荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋
漫画家・荒木飛呂彦氏が1987年より連載を開始した『ジョジョの奇妙な冒険』は、2017年に誕生30周年を迎えました。荒木氏の圧倒的かつ精緻な筆致によってジョースター家の血縁と因縁を描いた本作品は、力強く生きる主人公たちを中心とした数々の魅力的なキャラクター、印象的なポージングや斬新な擬音など、他では見られない革新的なアイデアによって多くの人の心を震わせ、愛されてきました。そしてこの度、30周年の集大成としての展覧会『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』が巡回します。1987年から連載が開始した『ジョジョの奇妙な冒険』。本作はその歴史と共に、作品そのものはもちろんのこと、その世界観や影響力が波紋のように拡がり続けています。本展では、初公開を含む豊富な原画や関係資料をもとに、多角的かつ斬新な手法を取り入れた展示で展開する <JOJO> の祭典となります。参照:荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋 より
今回は、漫画家・荒木飛呂彦氏が、1987年より連載を開始した『ジョジョの奇妙な冒険』は、2017年に誕生30周年を迎えたことにより「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」の大展覧会が開催されたので、少し前に展覧会を見に行った雑感などを簡単にではあるが記しておきたい。
ジョジョの 金鉱脈 キラーコンテンツ「スタンド (幽波紋) とは」
「スタンド」とは「パワーを持った像(ヴィジョン)」であり、持ち主の傍に出現してさまざまな超常的能力を発揮し、他人を攻撃したり持ち主を守ったりする守護霊のような存在である。その姿は人間に似たものから動物や怪物のようなもの、果ては無機物まで千差万別である。参照:スタンド- Wiki
第二部の当時の連載を見ていた読者としての客観的な感想は「波紋は分かりにくい」ということであった。
個人的にはいちばん好きな部だが、やはり、漫画というフィールドでは、ビジュアルやデザインが重要であり、東洋の仙道に伝わる秘術の光線では「ビジュアル映え」しないというのは理解できる。
波紋だけでは、物語のアイデアや広がりに回を追うごとに枯渇していくことが見えてくるのである。
そこで考案されたのが、後ろから「パンチが出てくる」というまさに天才的なアイデアであり、いろんなキャラクターが描け、アイデアが無限に展開できる手法を考案したのである。
スタンドの発明は、誰も金とは言わないが、金鉱脈を掘り当てたという心境を荒木先生が自らインタビューに答えている。
たしかに、約 30 年もジョジョを連載し続けることが出来たのも、この「スタンドの発明」がキラーコンテンツとして、世界的に人気となった原動力と言っても過言ではない。
ブランドにいちばん大切な「一貫性」を「スタンドというアイデア」で無限に表現でき、第三部より各部に、フルライン化され、連続展開されることになる。
荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋~展覧会のみどころ
荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋~購入したグッズなど
描き続けることの偉大さ継続することの重要性は、ラグジュアリーブランドそのもの
今回の展覧会では、1~8までの企画構成となっており、秀逸な展覧会と思った次第である。個人的にいちばん良かったのが、大量の手描きの原画を見れたことである。
1.ジョジョクロニクル、2.宿命の星 因縁の血、3.ハイ・ヴォルテージ、4.スタンド使いはひかれ合う、5.映像展示 AURA〈アウラ〉6.ジョジョリオン、7.JOJO’s Design、8.新作大型原画「裏切り者は常にいる」となっている。
比較的、初めての人でも楽しめる構成となっており、ジョジョの世界を一気に理解できるように企画されている。
主人公や舞台を変えながら、脈々と受け継がれるジョジョ達の数奇にして壮大な「運命の物語」を振り返り、各部の主人公とライバルを振り返りながら、豊富な白黒原画やカラー原画とともに、己の「信念」を激しくぶつけ合う圧倒的な戦闘シーンを取り上げ、「最高潮のバトルシーン」を一気に展示している。
また展示後半は、ビジュアルデザイン集団 WOW が、映像展示 AURA〈アウラ〉企画していたり、現在進行中の「ジョジョリオン」斬新な発想や手法、印象的なポージングの生み出し方、ファッション、色使い、構図など「ジョジョのデザイン」を取り上げている。
最後に、新作大型原画「裏切り者は常にいる」荒木飛呂彦氏が本展覧会のために描き下ろした完全新作の大型原画、全12枚が展示されており、荒木飛呂彦氏の「創作の集大成」がすべて公開されている。
大よその流れをまとめることが出来たので、このあたりから展覧会の感想を少し記しておきたい。
まず、お土産に関しては、原画集が欲しかったので、東京はすでに入手していたので、大阪バージョンも追加で購入。
展覧会は、東京会場(国立新美術館)と大阪会場(大阪文化館・天保山)を観れたが、展示原画の一部を変更されており、大阪編は若干原画量が少なかったのが、ちょっと残念だった。
今回の展覧会は、個人的にも好きな漫画なので、展覧会に持参した約 50,000円程度の予算で、受注生産用の高級複製原画を購入しようと思っていたが、私が好きな第三部の「ザ・ワールド」の原画がなかったため、ポスターで我慢することにした。
上記アニメ映像で確認できるが、初めて「ザ・ワールド」のスタンド能力が明らかになる象徴的な瞬間の原画である。
その週のジャンプにて、DIOの世界「ザ・ワールド」を見た時、時を止める段階で、これはもう無理だろと思い、さすがの承太郎の「スタープラチナ」でも、一度負けて退却して策を練り直し、再び対戦するかもと当時は想像したものである。
展覧会で、荒木飛呂彦氏の創作の秘密に関しても紹介されていたが「荒木飛呂彦の漫画術」を展覧会前に読んでいたので、創作の秘密に関する展示において、理解はより早くできた。
私が、学生時代から社会人になるまで、週刊少年ジャンプで読んでいた 第一部から第三部までの少年漫画と違い、もはやひとつのブランドとなっており、芸術の域にまで達している。
最初、私が想像していた客層は、私のような中年のオッサンや漫画オタクが会場ではたくさん見られるかと思っていたが、意外と女性が多く、男性の方が少ないという印象であった。
少し前に知ったのだが「徐倫、GUCCIで飛ぶ」の短編漫画を通じ、その絵が、世界約 80 店舗のグッチの店頭でコラボレーションされてから、女性のファンが一気に増えた印象である。
展覧会に来た女性を見ると、グッチのカバンや服を着た女性が多かった次第であり、私のような一部の漫画オタクが見ていたホラー漫画とは違い、はじめて物語を見る女性にも分かりやすく、ファッショナブルな方向性に向かっているようである。
最近の画風は、絵が上手く洗練され過ぎて、不気味さや後味の悪さ、ホラーテイストやグロテスクなイメージが薄められており、力強く荒くゴツゴツした印象は皆無だった。
社会人になってからは、仕事に熱中していて、あまりジョジョは見ていなかったので、この機会に、最新話までコミックを購入して、読んでいきたいなと思っている。
もう一度、漫画を見直す機会としては、非常におもしろく最高の展覧会であった。最後に、下記にリンクした最近読んだ「荒木飛呂彦の漫画術」を近い将来、書評として掲載したいと思う。