基本Data:Minolta ミノルタ NewX-700 後期型
【主要性能】
形式:電子制御式35mm フォーカルプレーンシャッター付
ピント調整:一眼レフAE
フォーカスモード:マニュアル
露出:絞り優先マニュアルモード
測光:TTL中央重点的平均測光方式
シャッター速度:1/1000秒~4秒
電源:1.5VアルカリマンガンLR44・銀電池G13型×2
視野率/視野倍率:95% /約 0.9倍
発売時価格:約 63,000円
世界初のシステム一眼レフカメラ「α-7000」に始まるオートフォーカス一眼レフカメラのαシリーズはマニュアルフォーカスとの互換性をなくし絞りもボディー側から電子制御する等電子化された新マウントミノルタAマウントを採用し、日本のみならず世界中でのヒットとなったが、1987年アメリカ合衆国ハネウェル社が同社の保有するオートフォーカス技術の特許侵害で訴訟を起こし、ミノルタは約1億ドルもの和解金を支払うこととなった。この特許侵害訴訟ではサブマリン特許という概念が日本企業に認知された。ハネウェルとの特許訴訟に敗れたことに加え、キヤノン・ニコンが地道に改良を重ね、やがてカメラの売上でミノルタを上回るようになる。デジタルカメラの開発では競合他社に大きく遅れをとり、03年コニカと合併しコニカミノルタホールディングスとなってからも、CCDイメージセンサを動かすことで手ぶれを補正する「アンチシェイク」など独自の技術で他社に挑んだものの努力は実らず、次第に業績が悪化。06年1月19日、コニカミノルタホールディングスは翌06年3月末に写真フィルムからレンズ・カメラに至る全ての写真関連分野から撤退することを発表。「α」ブランドを含むデジタル一眼レフカメラについては先に提携を発表していたソニーに譲渡し、同時期をもって長年続いたミノルタのカメラ事業は幕を閉じた。参照:ミノルタ製カメラの歴史
日本がまだまだ元気で成長を謳歌できた時に花開いたモデル
古きよき日本がカメラの成長市場のメインストリームにいた時の遺産である。NewX-700の最大の魅力は、ミノルタロッコール資産を生かした円熟した秀逸のモデルと言うことである。
X-700は、1981年に発売された Xシリーズ の最終型であり、市場ではあまり出回らなかったモデルである。
ミノルタは比較的広報戦略の得意なブランドであったが、発売当時、X-700の販売促進は消極的であったようだ。
店舗でも、あまり出ることもなく、比較的マイナーな存在でもある。
オート時のシャッター速度は、4秒から1,000分の1秒。中央重点測光・シャッターは、電子制御式35mm フォーカルプレーンシャッター付である。
ニコン、コンタックス、オリンパス、ペンタックスといった同時期のカメラと比較してこれと言って優れた点というのは見受けられない。
X-700の最も優れた点は驚異的なファインダー倍率
さっそくオークファンを見てみよう。なるほど価格も非常にリーズナブルである。写真を趣味にしてみようと考えた場合、非常に安定したモデルなので、オススメである。
ブランドとの波長が合えば、長く使える愛用モデルとなるだろう。さてこのモデルの優れた点を見ていこう。X-700は、この当時に投入したモデルとは思えないのが、0.9倍というそのファインダー倍率である。
視野率は100%と謡う高級機カメラはあっても、一眼レフカメラの倍率は、せいぜい 約0.8倍が多く、現在のデジタル一眼では標準が約0.7倍程度と聞く。カメラファンの中で名機といわれている”ライカ M3″の等倍程度にあたるようだが、ミノルタの方はその魅力に焦点が当てられていない。
個人的にライカは何台か保有しているが、X-700のこの驚異的な倍率を比較し取り上げた内容をあまり見たことが無い。
このあたりは、ブランド力の差ともいえ、ライカとミノルタの歴然とした差を感じる次第である。
中古価格にもそれらの事も大きく反映されている。ロッコールが使用可能で、明るく鮮明で視認性の高いファインダーカメラが好きな私には、非常に合うカメラでもある。
また、非常に明るいアキュートマットスクリーンなので、ピントは非常に正確に照準を合わせる事が可能である。
オートフォーカス一眼レフのファインダーのみ経験しかない世代の方は、一度経験した方が、その視野が広がる事になるだろう。
幼少期に親父から買ってもらったX-700、初心者向けの低価格モデル
現在になぜこの時代のモデルを持つと面白いのかと言うと、私たち世代が忘れてしまいがちな”手間”と”現在経験できない考え方”を知る事ができるからである。
幼少期に経験した事は、よく覚えているものであるが、再度経験する事で、当時の人々の考え方と方向性を知る事で、新たな再発見をする事ができる。
子供のときの経験は非常に重要であり、このような名機なモデルを手にしておく事で、面白いモデルに出会う事も可能だ。
ブランドの真価は長く愛され市場でも良い価格がついている
これは、多くのアンティーク製品やブランド品を触った自分の経験から言うが、間違いなく最新機種よりも手間を食う。
手間と苦労をするが、その後に最新機種を使うとなんと簡単な事か、進化の流れをよりよく感じる事ができる。
そうはいっても、良い投資をしたいところであるが、その場合は市場での売買価格が役に立つ。
二次市場で高値で売られているものは確実に高級で名機である場合が多い事から、それらに触れる事から、新しい教養を得る事が可能になるのだ。