【不動産心理学:返報性・ハロー効果・アンカリング】あなたが高額物件と長期ローンの罠に引っかからない為に知っておくべき 3つの心理
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【不動産心理学:返報性・ハロー効果・アンカリング】あなたが高額物件と長期ローンの罠に引っかからない為に知っておくべき 3つの心理

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【返報性の原理】ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを用い高額物件を断らせ、売りたい物件に誘導

 

返報性の原理は、人は他人から何らかの施し等してもらうと、そのお返しをしなければならないという心理である。

この心理を利用して、小さな貸しを意図的につくり、大きな見返りを得る為に様々な手法が用いられる。

不動産というのは、大変高額な商品であるが、これらを勧める上で、多くの見込み客に、断られる事を前提に、多くの心理を取り入れている場合が多い。

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至近な例では、試食がある。試食は本来は、無料で食品を提供し、味を客が確かめ、購買に値すると判断した場合に買ってもらうプロモーション戦略のひとつ。客は店員から直接食品を手渡されることによって、味いかんにかかわらず商品を買わなければいけないという気持ちになることが多い。参照返報性の原理

著書【 住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話 】 では以下のように取り上げられている。3つの質問で、年収を見極めるという。あなたも同様の質問をされてはいないだろうか?

 

1. お仕事の最寄り駅はどちらですか?
2. 家族構成は何人ですか?
3. 現在お住まいの家賃はどのくらいですか?

 

①番目の「お仕事の最寄り駅はどちらですか?」は、仮に自分の最寄駅が都心のオフィス街であれば、大企業勤務と推察でき、どんな職業の人間かおおよそ把握できる。

また企業があまりない駅の場合、「今日はお休みですか?や、どのようなお仕事をされているのですか?」など、属性に応じて「住宅ローンをどれだけ組めるか」を知りたいのである。

②番目の「家族構成は何人ですか?」という家族構成を聞く質問であるが、夫婦であれば共働きか、専業主婦か、何歳くらいの子供が何人いるかという質問が続くパターンが多い。

もし、共働きであれば、貯金額が多く、ローンの頭金に回せる資金も多く見込め、より多くの住宅ローンが組めるのではと推測し、将来の家族計画のためにと、より広い部屋に案内する。

③番目の「現在お住まいの家賃はどのくらいですか?」は、その答えで、営業マンは、①、②の質問における推測が正しい事を確認するのである。

これらの質問を通じて、実際購入できる最大の金額はいくらかを探っているのである。

要はどれだけ「金ずるを嵌め込む」かでしか、営業マンは質問してこない。私たち顧客を属性でしか見ていないのである。また、こちらから聞かれた内容しか答えない事も、営業マンの特徴と言える。

上記の得た情報から「手が届きそうだが少し届かない高額商品」を勧めてわざと断らせ、顧客が買える上限の「業者が望ましく低額と思わせる商品」を同時に勧めると、見込み客は断りにく くなる心理を利用するのである。

相手の譲歩に対して、こちらも譲歩しなければという心理を上手く働かせる事が、返報性の原理であり、譲歩的依頼法:ドア・イン・ザ・フェイス・テクニ ックである。

 

【ハロー効果】後光効果を用い、業者が早く処分したいボロい物件を良い案件と思わせ誘導

 

人は自分が好意を感じている人に対して、承認しやすいと言う傾向があり、あらゆる取引を有利に導こうとして、自分の魅力を高める事に注力する。

不動産業者は、ほぼ全員が背広を着て、身だしなみを整え、爽やかな印象を与えようとするが、これも一重に身体的な美しさが、社会的相互作用のなかで有利に働く事を知っているからである。

この事は古くから知られている事であるが、下記の映像から身体的魅力と身だしなみの研究でその有利さは明らかである。

 

 

このように営業マンは、第一印象を爽やかに接客するのは、人は初対面で相手を判断する時「見た目」で選んでしまうからである。

見た目が良ければ、多少のマイナス面は目を瞑るようになり、ハロー効果を発揮できるという次第である。

営業やセールス、接客業のサービスなどを受けている際、ひとつの際立ったプラス面 (例えばルックス) があると、マイナス面 (知識や経験がない) があっても、見えづらくなってしまう。

あなたがその人がタイプであった場合、よりハロー効果は強調される。あなたもそのような経験をした事がないだろうか?

