HASSELBLAD ハッセルブラッド:商社から製造業者を経て高級ブランド企業として地位を築く
究極のプロ用カメラというハッセルブラッドの不朽の評価は、カメラ自体とそのコダック製及びツァイス製レンズの設計品質の確かさ、そして1948年の発売以降獲得した、ライカによく似たある種の神秘性とを反映している。F・W・ハッセルブラッド社は1849年に商社として設立され、まもなく写真用品のスウェーデンへの輸入及び他社製カメラの自社ブランドでの販売をはじめた。写真部門であるハッセルブラッド・フォトグラフィカス社は1908年に設立され、イーストマン・コダック社の写真用品の総代理店となる。1940年にスウェーデン政府から偵察カメラの製造を持ちかけられると、HK7がハッセルブラッド社初のカメラとなり、約240台が生産された。
元々高額なモデルのうえ、稀少性があり高級ブランドのお手本のような二次市場での高騰ぶり
ハッセルブラッド の二次市場はどうであろうか。さっそく オークファンで市場の取引状況をみていこう。驚異的な価格が多く並んでいるが、元々高額であったモデルであって、ハッセルブラッドを買える顧客からみると、非常にリーズナブルに見えると思われる。
そうは言っても、何百万も払えるだけの一般的な個人も少なく、多くはプロが業務用として使う事が多いのだろう。また、数が少ない事と、根強いファンに支えられているのが分かり、ラグジュアリー・ブランドのお手本のような取引状況である。
日頃のメンテナンスが大事なカテゴリーであるカメラ市場なので、新品同然・未使用品が人気であり、レンズとデジタル系統のモデルが中心に高額な取引がされている。

NASA Hasselblad MKWE ハッセルブラッド 写真測量用 カメラ

ハッセルブラッド Hasselblad 503cw デジタル CFV-39

HASSELBLAD フィルムスキャナ Flextight 848

上記 3 点が個人的に欲しいなと思ったモデルである。NASA Hasselblad MKWE ハッセルブラッド 写真測量用 カメラなどは、建築用などにも使用でき、写真の重要性はかなりのウエイトを占めており、現場写真から、測量・美観における建築物を撮影するのにうってつけである。
また、同様にハッセルブラッド Hasselblad 503cw デジタル CFV-39も捨てがたい。それと出力について忘れてはならないのが、HASSELBLAD フィルムスキャナ Flextight 848 もなかなか中古市場で見かける事もなく、リーズナブルに買えるのであれば、事務所に一台は欲しいところでであった。
そして下記は、個人的に欲しいモデルの一覧である。美品クラスの良いモデルが出たら、手元に一台欲しいモデルばかりである。
革命的機能を備え秀逸な流線型のデザインで世界を席巻する

1942年からヴィクター・ハッセルブラッドは、民間向けに高品質のモデルを矢継ぎ早に市場に投入する。高機能を表す一番の特徴は、多くの種類のフィルムを早く無駄なく使える完全互換式フィルムバッグ機能は、革命的でありハッセルブラッド・ブランドの拡大に大きく貢献していくこととなる。
当初、ヴィクター・ハッセルブラッドは、機械設計を担当していたが、外装デザインを工業デザイナーのシクステン・セゾンを起用。初代サーブのデザインを手がけていた彼は、三脚で乗せても手で構えても使いやすい、鋭い角のない流線型のカメラを作り出す。
その後、1948年に1600Fが、1952年に1000Fを市場に投入。1957年には、ブランドのベーシックモデルとなる「ハッセルブラッド 500C」を市場に投入する。この「ハッセルブラッド 500C」はその後、60年に渡り生産が続けられ、ロングセラーとなり、2013年まで生産は続けられた。この成功によりブランド力は不動のものとなり、同社は大きく成長。
これ以降は、カメラが利益を生む事となり、高いブランド力を維持していく。だがその後、ハッセルブラッド社は、当初デジタル技術を等閑視していたが、多くのモデルが市場に投入されることにより、市場シェアを失うこととなる。
プロ写真家に支持を得て、NASAの宇宙計画のメインカメラにも採用される
ハッセルブラッド 500C を市場に投入したことにより、最も歓迎したユーザーは、プロ写真家であり、その間で急速に人気を得る事となった。内部外部最杖位とも高性能を発揮したハッセルブラッドは、万能モデルとして市場に受け入れられ、主にプロ写真家の愛用品として、多くの潜在的ユーザーを惹きつける事となった。
またハッセルブラッドは、NASAの宇宙計画のメインカメラにも採用される。これは写真に馴染みもない一般ユーザーまで広くブランド名が浸透した瞬間でもある。1962~1963年のマーキュリー計画で、ハッセルブラッド 500C が使われる。その後、宇宙飛行士が使用しやすいように改良が加えられていく事で NASA の信頼を得ていく。
1968年に初の有人軌道飛行を行ったアポロ 8 号でも、電気式の ハッセルブラッド EL が使われている。この際、もっとも象徴的な写真が撮影された。世に名高い宇宙飛行士ウィリアム・アンダースが撮影した地球の写真 「地球の出」 である。
史上最も影響力のある環境写真とも言われているが、この象徴的な写真で、またもハッセルブラッドの名声は不動のものとなる。このように、プロ及び人類史上大規模なプロジェクトに採用されるというブランドの地位と名声を引き上げるのは、オメガと似ているブランドストーリーであり、現代版のラグジュアリー戦略のメインストリームを駆け抜けた同社を、今後ともに目が離せないブランドである。
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参照文献:50の名機とアイテムで知る図説カメラの歴史