Cartier/カルティエ:腕時計の歴史を拓いたリシュモングループの盟主
グランメゾン、カルティエの時計進出は、19世紀末に3代目のルイ・カルティエが経営参画した事からはじまる。彼は、スイスとはまったく異なるアプローチで、時計部門を設立。1900年代に入り、ルイはエドモンド・ジャガー(ジャガー・ルクルト代表) と邂逅する。1904年に飛行家アルベルト・サントス=デュモンの依頼を受けて、世界初の男性用腕時計「サントス」を完成させたのである。その後、1917年にはメゾンを代表するモデルでもある「タンク」も誕生した。メンズウォッチの歴史を切り拓いたカルティエは、2010年になって初の自社製自動巻きムーブメントを搭載した「カリブル ドゥ カルティエ」を世の男性に向けて開発。2012年にはメゾンを象徴する「タンク」の新型、今年はメゾン初のダイバーズウォッチを発表。リシュモングループの盟主として創造力豊かな開発を行っている。
参照:腕時計の教科書
カルティエ マスト タンク ヴェルメイユとは
今回は、腕時計の中でも手に届くラグジュアリーの代表的なブランド、カルティエ についての記録である。カルティエのブランドの中でロングセラーモデルなのが、マスト・ タンク シリーズである。
タンク・ルイ・カルティエとは 「戦車の轍」 がモチーフとなっている。タンクは、1917 年にデザイン化されており、ルイ・カルティエは、戦車が道を通過した後のキャタピラ跡を見てデザインを着想。ちょうど「フランス軍反乱 」があったときである。
1919 年あたりから、命名され初代モデルが市場に投入されている。角型時計の源流と言っても良いだろう。完成度の高いシンプルなデザインは、時代を超越するという分かりやすい例である。
マスト・タンク・ヴェルメイユシリーズは、銀無垢 (シルバー925) ケースに 「20ミクロンGP(イエローゴールドコーティング)」 処理が施される。
このシリーズのみが 「Must de Cartier」 の筆記体のロゴが全面に配されるシンプルなデザイン。
初期のシンプルさは、カルティエ・モデルの基本的な DNA を継承したデザインである。どのブランドでもそうだが、源流に近いシンプルなデザインが好みである。
剣型の青焼針 (ブルースティール) に白文字盤の組み合わせは、気品と落ち着きを与える。大人のためのデザインである。
戦車というイメージからか「剛」のイメージだが、角型デザインについてはどちらかというと、女性的で品のあるデザインである。
どこに着けて行っても違和感がなく、あらゆるシーンで活躍することができる秀逸なモデルである。
手首へのフィット感に一番適しているのは、角型ケースモデルかもしれない。個人的にも角形ケースタイプの腕時計を愛用していたときがあった。
シンプルで、全体的にドレス路線に各ブランドが向かうなかで、正統派の角型腕時計は少ないのである。
中古市場では 多数出品されており リセールは良いが、古いゆえメンテナンスは必要
ではさっそく「オークファン 」で相場を確認していこう。価格帯のセグメントを見ると、約 50,000~60,000 円程度である。
カルティエについては、宝飾加工品のモデルも多数存在しており、高額なモデルも多数存在しているが、ステイタス性のみに注目すれば、安価でシンプルなモデルで十分である。
機能的に一般的なモデルを多数選べるモデルが 「手に届くラグジュアリー」 のセグメントである。
今回、聞いた話だが 約 35 年ほど前のモデルを売却していくので、安価なモデルといえども、約 40,000 円以上の買取価格がつくこと自体がちょっとした驚きであった。
今回のモデルについて言うと、経年により、レザーベルト先端及び本体の付け根あたりやサイズ穴の面に折れ曲がりの跡が多数出ている。
もし購入を考えている方は、替えのベルトがあるモデルを選んだ方がよい。プレゼントとして選ぶ場合、ベルトの使用感はマイナスである。
本体を磨き・オーバーホールをして綺麗にしても、ベルトの使用感は出てしまう。今回は売却をするが、個人的には本体を購入後、ベルトの新品を後で付け替えてプレゼントするようにしている。
年数を経ても高額に取引されるのが高級ブランドの強み
王の宝石商・宝石商の王として名を馳せたカルティエ。高級腕時計が売上の半数を占めるぐらい腕時計という分野で大きな成果を上げているのが特徴的である。
高級腕時計市場シェア 約 22% 前後と言われ、スウォッチにつぎ2位の地位を占める。
女性の高額なリングや腕時計の定番と言えば、カルティエになるだろう。このような高額なブランドは、対象となるモデルの知識を得てから購入する計画を立てても、まったく無駄ではない。
時間を掛けて調べれば調べるほど、高級ブランドはリーズナブルに購入できてしまう。この調査や研究時間を惜しんではならない。
上記は 「オークデータ 」 における 約 5 年間の「マスト・タンク カテゴリー」 の平均落札額のデータである。微増ながら年々平均価格は上昇傾向にある。
ただ流通量が多いので、価格は比較的平均を保ち、買いやすいブランドであることを示している。
買取価格についても、約 45,000 円の買取価格を査定してもらったが、その後、知人の時計修理業者にオーバーホールに出して、約 3,000 円程度を掛けて、売却を完了した次第である。
約 42,000 円の利益が出たわけだが、財産を処分しながら考えることは、当時 親族がプレゼントでもらった価格を考えると、いかに日本の景気が良かったことがよくわかるのである。
このようにカルティエの腕時計は、資産価値も高く角形時計のロングセラーを探していて、好きな人には最適なモデルとなるだろう。