シェアサービスが次々登場するが、微妙に顧客ターゲットがズレている例が見られる
シェアリングエコノミーの浸透は、かなり進んできており、身近な話では、カーシェアリング や 自転車等のバイクシェア や モノの置き場を提供するモノオク【前々回記事参照】など。
また【前回の記事】では、オフィス家具 や 住宅などの家財について取り上げたが、多くの人が、モノを再利用することが多くなってきたことは、個人的にも良い時代だなと思う。
現在日本では、梅雨から夏に向けて、衣料品の衣替えの季節が到来しており、日本は暑くなり、正直めんどくさい季節になってきたなと感じる次第である。
ファッションに敏感な人であれば、季節ごとのファッションを楽しむことができるだろうが、多くの人が、日々忙しく仕事や子育てなどに追われていると、正直ファッションなどどうでも良くなってしまうものである。
例えば「メチャカリ」というサービスがあるが、当初「洋服が好きな若い層」をターゲットとしてサービスが始まったようだが、シェアリングエコノミービジネスについて、事の本質が理解出来ておらず、狙っている層が間違っているという事に、私個人としては、最初から気づいていた。
狙うべきは、仕事や子育てで忙しく、ファッションに振り向ける時間がない層 や ファッションにはさほど興味がなく、キッカケを与えれば、オシャレしたいと気づくが、どのようにすれば良いかという潜在的な中年層 (体型が変わりやすい年齢層であり、ふくよかな人でもサイズに幅が多数選べる) などを当初から狙うべきであった。
ちょうど彼女 (ファッションに興味があり、借りてでも着まわしたい仕事が多忙な層) も、サービス当初の CM を観ていて 「10代から20代前半の若い女性ばかりで、経済力のあるおばさんは借りれないのか」と半笑いで呆れていた次第である。
今回の CM を見て、おそらくだが、サービスを行う上で、想定されるターゲットが違う事に企業が気づき、CM の内容も若干変わってきており、言い回しを変えることで、あらゆる層にリーチを伸ばしたいという思惑が CM から見て取れる。
CM に起用されている 日向坂46 は好き ( アイドルグループが好きと言うと、年齢的に若くない彼女に睨まれる ) だが、サービス当初は、本来狙うべき「真のターゲット」の女性には響いていないようだった。
ファッション企業として、大金を掛けて有名人を使いたがる企業体質が続いているが、現在では「メチャカリのあるライフスタイル」として、視聴数はアレ (本来こちら側を全面に打つべき) だが、後に実際利用している層 (20代後半から) に向けたコンセプト動画を公開している。
以上が、最近私の身近な参考例として、シェアリングサービスについての内容だが、企業が想定するターゲット と 企業に収益性をもたらし、ブランドとしてサービスを長く愛用する「真のターゲット」とは、実は微妙に相違するものである。
サービスの提供者 と 利用者との相違は多々見られるわけだが、まだまだ、大手企業については、時代の変化を捉え、生活が激変し、現在の顧客が求める「新しいサービス」に気づいていないことがある。
そこで今回は、衣料品のシェアサービスのなかで、想定されるターゲットを「仕事着」という視点からサービスを設計し、挑戦している企業 と 衣料品のサービスの今後の広がりで「あれば良いな」思う内容を取り上げたい。
オアシススタイルウェア:スーツにみえる作業着の定額制サービス
オアシススタイルウェアは、去年の年末から、スーツにみえる作業着「ワークウェアスーツ」の定額制サービスを開始している。
現在、法人向け月額サービスであり、月額 3,000円から利用が可能となっている。これまで作業着の月額サービスは存在すらしていなかったわけだが、なかなか斬新な取り組みなので、良いサービスだなと思った次第である。
ワークウェアスーツは、撥水・防水・速乾を武器に、高いストレッチ性を備え、丸洗い可能であり使いやすい。ただ、最も気になる膝裏などのシワ ( ここが一番気になり面倒なのだが ) はアイロンが必要なようで、形状記憶的な機能はないようだ。
レンタルの内容については、スーツが届き、季節ごとの衣替え、破損や色落ちなどでの交換、サイズ変更、買取などがサービスに盛り込まれている。
料金体系などみると明らかだが、価格は通常のスーツ並みにかかり、機能を試してみたいが、価格がネックになっているユーザーには、月額3,000円から借りることができる。
個人的に、長く作業服で仕事をしていた関係上、このような取り組みは嬉しい。デスクワークとフィールドワークが半々だったときや、顧客への対応もする必要があったり、作業服だけの機能はどうしても限界があった。
コンセプト動画をみると、さらにイメージが理解できるが、様々なシーンで、一着で通用するようにする事は、服飾関連の企業がなぜか取り組んでこなかったのか不思議である。価格は高いが、コンセプトは素晴らしいなと思っている。
また、私は元々、独力で企業を運営する「いせやさん」が好きで、同グループ企業である「ワークマン」に、長期投資している関係上、ワークマンで作業服を購入して、使用することが多いのだが、ワークマンが「在庫・継続保証作業服 G-NEXTシリーズ」の 新ラインナップで、さらに企業の技術の粋を集めて、カッコよく「新型スーツ型作業着」を安価に提供してくれるとありがたいのだが。
このように、同企業グループなどが、全国に展開するその流通網を活かし、シェアリングエコノミービジネスを上手に行えば、大きな成長と高い安定性、環境に配慮した企業として、地域格差を是正し、社会的貢献にもつながる。
上記も含め、様々なシーンで使用できる服のレンタルサービスは、今後増えていくことを期待している。
ワイクリン:宅配でYシャツのレンタルとクリーニングをセットで行う
ワイクリン ( Yclean ) は、1か月分のワイシャツを定額で レンタル 並びに クリーニングをセットで出来る宅配サービスである。