また物件も同様である。大半の人は広告やチラシの物件の内覧会によって、直感的に買うかどうかを判断しているという。つまり、売りたい業者は、内覧時に、いかに好印象をもってもらうかに注力する。著書【 住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話 】 では以下のように取り上げられている。

最近では築40年を超え、旧耐震から新耐震基準への補強工事も行われていない、プロなら手を出さないような中古マンションをフルリフォームした「見た目勝負」の物件が増えていますが、これはまさに「ハロー効果」物件といってもいいでしょう (不動産仲介業者)

また広告チラシに「新規リノベーション物件」など大きく銘打っているのが、それである。

人工大理石のシステムキッチン、全室ダウンライト、人感センサー、大型ウォークインクローゼットなどのリノベーション内容が並ぶ。中古なのに家具付き物件もある。

直感で「ああ、いいな」と思う仕掛けがテンコ盛りである。実際、部屋の中は新築と見まがう綺麗さであるが、マンション全体で見ると、あと何年もつか、分からない築40年を超えた物件である。厚化粧にコロリとやられてしまうのである。

 

【アンカリング】選択基準は固定化を用い実際よりも高く売りたい物件に誘導

 

認知バイアスの一種であり、判断する際に特定の特徴や情報の断片をあまりにも重視する傾向を意味する。係留または焦点化とも。個人の通常の意思決定においては、まず特定の情報や値に過度に注目し、その後状況における他の要素を考慮して調整する。中古車を買おうと探している人がいるとする。彼は走行距離と年式に注目し、それを中古車選びの判断基準にしていて、エンジンやトランスミッションの保守状況の良否をあまり考慮しない。これがアンカリングである。

参照アンカリング・バイアス あなたの選択基準は固定化され思い通りに説得されて罠にかかっているかもしれない

 

【不動産心理学:返報性・ハロー効果・アンカリング】あなたが高額物件と長期ローンの罠に引っかからない為に知っておくべき 3つの心理

 

中古物件の案内を、希望するエリアの地元仲介業者に頼むと、営業車で「3つの物件」を回るという典型的なパターンに遭遇することがある。

個人的に言うと、転勤でひとり暮らしをする際に、勤務先から近い方が良い事、家賃は約5万まで、少し広めのワンルームというざっくりとした理想があり、不動産屋に足を運んだ事があるが、同じように3件回られ、アンカリング効果にハマるところであった。

少し前に 【 影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか 】 という書籍を読んでいた事で、逆に業者のテクニックをじっくり味わおうと最後は半分楽しんでいた。

その後、仕事が安定し、彼女ができ、そろそろひとり暮らしを卒業し、結婚を前提とした同棲するための物件を探し始めた。

その際に、同じような場面を経験する事が出来て面白かったわけだが、この手のケースに注意する必要がある。 【 住宅情報誌が書かない コワ~い不動産の話 】 では以下のように取り上げられている。

 

【リフォーム×リノベーション】リノベーション業界の買取仲介業者が良い中古マンションの価格を高騰させるサメと化している

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たとえば、事前に「予算は2000万円以内、駅から徒歩15分以内、3LDKクラスの築浅」などの希望を業者に伝えた場合、似たような物件を「3戸回る」ように想像するだろうが、業者側の戦略はそうではない。

業者側は事前に探りを入れた情報から、年収から割り出した、ほぼ”MAX”の住宅ローンが組めそうな売りたい物件 (手数料が最も多く稼げる) はすでに決めてかかり落とそうとする。

以下の「3つの内容」を順に回り最終的に落としたい物件に誘導する。

 

1. 予算どおりの「2000万円」築年数は、20年超え、外内装も古いボロ物件
2. 予算を超える「3000万円」新築同然にリフォーム、間取りも良い優良物件
3. 予算を超える「2500万円」2番目と同じリフォーム、少々狭く築浅物件

 

ボロ物件から見ていくと、普通の物件が綺麗に見えてしまう心理トリックが隠されており、人は、最初に見た物件を比較対象の基準にしてしまう。まさにアンカリング効果を使われているのである。

最初に見た「ボロいのに価格が高く、誰も買わない物件」がアンカリングになってしまうと、その後の物件は「綺麗でお得な物件」と勘違いしてしまう。

巷によくある不動産を選ぶテレビ番組で、ゲストの理想の住まい選びをする際に、同じような戦略を用い、業者が案内する姿をあなたは見た事がないだろうか?

その際、ゲストを視聴者として客観的に観ているが、最後の物件がゲストにとって理想とされる物件と思われている場合「決めるか決めないか」を選ぶゲストにこの物件がピッタリと思っ てしまうと、あなたも同様の策に落ちる可能性が高い。

物件選びに慣れていないと、ボロい物件を最初に見せられ、最後に買わせたい物件で落とすという仲介業者の鉄則に見事にハマッてしまうのである。

 



About PG編集:道長

食べる事と寝る事に一生懸命な旅人。 世界は感染症や戦争で混沌としておりますが、平和になったら平和な国を旅をしたいと準備しております。 先代の管理者様より、サイト管理・記事制作を委任しております。 ※現在は写真提供をして頂いております。

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