ルイ・ヴィトン モノグラム ソミュールGM M40662:誰が買うんですかこんなボロボロのバッグと言われた
今回は、乗馬用の荷物を入れるバッグを探していて、知人から譲り受けたバッグの話である。
個人的に乗馬にハマっていた時期に、外でも使え、汚れても平気で、雑に扱っても構わない乗馬道具などを収納できるそんなバッグ。
そのバッグにピッタリだったのが、今回取り上げるソミュールGMバッグである。
当初は、ブランド品を現金化する手法ではなく、ブランド品を無料で引き取り、リペアし自身のバッグとするためだったのだが、思いのほか買取査定額が良く、そのまま売却することになる。
なぜこのようなヴィンテージヴィトンが国内にあるのか。過去日本では、ヴィトンが飛ぶように売れた時代があり、高度成長からバブル期において、誰もかれもが、ブランド品を買い漁った歴史がある。
日本では、リサイクルショップや質屋が合同し、定期的にヴィトンを質流れやワゴンセールするやり方を取っており、廃盤もしくは、バブル時代の過去のモデルが、大量に投げ売りするイベントが散見される。
ブランド投資の観点から考えると、リセールバリューの高い投資であり、投げ売りのセールであったも、万を超える金額でバンバン売れていくようである。
このようなセールには、中国人の台頭で、セール目当てで集まってきていたが、最近では沈静化している。中国人だろうと他の国であろうと、多くは転売屋なので、アジア圏で広く転売されることも多い。
比較的状態の悪いヴィトンは、二次市場でも多く売られており、その中から自分がリペアできるモノを探すのは非常に面白い投資でもある。
そんな中、出張する際や休みの日など、中古ショップを回って、ヴィンテージ品を買い、その後リペアし、使ったり再買取に回すのが好きなのだが、その時に知人から連絡を受けた。
なんでも家財処分中に、ヴィンテージヴィトンが出てきたので、使うかという提案を受け、乗馬練習に行く際に使わせてもらうという事で引き取ってきた次第である。
誰がこんなボロボロのバッグを使うのだろうねと、彼は価値無しと判断したようだが、私にとっては良い投資だと機会を得た次第である。
相場が分かっているのにボロボロのまま持っていったら業者に 8,000 円と言われる
最初にオークション落札価格はどうか「オークファン」を使って、落札相場データを収集し、どの程度まで、状態を回復させる事が出来るかを考えながら内容を検討する。ヴィトンは相場がしっかりしているので、比較的データ収集には困らない。
約 40,000~50,000 円代が、美品の状態のヴィトンの相場であるようだ。安くみても、約 30,000円以上で売らないと業者とは言えないのであるが、引き取った状態のまま、知らないフリをして、業者に買取査定に持って行った。
業者の買取査定額は、約 8,000円。譲ってくれた知人のご両親も、以前査定に持っていき、同じような額で買い取るという提案を受けて持って帰ってきたそうだ。
たしかに、約 150,000円以上払って、その価格であれば納得もできないであろう。販売価格が、約 30,000 円とした場合、約26%はボリ過ぎである。
最近思うのだが、これだけ業者が増えてきて、通常どおりの買取査定額が各社横並びだと競争力もなくなっていくであろう。
私が考えているように、リペア後の買取査定額を最初から盛り込んでおかないと、残念ながらもうすでに生き残れないのである。
LV ルイ・ヴィトン モノグラム ソミュールGM
ルイ・ヴィトン モノグラム ソミュール シリーズは、狩猟する人間の着替え、食料とするための獲物を持ち運ぶために作られた64年の「ジベシエール」よりヒントを得て、1986年に市場に投入されたのがはじまりである。
フランスの国立乗馬学校があることから、乗馬の中心都市である「ソミュール」にちなんでモデル名とされた。デザイン自体が乗馬用の鞍に似ているからである。
同モデルは、全体的に汚れやくすみが酷く、外装面はヤニとホコリが付いていたりと、外装を軽く拭いて撮影したが、もっと汚れた酷い状態であった。
内装に関しては、若干の埃と異様な匂いがあるが、比較的綺麗な状態である。
今回は、比較的状態の悪いヴィトンであるが、外装の汚れが酷いヴィンテージというだけで、良い投資である。
機能の面で言えば、内装はシンプルな構造で使いやすい。長時間持っても疲れにくい。欠点を言えば、その大きさの収納容量の限界まで、荷物を入れすぎて重くなり、逆に持つと疲れてしまう事である。
リペアを施し、寿命が付きかけたブランドの価値を引き上げる
まず念入りに外装の清掃を行い、機能上問題はないか再度チェックする。革の汚れやヤケ、変色などが酷い状態であるが、内装に関しては、特に目立つ汚れはなく、底に溜まった粉状のホコリを除く。
また今回は、匂いが酷いので、内装に消臭剤を塗布。また、消臭系統の溶剤を塗布した布を内部に詰め込み、バッグを膨らます。
外装は軽く濡れた雑巾でふき取った後、中性洗剤で泡立て柔らかいブラシで、細かなヤニや汚れ・手垢などのしつこい汚れを取り除いていく。
金属面は、青さびがこびりついているので、硫化物除去クリーナー液を塗布し、錆を浮き出させ取り除く。
その後、マイクロファイバー系の研磨用スポンジで外装表層をキレイに研磨する。研磨剤を何回か分けて作業をし、表面がサラサラになり、綺麗になっていく。
まだ、サラッとした外装だが、見た目が少し良くなった。そこで、しばらく乾燥させた後に、ドイツ製のレザークリームを塗布。レザー面になじませていく。
そうすると、しっとりとした肌触りとなり、表面がピカピカし、ある程度まで輝きを取り戻す事ができる。
簡単にリペアして持っていったら、約 3.5 倍の高額買取が付いた
上記の旧オークデータ (2018.06.30終了) をみていこう。ルイヴィトンのショルダーバッグの 約 5 年間の総落札数と平均落札額である。
総落札数は、少しずつであるが、減ってきている。また平均落札額は、上昇に転じ 約 25,000~30,000 円の価格帯に入ってきている。
引き取る前からこうしたカテゴリーごとの平均価格を把握しておけば、ある程度の価格まで売れてしまうことが分かってくるのである。
ヴィトンの場合、中古市場では抜群の安定を誇っているので、使い古し買取に出しても、この価格帯まで売れると予想ができるのである。
リペアに掛かった時間は、約 1 時間程度であるが、時給に換算すると、比較的良い部類に入るのではないかと思う。
今回は、買取に出さず、使う予定のソミュールGM であったが、世間話でその話をしたら、乗馬クラブのトレーナーから、他のブランドの丈夫なバッグを進呈してくれたので、必要なくなってしまった。
使う用途のなくなった比較的大きなバッグなので、置き場所等を考えたら、買取に出す方が合理的と考え、査定に出してみた。
結果的に、買取査定金額は、約 28,000円の買取価格を提示された。約 3.5 倍程度となったが個人的には満足している。
買取業者に違う目的で来店して、その後のソミュールGM が売れたのかさりげなく聞いてみたが、業者間を通じて、中国人の転売屋に売れたようである。
買取金で少し財布に余裕が出たので、譲ってくれた知人に事の経緯を話し、ご馳走(焼肉)をしたのは言うまでもない。
このように、ちょっとした知恵と実行力でコストを削減し、ある程度価値を引き上げる事は可能である。興味がある人は、財布が潤う手法を一度挑戦してみてほしい。