約 56 年前の価格は約 75 万円前後という世界を見据えた高性能スポーツカー
S600の登場から約2年。Hondaスポーツは基本を継承しながら、791ccまでエンジン排気量を拡大する。1966年1月、S800/S800クーペの登場である。S800の最高出力は、70PS/8,000rpm。リッター当たり約88.5PSである。4速MTはフルシンクロ化。最高速度は約160km/h。Honda初の100マイルカーとなった。およそ2倍の排気量を持つクルマの最高速度に匹敵する高性能を獲得し、当然ながらサーキットでも活躍。さまざまなレースでパフォーマンスの高さを証明し、世界各国で人気を博した。
参照:Honda|SPORTS DRIVE WEB|Honda Sports Cars|SPORTS S800
1948年に本田宗一郎によって創業されたホンダであるが、当初スーパーカブによる二輪事業での成功で、そのブランドの地位を確立する。
その後、数々のレースに参戦を果たし、高い技術力を世界に知らしめた。二輪ブランドとしてその地位に満足せず、次の挑戦は、四輪事業への参入である。
ホンダはスポーツカーカテゴリーに狙いを定め、高性能スポーツカー市場に送り出したのが、Sシリーズである。
1962年の自動車ショーで、S 360と500がデビューを果たし、この時期にホンダは、矢継ぎ早にスポーツカーを投入し続ける。
1963年には、S500を市場に投入、同年年3月 S 600を投入。1966年の始め、S 800 を世に送り出し、エスハチという愛称を持って、圧倒的な支持を得たのである。
小型ながらも高出力、高性能車として、価格もリーズナブルに抑えられ、日本をはじめ欧州でのレースでも性能の高さを示し、四輪ブランドとしての地位を確立したモデルとして、現在でも中古市場で圧倒的に人気のあるモデルである。
過去の相場を調べていくことは非常に面白い作業であるが、スポーツカーは人気のカテゴリーであり、どれも高額な値段がついている。
過去のオークション情報は、大半が消失する事が多いので、今回も オークファンを参照にしているので、ご興味のある方はぜひチェックしてもらいたい。
では、個人的に購入して、レストアしたいと思った「スクラップ寸前の高額車」の 5つのレアモデルを取り上げていきたい。
ホンダS800クーペレストアベース車 書類付き
落札価格 901,000円 入札件数 252
ホンダS800クーペレストアベース車。書類付き。不動車。昭和53年より実働していません。従って走行不明での出品になりますが、実走行と思われます。タイヤは廻りますが、サイドブレーキは不良です。車体番号は、はっきり見えますのでレストアベース車としては最適だと思います。
1966 ホンダ S800 レーサー RSCチューン 書類なし レストアベース
落札価格 1,801,000円 入札件数 8
ホンダS800 レーサー仕様車、書類なし、レストアベース、現状お渡しとなります。前オーナー様より、エンジンはかつてRSCでチューンされたもので、1960年代にレース活動を終えたあと、千葉県の船橋市~市川市付近で保管されていた車両と聞いておりますが、当方ホンダS事情については詳しくないので画像にてご判断下さい。いずれレストアして鈴鹿サーキットでのホンダ主催の旧車イベント、サウンドオブエンジンにエントリーしようと思っておりましたが、諸事情により計画変更となりましたのでホンダS愛好家の方に本車を引き継いでいただければ大変うれしく存じます。
ホンダ S800クーペ(AS800C) リジット レストア途中
落札価格 3,500,000円 入札件数 192
ホンダ S800クーペ AS800C リジットアクスル フルレストア途中車です。抹消登録証明書付きです。24年前に実働車を購入しフルレストアを目的に楽しんでいた車両ですが、年齢的、時間的、環境的にも機会が無くなり手放します。どなたか私の代わりにレストアから「エス」を存分に楽しまれてはいかがでしょう。基本、使える部品であっても新品部品が入るのであれば積極的に購入し交換しました。現在では廃盤部品も当時はホンダ純正部品として結構入手できましたね。(使えない物も結構ありましたが・・)
ホンダ S800 AS800 書類あり 抹消渡し 昭和の名車 ハードトップ・幌付
落札価格 1,462,000円 入札件数 285
昭和41年式 型式:AS800 原動機型式:AS800E 車両重量:720㎏ 車両総重量:830㎏ 長さ:333㎝ 幅:140㎝ 高さ:120㎝ 最終車検満了日:平成9年11月12日 一時抹消済み・抹消渡し・リサイクル未預託。20年以上不動で動作確認もできていないのでジャンク出品です。昭和の名車を書類付きで出品です。歴史に残る名車をレストア復活させてドライブにでもいかがですか?
