大胆に機能をトレードオフしたコストバランスに優れた良機
- 形式 : ストロボ内蔵/デジタル一眼レフレックスAF・AE
- 撮像素子 : CMOSセンサー
- 有効画素 : 約 1800 万画素
- 記録媒体 : SD/SDHC/SDXCメモリーカード
- サイズ : 幅 約 144.5×高 105.8×奥行 78.6mm
- 重量 : 約 755g / 約 675g (本体)
EOS D系統をいくつかみているが、今回のEOSデジタル2桁番について書いていこうと思う。60Dを取り上げたのは、高齢になった親族に、どの機種をプレゼントするか迷った次第なのである。
父の日も近いことだし、プレゼントに最適なモデルを探していくと、少し型が古い良質な中古モデルも多く、日本はカメラ大国なのである。
その際に様々な候補が上がりは消えて、また浮上しては消え、親族にピッタリのカメラ探しの中で、60Dに落ち着いた次第である。個人的に Canon EOS 50D は、比較的仕事で使った事があり、その後継と思っていた60D。
早速、下記のカタログを取り寄せて、スペックを確認していくと、いくつか変更点がある事で、モデルラインナップ状、格下げのような機能ダウンが見られ、一度候補から外れた経緯がある。
外装ボディは、マグネシウムボディから、プラスチックボディへ。AFマイクロアジャストメント/シンクロ端子の廃止。
高速連写機能の性能ダウンなど、これではEOSというよりも、Kissシリーズの普及機ではないかと最初の印象を持ってしまった。
バリアングル液晶モニターの搭載、動画撮影、アートフィルターなどの新機能を搭載しており、この部分が未知であり、トレードオフが良いか悪いか最後までわからなかったのが、購入への一歩が踏み出せないでいた。ただそれは杞憂であったのである。
EOS Kissより上位、7Dよりは下位、バランスよくまとめられたキャノンの新コンセプトモデル
EOS Kissを使い慣れたコアなユーザーが、ちょっと背伸びして、新しいモデルの候補としては最適である。
キャノンをはじめて触るユーザーにとって、入門機として十分な機能を搭載した最適なモデルで、Canon EOS 7D まで高機能を使いこなすまでもなく、そこまでの機能は不要で、高価で予算が足りないユーザーには最適なモデルである。
このあたり秀逸な顧客ターゲット戦略がなされており、その隙間を埋める全方位にバランスが重視されている。
このセグメントを欲しいユーザーには、ちょうど良いと思わせるキャノンの戦略の勝利と言える。実際私も手に入れているので、キャノンさん「上手いですよ」と感心した次第である。
さっそくオークファンで、現在の取引価格を調べてみると、本体及び付属のレンズ・説明書程度とシンプルに予算を調べていくと、約 50,000 円までになるようである。
高価なレンズなど付属で、高いモノになると約20万程度、ジャンク品で、数千円程度までになるようである。中古市場で活発に取引しているのは、修理などを必要とせず、すぐに使える美品で、約50,000円程度が最安値ラインと考える方が良いだろう。
このように新モデルや上位モデルが次々と市場に投入されると、過去のカメラは安くなる一方である。
ただ、ブランド戦略の成否及び投入されるモデルの位置づけ、それに搭載される機能性を考えて購入すれば、ある程度の価値は担保されるのがカメラ市場である。このモデルの中古市場は、取引が多く、なかなか人気のようである。
機能面を犠牲にしても軽量化のメリットがデメリットを上回る秀逸な選択
最も優れている点は、徹底的に軽量化が図られている点である。7Dに比べだいぶ軽量でKissよりは重く設計されているが、最適な重量である。
ボディの軽量化に伴い、他の重量増加分は、機能面の追加で賄い、最適な重量バランスを維持することに成功している。
機能性については、AFマイクロアジャストメントは、60Dだけ搭載しておらず、大変残念である。
この機能を外したのが最も残念な点であると言っていたが、個人的にも少し不便であると感じた。連写速度についても、50Dに比べ遅くなっているように感じるが、一般的な撮影シーンでも遜色はない。
高齢なので、重量が重いモデルを持つ事に比べれば、軽量なモデルを選んで正解であったと言っている事から、機能面の補完を軽量化でトレードオフしている事で、デメリットを打ち消されたわけだ。
