大半のモデルが総崩れとなった 2022 年のロレックス中古相場

ロシアによる ウクライナ侵攻 や 中国の景気の後退、世界は、先行きの見えない世の中となってきており、ずっと高騰し続けてきたロレックス相場がひとつの山場を向かえています。
日本国内では、円安と物価高騰で、さらに国民の生活は厳しくなり、混迷を極め、国力の低下と悪化していく経済状況が続き、働く人々には賃上げも追い付かないという負のスパイラルに陥っています。
景気に敏感に反応する高級品市場のひとつに、大幅に崩れた2022年のロレックス相場があります。
一年相場を見てきましたが、その一年を振り返っていき、俯瞰してまとめていきたいと思います。相場参照情報は、カカクコムを参照としています。
カカクコムは、多くの中古販売店が、自社サイト販売ページのリンクを張り、リンク経由で販売したい事から、私たちエンドユーザーにとって役立つサイトとなっています。
ロレックスの中古相場は、一体これからどうなってしまうのでしょうか。
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コスモグラフ デイトナ 116500LN

今やロレックスを代表するモデルともいえるデイトナですが、そのなかでもホワイト文字盤の相場はどうなっているのでしょうか。
見ていくと、去年の2 月の末に、約 7,100,000 円前後を付けてこのまま上昇するのかと思われましたが、約 1 年が経過し、現在の価格は約 5,000,000 円近くに値下がりが起きております。
少し下落したとは言え、いきなり値上がりすることも考えられますので、予断を許さない状況が続いています。
コスモグラフ デイトナ 116506 アイスブルー

先程、デイトナ白文字盤を取り上げましたが、そのなかでもアイスブルー文字盤と言われるとんでもなく高額なモデルがあり、その相場はどうなっているのでしょうか。
見ていきますと、去年の3 月の上旬に、約 27,000,000 円前後を付けて、このまま上昇するのかと思われましたが、約 1 年が経過し、現在の価格は約 17,500,000 円近くに値下がりが起きております。
約 10,000,000 円前後下落しており、保有期間が延びれば延びるほど、損失が拡大する恐れのあるリスキーなモデルとなってしまっています。
現在の相場を見ますと、高額商材の長期保有は、経済状況を考えれば、非常に危険な状況となっています。
ミルガウス 116400GV

続いては、ミルガウスです。去年の2月初旬に 約 2,000,000 円というありえない価格を付けたときより、後に徐々に下落しております。
10月あたりから、ガクンと価格が下がっており、現在では約 1,600,000 円前後を付けておりますが、今までが異常な価格帯でしたので、個人的に思いますが、まだまだ高値圏を維持しております。
GMTマスターII 126710BLRO

続いては、GMT マスターIIです。去年の1月末に約 4,000,000 円代に突入し、異常な高騰となっていました。
現在のところ 約 3,000,000 円の底を付けて、若干上昇局面にみえますが、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
エクスプローラー 124270

続いては、エクスプローラーです。同モデルについては、2021 年 5 月中旬に、約 1,900,000 円前後とバブルのような価格となりました。
異常な高騰が突然終わりを告げ、いきなり大幅な下落を記録し、2021 年の末に約 1,200,000 円の底値を付けた後、2022 年は上昇と下降を繰り返し、現在下落局面になっています。
基本的に同モデルは、すべてのモデルのモデルケースとして考えられる事から、ある日急激に下落して底値となり、その後上昇と下降を繰り返すモデルがこれから出てくる恐れのある動きとなっております。
サブマリーナーデイト 126610LV

続いては、サブマリーナーデイトです。グリーンサブと言われているモデルです。
去年の 2 月の上旬に、約 3,350,000 円というあえない高値を付け、その後上昇と下降を繰り返しながら、約 2,500,000 円前後をウロウロしています。
持ち直したかと思い、上昇局面で売買を行った業者さんもいると聞きましたが、うっかり高値で買取してしまうと、あっという間に下落して損失が発生する恐れのあるリスキーなモデルとなっています。
投機が目的で、頂点あたりでご購入された方は、現在どのような状況なのか、そのあたりお聞きしたいところです。
シードゥエラー 126600

