急激に増えるリノベーション業界のサメ、買取仲介業者が良い中古マンションの価格を高騰させる
個人によるリノベーションをもって不動産投資、いわば転売や賃貸目的などでビジネスをしている人々には天敵の存在となるのが買取仲介業者である。
著書【住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話】では、様々な不動産の怖い話を取り上げており、非常によくまとまった書籍なので参考にして頂きたい。
最近の中古マンション市場を支えているのは、個人のリノベーションもさることながら、リノベーションを行う新しい参入業者が買取仲介業者である。
これまでの仲介屋は、仲介手数料を収入源とする仲介業者がほとんどであったが、自らが買取、リノベーションして再販する買取仲介業者が目立つようになってきたようだ。
これについては、利益率向上を図る業者の利益拡大策が大きく起因する。買取仲介業者は、リノベーションを専門に行うリノベ技術を吸収して、自ら発注を掛けて、数百万程度で魅力的なリノベーションができるようになってきているのだ。
また不動産仲介業者や設計事務所母体のデザイン事務所系が建設業者と組み、参入してくるケースや建設業者自体が設計施工販売を兼ねて、参入してくるケースもあり、もはや何屋か分からないようになってきているが、形態はどうであれ、ワンストップでソリューションして儲けを拡大したい輩には変わりはない。
安く仕入れて高く売る転売屋のサメは買い続け売らなければ死んでしまう
できるだけ安く仕入れて、リノベーションをして高く売る。基本的に簡単なビジネスモデルであるが「買う⇒リノベーション⇒売る」というサイクルを繰り返す為に、毎月一定のマンションを仕入れ買取をしていく必要があり、需要が見込めそうなマンションであれば、即買取をしてしまうのである。
いわば、止まれば死んでしまう「サメ(鮫)」同然なのである。個人がリノベーションをしようとする条件の良い物件は、考えている間に、買取業者にすべて買い取られてしまう。
個人にとっては天敵。掘り出し物はほとんど手に入らないようになっているという。一方で、中古を買おうとしている私を含め、購買層にとっては選択肢は増えた事になる。
買取業者の弱点は、売る圧力が強く早く売却しカネが回らなければ即倒産になるということ
個人が売主の場合、保証の問題でいささか弱いところが露呈してくる。個人で多い主な保証条件は以下のふたつ。
- 保証なしの現状渡し
- 2ヶ月程度の保証
この二つが一般的であるが、業者が販売する場合、中古物件でも2年が基本となる為、中古マンションは買いやすくなる。相手が買取業者であれば、個人よりも買い叩きやすいメリットも忘れてはいけないのである。
つまりは、「買う⇒リノベーション⇒売る」の「売る」に注目することが、安く買い叩く秘訣である。
所詮、業者は「サメ」なのであり、売らないと、キャッシュが底をつき、カネがなくなると即倒産となってしまうからだ。
決算期やキャッシュが枯渇している場合、売らなければ死んでしまうという圧力に悩まされるのが買取業者の弱点である。
この買取業者の弱点は、同じビジネスモデルを展開している企業や個人店舗でも同じであり、どんな売り物であろうと、買取業者特有の弱点なのである。
例えば、買取仲介業者は、約1000万円で仕入れて、約2000万円で売り、リノベーション費用や諸経費が約500万円程度として、利益は約500万円。利益率は、25%である。この皮算用でうまく買い手が現れるほど甘くはない。
この仮定された数字に決算期が近づいてきたり、一時的にキャッシュが枯渇する時期を知る事ができれば、購入者側としては非常に良い機会に恵まれる事となろう。
ただし、部屋の広さや様々な条件によって異なることには注意が必要と【住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話】は教えてくれる。
つまりは、買取業者の弱みを知り、業者との情報格差におけるボッタくり価格を補う為には、企業の決算期や企業の内情や詳細な情報を取る事。それは優位な購入の主導権を握る事がある程度可能になるのである。