモデルである。
当時の販売価格は約 315,000 円。万年筆一本でそこまでという人も多いだろう。
さっそく オークファン を見ていくと、中古市場でも人気となり、一度価格が高騰し、その後高騰したままの販売店も多く、定価以下のモデルを探しているが、良い状態のモノが見つからない。
元々数も少なく稀少性があり、良いモノが出たら必ずチェックしている。
Leica ライカ M3 オリーブペイントモデル ELMAR 50mm f2.8 1968年 38台
1954 年に市場に投入された傑作機、ライカ M3 である。
初の M 型としてバルナック型から驚異的な進化を遂げた今日まで続くライカブランドを象徴する存在となったのである。
独 連邦政府の官有品 製造番号 本体 1206988 レンズ 12-121-5971 、革ケース Bundeseigentum にも刻印があり、状態が良く欲しいと思った一点モノである。
距離計とビューファインダーが一体となったことで、精度が飛躍的に上昇している。
一眼レフやデジカメやスマートフォンカメラが時代の主流となっても、いまだに価格が高騰し続けており、人気は衰えていない。
オークファン を見ていくと、約 3,000,000 円以上と突出しているがかなり悩んだ。
出品者情報によると、ライカコレクターだった祖父の遺品とされ、20 数年前に銀座の三共カメラにて 500 万円で購入したという。
1968 年製造(1206962~1206999)の 38 台のうちの 1 台ということで、約 1,500,000~ 2,500,000 円前後と考えていた。
その後の価格が高騰し続けた事で、最終的に購入を見送った。
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掘り出しモノは偶然の出会いから生まれる
上記写真は「 UFO ロボ グレンダイザー」のフィギュアであるが、かなりボロボロな状態で売られていた。
なんだ「またガラクタではないか」という声が聞こえてきそうであるが、逆に「これほどのお宝を状態が悪いまま安値で放置しているのか」不思議であった。
当時、戦隊ヒーローモノ や ロボットアニメ、GIジョー などをコレクションしていた約 15 年以上前に、フリーマーケットで数百円で購入した掘り出しモノである。
その後、比較的コレクションが揃い、その整理の為に買取に出したわけだが、約 80,000 円前後 (何体か売ったのでうる憶えであるが) で買取してもらい、約 160 倍前後の利益となり、ちょっとした小遣い稼ぎとなったのである。
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人によっては、ただのボロボロのおもちゃや廃棄品であるが、ある人にとって何十万も積んでも欲しいモノはいくつも存在している。
大体において、ブランドストーリーとその背景を聞けば、将来にわたって高額になっていくモノがなんとなく分かってくる。
それらの現在価値を素早く見切り、出来る限り安値で入手してしまう。多くの人が投げ売りを始め、安値に放置されているブランドで、多くの人が「ガラクタ」だと言うモノほど化けやすい。
販売当初、売れなかったモノほどその流通量も少なくなり、またそのブランドから推理し、今後なくなっていくのか、それとも増えていくのかを考えるだけでも、投資する見る目が養われる。
掘り出しモノとは、突然現れては入手出来ず、あとで後悔する事が多い。その時に後悔しないように、欲しいと思えばその場で購入すると決めているが、なかなか上手くいかないものである。
上記 5 つのモデルは、初期に安値で放置されていて、価格が高騰すると分かっていたのにも関わらず、購入する寸前まで悩み、購入の失敗記録でもあるのだ。
ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀: 公正な社会への資本主義と民主主義改革
エリック・A・ポズナー (著), E・グレン・ワイル (著)
安田 洋祐 (翻訳), 遠藤 真美 (翻訳)
単行本: 480ページ
出版社: 東洋経済新報社
ISBN-10: 4492315225
ISBN-13: 978-4492315224