伝統的なクラフツマンシップで最高の筆記具を製造
アルフレッド・ネヘミアス、アウグスト・エーベルシュタインは共にシンプルなペンの製作を決意。後にクラウス・ヨハネス・フォスがこの事業を引き継ぎ、モンブランの礎が築かれた。1909年にはインク漏れのない安全な万年筆「ルージュ・エ・ノワール」を市場に投入。翌年にはモンブランの名が商標登録され、以降製造されている全ての筆記具にその名が用いられることとなった。1924年には代表作「マイスターシュテック」コレクションを発表し、モンブランの名を世界に広げ、その後も傑作万年筆を輩出し続けていく。現在では筆記具のみならず、鞄などのレザーグッズ、アイウエア、腕時計などの分野に進出している。
参照:男の100年ブランド
ドイツが生んだ世界の最高傑作マイスターシュテュックを買取してもらう
モンブラン マイスターシュテック ル・グラン ローラーボールペンの機構は、キャップ式 ローラーボール。ボディは、ブラックプレシャスレジン、キャップは、ブラックプレシャスレジン・ホワイトスター象嵌、クリップは、プラチナ仕上げ・シリアルナンバー入りである。
さっそくオークファンで取引状況を見ていこう。高額モデルによる取引は活況である。未使用新品同然のモデルは、約 3 万円までが高額取引されている。新品価格は、約 40,000~50,000 円 前後なので、比較的リセールバリューは高い。わざわざマイスターシュテュックを探す人も多く、モンブラン・モデルの中で抜群の知名度である。
マイスターシュテュックの万年筆ほど、ファンにとって心ときめくモノはないだろう。人気のモデルであるマイスターシュテュックの中でとくに「149」と「146」の人気が高く、象徴的なモデルである作家やエッセイストといった執筆業のなかに愛用者が多い。
全体的に言える事は、プラスチック樹脂製の太く、バランスのとれた胴軸の設計が非常に巧みであること。若い時は、設計図をいつも見てきた仕事をしている関係上、筆記具にはちょっとした「コダワリ」を持っていた。
図面に書き込む際など、軽く握るだけで、滑るように書けるため、長時間使っても、疲れない。これについては、モンブランの職人の手によって150工程かけて作られているという。大きなペン先が衝撃を吸収し、腰が柔く書きやすい。これについてはボールペンにも徹底されている。
キャップヘッドのホワイトスターは、モンブランのシンボルであり、1913年に誕生。モンブランの山頂を覆う万年雪のイメージは、常に最高の品質を追求してきたモンブランの最高傑作を意味するトレードマークとなっている。
高級な装飾品としてラグジュアリー戦略の限界とリセールバリューの上昇
モンブランは、92年以来「パトロン・シリーズ」と「作家シリーズ」という2種類の限定モデルを毎年発表してきた。モンブランを高級ブランド成らしめたのは、芸術や文化の発展に貢献した人物に敬意を表し、名を冠した限定品を発表するというラグジュアリーブランドとしてのブランド戦略を展開したことに他ならない。個人的に少しミーハーなところがあって、最初はその強い発信力で購入したきらいはあり、そこから惚れ込んだわけである。
今回のモデルは、知人からプレゼントされたモデルで、中国が成長著しい2007~2008年頃に中国市場に投入されたモデルである。プレゼントでもらったは良いが、使う機会もなく、そのまま保管棚に置いておいたモデルである。
非中核として、比較的新しいモデルに力を入れなくなってきたブランドに多いのが、稀少性の上昇に見られる二次市場でのリセールバリューの上昇である。今回は、未使用美品なので、買取査定も良く、約16,000円の査定結果を得た。またそれと同時に、査定結果を受けて、その売却資金を使って、新しい未使用品を購入しようと、少し変わったモデルはないかと探したのが下記のモデルである。
買取と同時にモンブラン スターウォーカー プラチナレジン ファインライナーを購入して使い続ける
モンブランは、万年筆ブランドとして有名であるが、最近では万年筆を使う事が少なくなってきた。その理由は、手間と時間、メンテナンスの煩雑さである。前回、シャーペンとボールペンは愛用している話をしたのだが、現在使っているモデルが古くなってきたことと、気分転換にマイスターシュテュック以外の 新しいモンブランを買うこととした。
ブランドチェンジせずに使い続けようと思ったわけだが、機能の面で言えば、現在の日本のブランドの方が良い面も多く見られる。これらも仕事でよく使うが、家で書物をする場合は、比較的モンブランの出番が多く、重宝しているのが実情である。
スターウォーカー プラチナレジンは、オーソドックスなデザインとダイナミックなスタイルモデルである。ブラックプレシャスレジンに、プラチナ仕上げのクリップ、キャップトップに浮かぶモンブランのシンボルマークは、新しいモンブランのスタイルを示し、これからの執筆ライフを楽しくしてくれると考えた。
また、意欲的でタイムレス、未来的なデザインを長期間楽しませてくれると思い購入してみた次第である。ちなみに新品価格は、約 50,000円前後であるが、約 17,000 円程度で購入できた。買取価格から約 1,000円ほど追加で払っただけであり、上記のオークファンデータを見ても、比較的安価に購入できたと思っている。
リシュモングループ傘下で新しいモンブランブランドの構築が行われる
高品質な筆記具を製造し続けてきたモンブランであるが、80年代 ブランド再編の波にさらされてしまう。ダンヒルから、リシュモングループに買収され、その傘下となる。
リシュモンのブランド戦略は非常に明快で、そのブランドネームを使い、筆記具以外のモデルを順次投入し、筆記具を非中核ビジネスにしてしまう。
もはや芸術の域であるカテゴリーと稼げるカテゴリー、製品ラインの中心と入門製品カテゴリーでモンブラン・ブランドの維持を図っている。
時計、フレグランス、革製品などリシュモンのブランド戦略はあたり、2013年度の売上高の6割弱は、腕時計、フレグランス、革製品などが占めるようになる。
ブランドが戦略上、製品カテゴリーを変えていく戦略を前回、「 ピラミッド型ビジネスモデルからみえる高付加価値を維持する 6 つの高級ブランド事例 」でも取り上げたが、製品ピラミッドを少しづつ下へと量販し、売上を拡大する戦略が取られている。
これに関しては、多くのラグジュアリーブランドでも同じような戦略が取られており、まさに時代の流れであり、万年筆やボールペン・シャーペンのような高級筆記具がとくに必要とされなくなった事も大きい。
その他の製品モデルで、利益をカバーするのはある意味致し方ないが、それでも高級筆記具といえば”モンブラン”である。