続いては、シードゥエラーです。比較的長く若干上昇、横ばい、その後少し上昇を繰り返してきた、固めの相場を形成してきたモデルです。
2022年 2 月下旬に、約 2,300,000 円の高値を付けた後、一度相場が崩れ、その後上昇。その後下落して上昇を繰り返し、11月あたりからずっと下降し、現在どちらに動くか分からない動きとなっています。
2017年 当初付けた初値よりも、約 200,000 円前後高値であるため、買い替えする場合は、早期の売却が必要かとおもわれます。ただその場合でも、損失は避けられない状況まで値下がりしています。
スカイドゥエラー 326934

続いては、スカイドゥエラーです。同モデルも下落もなかなかの落ち込みを形成しています。
2022 年 4 月下旬に、約 4,650,000 円の高値を付けた後、ずっと下落が止まらず、現在 約 3,500,000 円前後まで下落しており、人気に若干の陰りが出てきております。
2021 年当初の上昇価格まで下落しておりますので、これからご購入される方は、もうしばらく様子見を行い、2017年前後の価格を付けてからでも、遅くはないのかと思います。
今までの異常な高騰相場の下落は適正相場への序章かもしれない
2022 年の相場については、冬から短期間の異常な高騰が起こり、春から秋、現在までにかけて、ズルズルと下落していく状態が多くのモデルでみられた事です。
すでにその兆候、2021 年のエクスプローラーの相場で、大幅な下落を記録しており、その後、大半のモデルで相場の崩壊がはじまったわけです。
仮に再び上昇相場が始まったとしても、今までのように、資産価値の上昇がずっと続くわけではないということが分かった事です。
若干相場が崩れても、いずれ上昇していくだろうという幻想は過去のものとなりつつあります。
それは成長国で大幅な需要がベースとなっており、今までの牽引役は主に中国市場でした。
相場下落の要因は、ロシアによるウクライナ侵攻や中国の景気後退で、富裕層が買わなくなってきたことが要因とされます。
ですが、今までが異常だったわけで、本来の市場に戻りつつあり、個人的にはホッとしている次第です。
ずっと高騰し続けたロレックスの相場の下落は、本来のファンにとって手が届きやすいブランドとなったわけで、昔ながらのファン(私たち)にとっては朗報ですね。
さらに、ロレックスブランド自体も、認定中古 (公式:ロレックス認定中古時計) を市場に多く出して供給量を増やした場合どうなるでしょうか。
多額の購入資金を出して、中古販売業者で購入していた本来のファンは、供給が満たされた認定中古で購入した方が得 (金額及び保障やアフターサービス) と分かった場合、適正価格で行きわたりやすくなり、需要と供給の関係も改善に向かいます。
そうなるとさらに、販売業者間での販売価格の異常な高騰は抑えられ、下落傾向がさらに進んでいく事になると考えられます。
ブランド側が、転売の過熱を抑制するために、認定中古品を適正価格で販売し入手しやすくすれば、転売市場もある程度沈静化されるでしょう。
個人的には、パテック・フィリップ のように「時計の中古市場価値を保たせる」というブランド戦略にシフトし、ロレックスブランド自体が、廃番となった中古モデルも、市場からある程度買い取ってしまい、認定中古品市場を作り、高騰し続ける異常な市場と買い占めてしまうバイヤーによる転売の抑制に動き出してもらいたいと思います。
ロレックスをはじめ、その他のラグジュアリーブランドも、認定中古市場をつくり「時計の中古市場価値を保たせる」という考え方が広まれば、多くのブランドで、市場の正常化も進んでいくでしょう。
また、中国やその他成長国の相場の低迷で、転売屋や中古腕時計販売店が幅を利かせた時代は陰りが出てきております。
仮に中国の景気が持ち直し、高騰相場が再び起こっても、また景気後退で、大幅に崩れる恐れがありますし、ロレックス自体の認定中古戦略次第で、ずっと高騰し続けるという幻想はもはやないわけです。
中国の景気後退と相場の下落、ロレックスの認定中古戦略は、本来のファンに、適正価格で正しく届くようになってほしいと思いますし、これからも相場の推移を見守っていきたいと思います。
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発刊以来20年間、さまざまな世界情勢のもとで発表されてきたロレックスのモデルを詳細に紹介。また、その代表的なモデルの相場をまとめる『ロレックス 近代史』を大特集。
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