2030年までに起こるリテール 3 つの構造変化
2020 年以降の日本の消費市場 ( 国内経由で海外も含め ) をどう予想し、次世代のビジネスに繋げていくか、そのあたりの興味から、同僚や上司と軽く話をしていた。
ちょっとしたキッカケでふと気になり、家に帰って Amazon で書籍を物色していた際、本書【 2030年アパレルの未来:日本企業が半分になる日 】に興味を持った。
読み進めるうちに、私も、2030年の消費市場の予想された通りの買い物をしていて、ハッと気づき、簡単にではあるが、ブログにまとめておこうと思った次第である。
本書では、リテールの構造改革変化か起こる背景には、以下の 3 つの構造変化があるという。
❶ 消費者の価値観の多様化 が起こり、❷ テクノロジーの進化 がさらに進み、❸ プラットフォーマーの強大化 が起こり、日本のアパレル EC 化の比率はさらに上がってくるというのである。
Amazon や 楽天 などのプラットフォーマーがさらに規模を拡大し、従来型の企業は統廃合が行われ、多くの場合、生き残るのは至難の業となるのである。
多くの企業は、今からでも「プラットフォーマーが出来ない」戦略を展開することを勧める。
Amazon や 楽天 などのプラットフォーマーに飲み込まれないようにどのようにするのかを考える必要があるだろう。
また、プラットフォーマーの得意分野を賢く利用しながら、企業防衛に努め、彼らが出来ない「差別化されたブランド価値」を提供することで戦う必要に迫られる。
今回は【 2030年アパレルの未来:日本企業が半分になる日 】という書籍を通じて、2030年頃の消費市場はどうなっているのかその大胆な予想が非常に面白かったのでご紹介したい。
とても 見識にあふれた書籍なので、個人的にもビジネスの面で大いに参考にさせて頂きたいと思った次第である。ご興味のある方は手に取って熟読して頂きたい。
消費者の多様性は 8 つのセグメントに分けられる
消費者の価値観を多様化し、独自の価値観を持った8つのセグメントに分かれる。
商品やサービスを提供する側は、どのセグメントかで価値を提供していくかが重要であり、セグメントが曖昧なプレイヤーは、消費者から見向きもされなくなるという。
❶ ライフスタイル追求 層
アウトドアや音楽のように好きなアクティビティや趣味・嗜好がはっきりしており、それらが生活の中心になっている人達である。
❷ 消費志向層
高収入で都市部に住み、快適なアーバンライフとバケーションが生活の中心となっている人達である。
❸ 伝統重視・保守層
伝統を重んじ、最もコンサバティブな価値観を持つ人たちである。
❹ 人間・家族重視層
家族や友人との関係性構築を価値観の中心に据えており、中産階級に多い人達である。
❺ 社会志向層
地域や国の社会問題、環境問題などに対して関心が高く、倫理的な価値観が最も強い人達である。
❻ 先進・革新志向層
テクノロジーやイノベーションに対して最もオープンで、精神性や革新性に重きを置いた価値観の人達である。
❼ 快楽主義層
後先考えず自分の好きなものを純粋に楽しむ、熱狂することをモットーとする人たちで、スポーツや ミュージシャンなどの熱心なサポーターであることが多い。
❽ 倹約志向層
全ての消費行動において価値観よりも金銭を優先する、所謂ケチと呼ばれる倹約志向の人達である。
これらのセグメントは、文化や民族性によって、世界各国で同様の価値観は存在し、国によりセグメント構成が異なる。
例えば、中国では全般的に消費意欲が高く「倹約志向」層が少ない。一方、日本では、長くデフレが続いたことにより「倹約志向」層が多い。
文化や経済事情を背景とした特徴を有している。日本の場合、グローバルで一般的な「社会志向」層、「先進・革新志向」層、「快楽主義」層の三つが少なく、価値観が希薄で流されやすいフォロワー層が大多数である。
個人的に言えば、「先進・革新志向」層 と「伝統重視・保守」層 をブランドやサービスごとに使い分ける消費を行っているが、必ずしも全てに当てはまるわけではない。
日本では、生粋のフォロワー層が多かった団塊の世代が、今後10年間で市場から消えることを加味すると、今後、日本でもグローバルと同じように 8 つのセグメントに分化していくという。
