【シェアリングエコノミー】交通弱者向けシェアサービスと増加する高齢運転者の事故に伴うモビリティの成長分野の可能性について

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日本は、少子高齢化と人口減少により、極端な過疎化と過密化が同時に進行する

 

【シェアリングエコノミー】交通弱者向けシェアサービスと増加する高齢運転者の事故に伴うモビリティの成長分野の可能性について

 

新しいシェアサービスについて取り上げているが、様々な分野で、社会的問題を解決するサービスが増えていることは、個人的に良い時代になってきていると思う。

ただ、未だに社会的問題を解決できていない分野も多く、政府による支援や補助、企業による新規参入などがさらに増える事を期待したい。

私個人のブログでも、日本で起こる様々な社会的問題を解決する新サービスをいくつか取り上げていきたいと思っている。

現在の日本は、少子高齢化人口減少により、極端な 過疎化過密化 が同時に進行する今まで経験したことのない時代を生きているのである。

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移動について考えていくと、少子高齢化と人口減少により、過疎化が進んでいる地方では、交通公共機関のローカル線などから、年々利用者数が少なくなり、廃線などが進んでいる。

また、電車やバスなどがない過疎部では、クルマに頼る生活を余儀なくされ、利用する人々は、高齢となっている場合が多く、近い将来クルマが運転できなくなった場合「買物難民医療難民」の問題が増大していく。

一方で大都市部では、最近でも話題になった急速な再開発【武蔵小杉の開発例:武蔵小杉の問題点は「街づくりを誰もやらない」】などを行う事で、人口減少どころか、人口増加が進み、一極集中という悪循環を生み出している。都市部で見られる満員電車や大渋滞などは、このような悪循環の結果なのである。

また、移動以外の過密都市で見られる問題は、猛烈なビル風 や ベランダ等からの物の落下、災害が起こった場合、ガラス張りの建物によるガラスの飛散など、過度な都市開発は、人間の生命の危機をいつも感じて生活をしなくてはならない。

一方で、過疎化し、ローカル線などの廃線を招き、一方で、過密化し、満員電車や大渋滞を招くというこれらの問題点は、少子高齢化と人口減少によって、現在の都市計画とそれに伴うモビリティが、時代のニーズと合っていないという事を示す。

そこで今回は、交通弱者に向けた新しいシェアサービスを取り上げるのと、現在もっとも便利なモビリティであるクルマにおける問題点とその課題、これからの成長分野である新しいモビリティの可能性を考えていきたいと思う。

 

コンビ / ZuttoRide:子供連れの東京観光客向けのベビーカーレンタル

 

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参照:StrollerTrip コンビの最高級ベビーカーを無料でデリバリーレンタルするサービス

 

今後増える観光客対策について、様々なサービスが開始されている。東京23区内のみであるが、子供連れの観光客に向けて、ベビーカーのレンタルサービス「Stroller Trip」を開始した。

サービスを提供するのは、ベビーカーブランドの「コンビ」が 製品並びにメンテナンスノウハウまで提供し「ZuttoRide がサービスの運用を行うようである。

お互いの得意分野を活かし、「自社の宣伝 と 保険やロードサービス」などを導入してもらうために、新しい顧客と考えているファミリー層への取り込みを行いたいと思惑のあるサービスである。

サービスは、Webで受付を行い、宿泊先のホテルでベビーカーを受け取ることができる。利用料金は、3 泊 4 日 7,000 円からレンタルすることが出来、子供連れの観光客に向けた分かりやすいサービスでもある。

 

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参照:ZuttoRide 株式会社 バイクロードサービス、盗難保険/自転車の事故、盗難保険

 

ターゲットを子供連れの観光客に絞ることで、効率的かつ低コストで、サービスが構築されており、ホテルを利用することで、拠点を素早く拡充でき、尚且つ、Web、ホテル、長年構築したサービス網すべてを組み合わせることで、人員と維持管理費を極限まで減らす事ができる優れた設計である。

「ZuttoRide」 が構築したサービス網はそのまま利用できるわけだし、最もリーチが取りやすい東京23区内のみと範囲の絞り込みもされており、さすが、大企業同士のサービスで、ベンチャー企業のようなビジネスモデルの隙や無駄がない。

少子高齢化、人口減少問題が起こっている現在の日本では、国内では顧客が減り続けるビジネスを行っており、一見逆ザヤにみえるサービスであるが「どのようにお互い生き残るか」という企業側の模索が見てとれる。

