日本光学工業飛躍となった画期的なモデル
日本光学工業は1917年設立、戦時中は光学機器一連の事業を行い、双眼鏡、距離計、潜望鏡などの軍事機器を製造していた。
第二次世界大戦後、民間市場に参入を決意、光学分野のノウハウがあり、30年代に、キャノン向け等にカメラレンズを法人受注に応えた事から、参入する新市場にまずは「カメラ」に狙いを絞る。
日本光学工業は「ニコンI型」となるカメラの設計に着手、1948年に発売。1988年 昭和63年 社名を「ニコン”Nikon”」に改称している。
ニコンFは、1959年6月に投入されたモデル。シャッター速度とレンズ絞りの両方が連動する露出計システムを世界で初めて実現したモデルである。ニコンFは、当時実用化されていた一眼レフの新機能をすべて搭載。交換式ファインダーを含め、設計当初より、完全なカメラシステムを構想し実用化した画期的なモデルである。バッテリー式モータードライブによるフィルム自動巻上を実現したのもニコンF。まさに世界初だらけである。
1. ニコンF (1959)
1959年に投入されたモデルである。シャッター速度とレンズ絞りの両方が連動する露出計システムを世界で初めて実現したモデルである。非常に美しい設計図である。
2. ニコンF2(1971)
1971年に投入されたモデルである。当初「ニコンFの改良版」と見なされていたが、全面的な設計変更、ファインダースクリーンを除き、ネジ一本に至るまですべて別の部品が使用されたモデル。ニコンF一桁機唯一の自社内デザイン。最後で最高峰、機械式シャッター機の希少モデル。非常に美しい設計図である。
3. ニコンFM(1977)
1977年に投入されたモデルである。Ai方式:開放F値自動補正方式を搭載したモデル。レンズの絞り値を本体に伝える機構搭載の本格的モデルである。非常に美しい設計図である。
4. ニコンFA(1983)
1983年投入されたモデルである「ニコンFA」の透視図。FAモデルは、現在常識となっている「マルチパターン測光」を世界で初めて搭載したモデルである。非常に美しい設計図である。
日本から米国市場へ長期的なヒットを遂げプロや著名人まで愛用する秀逸モデル
ニコンFのボディは金属性で、非常に堅牢である。シャッター・フィルム巻上機構の驚異的な機能は、あっという間に評判となり、米国では「アイスホッケーパック」のような強固な異名を取るようになる。非常に人気で、59年から生産終了した74年5月までに約 86万2600台 が製造。71年にニコンF2が市場に投入されるまで、当初の設計を改善するために機構の変更が若干行われたのみで非常に完成度の高い秀逸なモデルである。
ニコンFは、米国市場でプロカメラマンの間で広く採用。現在でもその多くが現役で使われている。現在でも使用出来るということは、製造品質と信頼の証である。今回私が保有しているカメラも現在でも現役で使用可能である。
ニコンFは、この後、魚眼・超望遠・ズームレンズなど多種類を取り揃えた世界最大交換レンズシステムを確立し、プロカメラマンにとってなくてはならないツールに成長。あらゆる商品戦略による一連のフルライン戦略の成功モデルの見本である。
Reference:These Schematics Offer an Exploded View of Old Nikon SLR Cameras
参照文献:50の名機とアイテムで知る図説カメラの歴史