ちょっと日本は、特殊な分化だと思うが、その流れは分からないではない。
小売業界の未来を示す 7 つの価値軸
下記 7 つの価値軸で、巨大なプラットフォーマーである Amazon や 楽天 が得意とするのは、「1. 利便性追求 」と「2. ロングテール対応 」であり、それらの価値軸と被らないように注意を払う必要があるだろう。
❶ 利便性追求
利便性追求とは、消費者にありとあらゆる利便性を価値提供していくプレイヤーである。
❷ ロングテール対応
ロングテール対応とは、品揃えを勝ちとするプレイヤーである。
❸ プライスリーダー
プライスリーダーとは、低価格を訴求価としたプレイヤーである。
❹ カテゴリーキラー
カテゴリーキラーとは、嗜好性、専門性が高い特定の領域に特化することで、独自の価値を創出するプレイヤーである。
❺ ライフスタイル提案
ライフスタイル提案とは、消費者に新しい価値観やコンテンツを提案することを価値とするプレイヤーである。
❻ エンターテイナー
エンターテイナーは、消費者を楽しませるリアルな空間での非日常体験を提供価値とするプレイヤーである。
❼ ローカル対応
ローカル対応とは、今後都心と地方の差が広がる中で、地方独自のニーズや立地に立脚したプレイヤーである。
すでに百貨店やコンビニエンスストアの成長の限界と緩やかな衰退は誰の目にも明らかであり、同じ価値軸を提供し続ける企業体力があれば良いが、Amazonなどの巨大なプラットフォーマーに、直接の勝負するのは避けた方が無難である。
大半の企業は、その他「3. プライスリーダー」「4. カテゴリーキラー」「5. ライフスタイル提案」「6. エンターテイナー」「7. ローカル対応」 5 つの価値軸が求め、Amazonなどの巨大プラットフォーマーを有効利用する方が、共存共栄が図れるというのである。
これから10年後、私たち消費者はこのようにアパレルを選んでいる
本書で書かれている未来のアパレルとはざっとこうなると予想している。
アパレルを選ぶ際は、すべて AI のパーソナルアシスタントを活用し、自分好みのサイズ・デザインにカスタマイズしてくれる。
毎日のアパレルは「定期宅配サービス」などで送られてきて「専用アプリでワードローブの管理ができ、毎日のコーディネートを提案」され、 自分で選ぶことが希薄化され、着ているアパレルのブランドは、実はあまり知られることはない。
提供されるアパレルには IC タグが付いていて、使用状況を管理され、サービス提供側が、クリーニング や 着なくなった服の買い取り提案までしてくれる。
一人一人へのアパレルのコーディネート提案 や 自分好みのアパレルが、自動的に送られてくるサービスなど、私たち消費者とアパレルとの関係がテクノロジーの進化で、大きく変わってくるだろうと言うのである。
ここからは私見であるが、賢い読者の方はお気づきであろうが「自分自身で考える」ということが希薄になってきているのである。
アパレル業界のみならず、大方のサービスは、このようにテクノロジーの進化によって、消費者自身が「深く考えることなく」便利なサービスを享受することができると考えられている。
要は、所有することから、必要な時だけ利用するといった具合である。この「深く考える必要もなく、サービスを受けることが出来る」事が、これからのビジネスを提供する側は重要である。
すでに、サブスクリプション方式 によりサービスを提供する企業の参入が相次いでいる。先回りして時代を読んでいるのである。
ファッションサブスクリプション 例を挙げればキリがないが、メチャカリ、エアークローゼット、ブリスタ、エディストクローゼット、アールカワイイ、ワイクリン など枚挙に暇がない。
また同時に、日本では、デジタル化のスピードは遅いとしており、2025年ぐらいになると、団塊の世代 や 団塊ジュニア世代の割合が減り、ミレニアル世代や Z 世代 が台頭してくると、一気にスピードは加速し拡大の一途を辿るというのである。
賢い読者 (ビジネスマン) であれば、旧世代が消え去った後の未来への準備を始めるべき時であり、消えゆく消費者を追うよりも、これから伸びてくる新しい消費者に、いかにビジネスでアプローチできるか、そのことにより企業は、今後10年を通じて、さらに未来へ生き残っていくのである。