今後、全国展開され、あなたの地域 (地方在住の場合) にも、同サービスが見られるかもしれない注目のサービスである。

 

WHILL:高齢者や障害者向けに次世代型電動車椅子の施設内レンタル

 

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参照:WHILL 次世代型電動車椅子・パーソナルモビリティ

 

今後、様々な施設や公共機関などで見る事ができるかもしれない次世代型電動車椅子が「WHILL」である。

製造販売を行う「WHILL」は、観光施設をはじめ、スポーツ施設、劇場、美術館、ショッピングモール向けに、車椅子の月額レンタルをスタートさせた。

月額費用は、1台あたり23,000円と若干価格が高く感じるが、傷害保険や動産総合保険、定期点検など全て含んだ価格であれば納得もできる。

足腰の弱い高齢者や障害のある人に向けての同サービスは、これらの人々の移動をサポートする。施設での利用を通じて、製品を体験でき、良ければ後に購入もできる。

下部映像は、横浜市と同社が「WHILL」を使用したシェアリング実証実験「ヨコハマ未来モビリティショーケース」を開催した様子である。

映像を見ていると、新しい移動手段としての役割も取り上げられ、事業化に向けた検証並びに、実際に街に出て使用している様子が分かり、様々な公共交通機関降車後の移動手段として可能性は非常に高い。

 

 

同製品は、日本のみならず、欧米でも、実用化され販売までされており、グローバル市場でも通用する優れた車椅子である。

今までの車椅子では、介助者に押してもらうことで、移動することがほとんどであり、環境負荷の少ない電動車椅子は、今後伸ばし方次第で、大きな成長市場になる可能性が高い。

サイトを見ると分かるが、様々な企業が投資を行っており、有望市場ということがわかる。この企業は、個人的にもスタートしたときから注目していた。

創業からグローバル市場に向けて、シリコンバレーに拠点を設立したところが良い戦略であり、日本人が経営する企業なのに、最初は日系の企業に投資されず、米国のベンチャーキャピタル「500 Startups」に先を越されており、日系の投資関連企業が「後追いで投資」を行っている所が、何とも見る目を疑う。

現在では、高齢者や障害のある人向けの車椅子という切り口で考えているようだが、クルマを改良することで、一般顧客に向けた移動を提供する新サービスとして利用することができるだろう。

例えば、山間部で坂道の多い「買物難民 や 医療難民」に向けた家までの「ちょっとした距離の移動」などにも使うことが出来たり、複数の子供連れ向けの買い物を補助するための「施設内」での移動 や 空港など大きな荷物が多い人向けの荷物を乗せることができる「空港内」での移動 や 企業でも、製造現場での「大規模工場内の移動」でも使えたりする。

つまり、目的地まで歩くことに少し抵抗があり、わずかな距離がある場合 や 大きな施設内 (企業や工場) での移動、公共機関での降車後の観光地やその他目的地までの移動は、一般人の私でも、移動が面倒であると心理的に感じる所にニーズがある。

今後、様々に改良された車椅子をみることが出来て、もし広く一般的に投資出来れば、個人的にも投資して、後押ししたいと思わせる魅力的な事業である。

 

日本のこれからのモビリティを考える場合、交通弱者の安全と経済力に絞ってサービスを提供する

 

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参照:毎日新聞 – ザ・ルポルタージュ:高齢ドライバー事故急増 免許返納で問題は解決しない!

 

現在日本では、高齢者の危険運転問題が深刻である。実際、メディアが取り上げる前から、高齢ドライバーの危険運転は増えていたのであろう。

東池袋自動車暴走死傷事故神戸市営バス暴走事故 等、高齢ドライバーによる多数の事故が大きく報道されたことで、今後、政府や企業により高齢ドライバー対策が取られていくであろう。

現在の自動車においては、オートマを中心に、操作を簡単にする方向性で作られているが「免許を取れば誰でも簡単に運転できるようにする」という事は、運転者自身の自信や過信を招きやすく、判断を誤れば、凶器に変貌すると言う事を自動車メーカー各社は、真剣に考え、恐竜化する自動車作り【デカく重く「車の恐竜化」は止められないのか】の方向性を改める必要もある。

少子高齢化人口減少という二正面の問題を抱える日本では、大きなクルマは今後必要なくなってくる。仮に大きなクルマが売れ、多くの人が乗っていたとしても、乗る人数は少なくなり「恐竜化し、価格が高騰して、日本の道路環境に合わない環境負荷の大きいクルマが本当にいるのか」という問題を先送りする。