ボディよりもそのレンズで重さを感じる場合がある
画質に関していうと1,800万画素もあり、十分である。いくつか試し撮影を行ったが、非常にクリアーな写真が撮れた。本体とセットでついているφ67.0mm/18-135mmで大半の撮影は可能である。
親族は主に、風景写真を多く撮るのでバランス的にもちょうどよく、高感度で、ノイズも大して気にならない。優れたモデルである。
ボディに関して言えば、チープさはとくに感じず、整合性が取れているデザインである。多くのユーザーがみる角度はこの上部からみる角度であると思うが、違和感は特になく、軽量化されたボディが、スタンダードでも良いのではないかと思えてくる。
オールドカメラを多く使っているせいか、浦島太郎のように性能の高さ、軽量化されたボディの使いやすさに驚く。
ただ、高齢の親族は、ボディの重さに関しては問題はないが、レンズの重みで手で持つ長時間の撮影はキツいらしい。
まあ、分からないでもないが、ここまで軽く、操作系も整理されたモデルなので、中年までのユーザーであれば、重さは逆に感じる事も少ない。
レンズの重みがなければ、撮影が安定しないと思うぐらい軽量である。ここは優れたポイントである。
バリアングル液晶モニターの標準搭載は風景などの俯瞰で威力を発揮する
グリップについて言えることは、流線型のデザインが採用され、人間工学に基づいた曲面が最適なグリップ性能が達成されている。
握りとしては最適である。グリップについては、人間の手の大きさで余ったり、当たったりと難しい面であるが、自分の指には最適な大きさだと感じた。何時間が撮影を試みたが、とくに大きな問題はなかった。
操作性は、新しい設計に伴い洗練度を増してきた。多くの機種では操作ボタン類の飛び散りが多く、左右あっちこっちでボタン操作を行わなければならないモデルがあるなかで、右側に操作ボタンの集約が得られているのが大変良い。
左側は、バリアングル液晶モニターを調整したりアングルの固定に最大限使いたいところなので、操作系の集約は、使い勝手の向上を得ることができる。
バリアングル液晶モニターの標準搭載は、非常に重宝する。俯瞰で撮影する事が多いのだが、この場合に大変良い。
親族は、山の頂上付近から街を見下ろすシーンが、最も威力を発揮していると言っていたので、自然を含めた風景や夜景等のシーンを想定している事であろう。個人的にはローアングルから撮る場合に、画面を回して見れるので、試し撮りの時、非常に重宝した。
オールドカメラに慣れているせいか、覗き込む必要もないこと。鼻がボディにあたることがない事の新鮮な驚きが久々に味わう事ができた。液晶モニターも比較的高精度で見やすいのもなかなか良いところである。
キャノンの中古相場は比較的安定しており安心して取引ができる
さっそく 旧オークデータ (2018.06.30終了) で、ここ 5 年間のキャノン一眼レフの総落札額と平均落札額をみていこう。数字は比較的安定しており、底堅い相場が形成されていることが分かる。
総落札額は、約 1.5~2.0 億円のオークション市場を生み出しており、大きく崩れている形跡は見られない。また、平均落札額に関しても、約 40,000~50,000円の範囲で安定している。
今回は、業者に予約注文を入れ、状態の良いモデルを買い取った場合に、連絡を欲しいという旨を半年ぐらい前より伝えていた。買取業者からは、約 3 か月後に連絡があり、約 25,000円で購入することが出来た。
その後、他の修理業者にオーバーホールに入れて、プレゼントとして渡す準備が整った次第である。カメラ市場においては、そのタイミングと状態が最も重要である。
モデルに関しては、多くの人が使用してみて、良いと判断されたものを購入することを勧めたい。現在では、良質な中古モデルも多く、リペア企業も多くあり、焦って高機能の新しいモデルを購入することもない。
高機能を追求するのであれば、予算がいくら合っても足りないであろう。その分、中古市場では、使った多くのユーザーが納得し、そのブランドの真の価値を現状において、最適な価格で提供してくれるのである。
キャノン EOS 60Dは、中古市場でも、最適な価格とバランスであり、リーズナブルに写真ライフを楽しむことができる。