Rolleiflex ロ-ライフレックス:中古価格が高騰している二眼レフの高級ブランド
ライカが距離計連動カメラの王者ならばローライは二眼レフの王者である。ローライの生みの親であり、創業者フォクトレンダーを退社したパウル・フランケ (Paul Franke) とラインホルト・ハイデッケ (Reinhold Heidecke) の2人が初めて「ローライフレックス」を発売したのは1929年の事である。
ローライの独走を阻もうと、ツァイスイコンをはじめ世界中のカメラメーカーが次々と二眼レフを発売したが、ローライには太刀打ちできなかった。
1955年頃を中心に日本でも空前の二眼レフ・ブームが起こり、160機種もの国産二眼レフが勢ぞろいしたが、ローライを追い越すブランドはついに現れなかった。ローライは現在も二眼レフの王者として君臨している。
新品も含め高額な取引状況、高級ブランドのお手本のような二次市場での高騰ぶり
さて気軽に入札に参加して手に入れる事ができるオークション市場ではどうだろうか。オークファンで市場の取引状況をみていこう。
驚異的なリセールバリューであるが、数が少ない事と、根強いファンに支えられているのが分かる。
まさに高級ブランドのお手本のような取引状況である。やはりメンテナンスが大変な事もあり、新品同然・未使用のままで置いているのが人気であり、高額な取引がされている。
ロ-ライフレックス Rolleiflex 2.8F プラチナエディション
ローライフレックス Rolleiflex 2.8F プラナー
ローライフレックス ROLLEIFLEX 二眼レフカメラ ケース付
戦後の様々な改良を重ねながら、様々なモデルを発売し、世界の二眼レフ市場のトップの座を独走し続けて来ていることが、価格に影響している。
その他のブランドの二眼レフの内容は非常に安く、もはや価値のないアンティークが大半だが、ローライだけは高価格を維持し続けている。まさに独走状態である。
1960年には歴代ローライの中でも一番の名機といわれる「ローライF2.8」を市場投入。上記結果を見ても明らかであるが、現在の中古市場でも人気が高く高額な取引結果である。
撮影者だけでなく周りも楽しくなる二眼レフの王者
Reference:Rolleiflex Official Luxury Brand Site / Pintarest various user page :Rolleiflex twin lens reflex, 120 roll film, 2 1/4
なぜローライは二眼レフで王者となり、現在でも価格が高騰し続けているのであろうか。要因は二つに集約される。
1. 撮影レンズにカールツァイスを搭載している
ひとつには、撮影レンズにカール・ツァイスを採用したことである。二眼レフにはレンズがふたつあり、上のレンズはビューレンズ。カメラを通じ、被写体を覗いたり、ピントを合わせる為のレンズで、撮影結果に直接関係がないので、性能はさほど気にする事はない。
下のレンズは撮影レンズは文字通り撮った結果を左右しかねない重要なレンズである。なので、ローライは撮影レンズに最初のモデルからカールツァイスのレンズを付けていた。
2. 当時より作りの精巧さ質感の際立った高さ
もうひとつは、作りの良さと、質感の良さが他のブランドよりも際立って高性能であった事である。
フィルターやフード、クローズアップ・レンズなど交換できるファインダーなど豊富なアクセサリーが揃っている事も理由として挙げられる。
ローライは高級ブランドのお手本のような勢いであったが、思わぬ経営上の失敗もしている。フルライン化から低価格用各種カメラを生産するようになる事である。
1970年代にはシンガポール工場をつくり一眼レフの「ローライSL35」や日本のカメラメーカーがコンパクトカメラをつくるきっかけとなった超小型のmm「ローライ35」を市場投入する。
ところがユーザーにはまったく響かず、同じ機種でも、シンガポール製を嫌い、ドイツ製を選択する。そんな事から、やがてシンガポール工場は閉鎖され、二眼レフも新しいモデルは開発されなくなってしまった。
その痛い失敗から1987年には新生ローライ・フォトテクニック社からTTL露出計を搭載した「ローライフレックス2.8GX」を投入。
設立当時と同じブラウンシュバイクの工場でありドイツ製である。このように高級ブランドは、安い労働力を求め、アジアに拠点を移す事は、経営上でラクをしようと思ったようだが、そういう訳にはいかないのである。
あくまでもマイスターがドイツでつくる事に意味があるのだ。
Images courtesy :Pinterest.com
参照文献:趣味のドイツ・ブランド―日本で買える趣味のドイツ製品50ブランドの完全カタログ