月額の利用料は、8,800円からで若干高いが、購入をしたり、洗濯の手間を考えると、一度検討する価値のあるサービスである。
ワイシャツを月額でレンタルとクリーニングできることは、独身サラリーマン や 出張中のサラリーマンには良いサービスである。
洗濯屋に持っていき、取りにいく手間と時間を削減しているところがいい。サービスを利用すると、1ヶ月分 ( 約 20 着 ) が自宅に届く。
1 日 1 着着用でき、返却する際は、月一回の専用回収袋にまとめて送るというもの。シンプルなサービスほど使いやすい。
返却されたワイシャツは、クリーニングマイスターが仕上げるので、非常にクオリティーが高く、衛生面でも毎日清潔に保つことができる。
また、レンタルしているワイシャツには、ナンバリングが施されており、レンタル中は同じワイシャツが貸出され、他の人が着たワイシャツが届くことはない。
個人的には、仕事で出張が多い企業で勤務していたが、その勤務先の元同僚が、出張先の賃貸物件を利用をしていた際に、ワイクリンを利用していることを知った。
また考えられることは、女性用の仕事着や男性のインナーや靴下や下着、ハンカチやネクタイ、などにもソリューションを広げることもできるだろうし、通勤カバンのレンタル並びにクリーニング ( ブランドバッグ や 服のクリーニングサービスはすでに存在し、私も利用している ) サービスも考えられる。
ワイクリンの動きをみていると、他社との提携が多く、推測であるが、提携企業の顧客を取り込むことで、認知度向上と利用者の不満や要望を集め、ノウハウを蓄積しているのであろう。サラリーマンが多く使うサービスなので、上手いやり方である。
今後も、様々な企業との提携が考えられ、あなたの使っているサービスで「ワイクリン」の名前を聞くことがあるかもしれない。
衣料のシェアリングエコノミーは様々なサービスが考えられ需要がある
ワイクリン や オアシススタイルウェア などの仕事着にフォーカスしているが、衣料に関しては、様々なサービスが考えられる。季節物の取り扱いについてが、私としてはネックである。
例えば、冬物のコートや布団や毛布などの「シェアリングエコノミーサービス」があれば、非常にありがたい。寒い冬の期間中、コートや布団はずっと同じ物であり、それを定期的に洗濯し、使うわけだが、これがとにかく面倒である。
コートや布団や毛布など、冬物の衣料をワンストップでソリューションする「ワイクリンやオアシススタイルウェア」のような「衣替えの手間を軽減する」月額サービスを提供したら、間違いなく利用するであろう。
それら衣料品や布団や毛布は「モノオク」のような保管サービスを使い、シーズンオフ中は、クリーニングした後、一定期間保管し、時期が来たら、サービスを利用するといった具合である。結構需要があるかもと思ったりするわけだが、衣料品のサービスについては様々考えられる。
その他、すでにあると思うが、制服系の職業 ( 警察や消防、学校、医療関連、建設、陸海空公共系サービス など) の法人系のワンストップサービスを展開すると、大きな需要と安定した経営ができる。
制服系の人だけでなく、その職業に就く家族に向け、衣料品のトータルソリューションもコーディネートすると、家事の負担も軽減することも可能であり、上手くサービス化すれば、さらに大きな受注を獲得できるだろう。
とまあ、人は生きていく上で衣料は必要であり、ファッション系はとくに、大量に作っては売り、流行ばかり追いかけ、大量の在庫を抱えがちであり、地球環境にも負荷の掛かるビジネスである。
そろそろアパレル産業は、流行ばかり追わず、大量に作り余った在庫を安売り(セール)したり、廃棄したりせずに「大量に作ることから、過去の余剰在庫を再利用し続け、足りない分、必要な量だけ作り売る」ということを企業は真剣に取り組む時期に来ている。
それが出来て尚且つ、利益を出し続ける企業が、生き残っていくのである。
参照:ぼくたちに、もうモノは必要ない。 – 断捨離からミニマリストへ –
内容(「BOOK」データベースより)
持ちモノを自分に必要な最小限にする「ミニマリスト」という生き方。ぼくはモノを減らすことで何もかもが変わり、なぜか毎日「幸せ」を感じられるまでになってしまった。誰かと比べてばかりいて、みじめだった。将来への不安で、ずっと停滞していた自分が動きはじめた。最小限にしたからこそ、見えてくる本当の豊かさ。モノが少ない幸せがあることを知った。 モノも情報もあまりに複雑化した現代。そのノイズに阻まれて、本当に自分に何が必要なのか、何を大事にしたいのかさえわかりにくくなっている。できるだけ多くのモノを手に入れるのが唯一の正解だった時代はもう終わった。それがほんとうの「幸せ」にはつながらないことをなんとなくみんなが気づき始めている。生き方にはもっと自由な選択肢があっていいはず。他人の目線ばかり気にした世界から、自分の声に耳を澄ませてみること。断捨離からミニマリストへ。終わりのないモノへの追求から一度思いっきり距離をとってみること。これはもう一度「幸せ」について考え始めることに他ならない。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐々木/典士:編集者/中道ミニマリスト。1979年生まれ。香川県出身。早稲田大学教育学部卒。出版社のみを志望し、3年間就活をする。学研『BOMB』編集部、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』編集部を経て、現在はワニブックスに勤務。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、ミニマリズムについて記すサイト「ミニマル&イズムless is future」を開設
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