現在一番小さなクルマは軽自動車であるが、軽自動車においても大空間化が進んでおり、軽の基準で作られているが、普通自動車のような豪華仕様のモノまである。

 

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参照:初のトップ5独占、止まらない軽自動車シフト:日経ビジネス電子版

 

メーカー側として、多くの顧客を取り込みたい気持ちは分からないでもないが、軽自動車の過度な依存と価格高騰は、社会的な方向性としては危うい方向であり、軽は安価で実用的、様々な用途で使いやすいから良いのであり、豪華仕様にして、販売価格を安直に上げるモノではない。

軽自動車を充実させるより、安価で安全性を高めた「超小型モビリティ」の開発を推進し、小さく、自動車事故の凶器となりにくい環境負荷が掛かりにくい「より小さなクルマ」が多く走る方向性を検討してはどうかと思う。

案外、自動車メーカー各社は賢く、数年前前後から、超小型モビリティの開発を進めている。また、国交省が中心となり、「超小型モビリティに関する公道走行を可能とする認定制度」を創設し、地方自治体、観光・流通関係事業者等の主導により、導入に優れた取り組みを支援する補助を実施している。

映像は、日産自動車並びにトヨタの自動車メーカー各社の映像である。

 

 

上記映像は、日産自動車の「日産ニューモビリティコンセプト」映像である。映像では、徳島県三好市の急峻な四国山地であり、公共交通機関やマイカーなどで行くのが難しい場所での「超小型モビリティ」利用が取り上げられている。

 

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上記映像は、トヨタ自動車の 超小型EV「TOYOTA i-ROAD」が実際に東京の公道を走るモニター調査を実施したときの映像である。なかなか優れたコンセプトである。

今後、少子高齢化に伴い、経済的に自動車を購入する余力のある人が減ってくるのは明らかであり、先進的な技術を導入した自動車などのモビリティは、広く社会に安くシェアされるような仕組みとなっていくであろう。

日本の多くは、山間部であり、急峻な道や曲がりくねった道、非常に狭い道など多く、地方では、まだまだ自動車に頼る生活を余儀なくされている。

 

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また、過密都市部においても、道路も狭く、車道が大半を占有し、歩道においては殆ど幅もなく、保育園や学校に行く幼い子供は、メーカー各社が作り続ける大型化する自動車により、危険と隣り合わせで、自動車に占有されていない狭い歩道のなかで通学している。

このような道路事情を考えると、本来「超小型自動車」の方が日本の道路には合っている。そう考えると、出来る限り「小さくコンパクトにかつ環境と安全を最大限考慮した安価なモビリティ」が、日本のメインストリームとなる日も近いかもしれない。

モビリティに関わる企業は、ミニバンなどの大型化と軽自動車への過度な依存、生産効率と利益のみを追求し、台数至上主義を考え直す時期であり、これ以上、モビリティの運転を誤る事で、人を殺傷し凶器にするモノづくりを改める必要がきているのである。

実際、クルマ離れが叫ばれて久しいが、大手は、顧客の「真のニーズ」を汲み取らず、上流工程ばかりやっている場合ではなく、いまと同じようなモノづくりでは、近い将来「自動車などいらない」と多くの顧客に見放されてしまうだろう。

参照人口減少時代の都市 – 成熟型のまちづくりへ (中公新書)

内容(「BOOK」データベースより)
人口減少と高齢化、低成長に直面する日本。だが本当の危機はこれからやって来る。上下水道や交通ネットワークといった身近な公共インフラの維持・更新、空き家問題への対策などには膨大な費用がかかるが、自治体は破産寸前だ。本書ではこの危機を逆に「住みよい都市」実現のチャンスととらえる。投資と効率性の視点から地域内の所得と雇用、独自の財源をもたらす都市経営のあり方とは。発展を続けるための戦略を示す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
諸富 徹:1968年(昭和43年)、大阪に生まれる。同志社大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。経済学博士。横浜国立大学経済学部助教授などを経て、京都大学大学院経済学研究科/地球環境学堂教授、専攻、環境経済学、財政学、地方財政論。著書『環境税の理論と実際』(有斐閣、NIRA大来政策研究賞、日本地方財政学会佐藤賞、国際公共経済学会賞受賞)など

■ Reference Image :Pixabay



About PG編集:道長

食べる事と寝る事に一生懸命な旅人。 世界は感染症や戦争で混沌としておりますが、平和になったら平和な国を旅をしたいと準備しております。 先代の管理者様より、サイト管理・記事制作を委任しております。 ※現在は写真提供をして頂いております。

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