ホンダ S800 COUPE S600 COUPE AS285C 書類あり 4速 ミッション 4MT 部品取車 旧車 フルノーマル HONDA
現在 1,200,000円 入札件数 280件
書類はあります ( 名義変更はできます ) 1年半前エンジンはかかりました。今はエンジンかからないです。燃料ポンプタンクなどが錆になっております。交換すればエンジンはかかります。初度登録年月 : 昭和 41年 -月 型式 : AS285C 原動機の型式 : AS285E 車体番号 : AS285C10003** 排気量 : 600cc ( 0.60 L ) 走行距離: 50832km 4速 ミッション 4MT
スクラップ寸前の高額車~多くのレアモデルからみる真のブランド価値とは
そのブランド的価値を考える場合、いかに生み出されたのかその背景は非常に重要である。
今では考えられない 360 ccの軽自動車であり、小さなボディで高性能のスポーツカーをいかに生み出すか、当時あまり大きな企業でなかったホンダの挑戦を支えた優秀な人材によって生み出された。
上記リンクは、ホンダの公式ページであるが、当時のエンジンパッケージング担当だった元社長の川本 信彦氏、サスペンション担当の吉岡 伴明氏、デザイン担当の森岡 實氏、走行実験・レース活動担当の木村 昌夫氏の4名による S シリーズの開発秘話を読むことができる。
次に、稀少なモデルとは、上記のようなブランドの歴史とその背景により、そのブランド価値を多くのファンが認識することで、二次市場でのブランド価値も高まっていく。こうした価値のあるレアモデルを多く入手する方法は、地味であるが、以下の 3 点に集約される。
- スクリーニングして状態の良いモデルのピックアップ
- 関連するレアモデルを出品している個人や業者にマメに連絡やチェック
- オークション代行会社に依頼を掛けておく
3 点の方法を実践し、下記の 「オークデータ」 などを使い、過去の高騰カテゴリーや相場を丁寧に調査していく。
上記「オークファン や オークデータ」で詳細に検索をしてくと分かってくるが、ホンダS800は非常に高額に販売されている。
廃棄寸前の出品物が大半を占め、レストアを前提に購入者が自ら完成車とする出品物が人気である。
また部品取りやパーツの出品も多く、多くは高額に取引されている。中にはエンジンだけを取り出し販売もされており、Sシリーズの稀少価値が分かる。
個人的にも家業が自動車系の商売をしていたので、ちょっと前まで、頻繁にヤフオクや専門の市場で、自動車部品、パーツやレストア前提のスクラップ車などを入手していた。
現在でも、自動車カテゴリーにおける落札率も非常に高く、国内でのオークション市場で最も取引されているカテゴリーと言っても過言ではない。
とくに過去に生産中止となった稀少なクルマやバイクに関しては、投資的価値があり、年々価格が上昇するモデルが多数存在している。
個人のブランドを冠したスペシャリティーモデル や 台数限定モデル等など、クルマやバイク以外でも、多くのブランドが様々な手法を使い、ブランド価値を引き上げてくる。
その大半は、年々価値が上昇していく事は少なく、どちらかと言うと、価値がなくなっていく事が大半であるが、ブランドによって希少性を狙いすぎるモデルに関しては、長い目で見ると流行のままで終わる事も多い。
過去に実家の家業では、廃棄寸前、スクラップ同然のビンテージカーやバイクなどを保有しており、長期で保有することで、時間と共に高いブランド価値が生み出されていた。
そのモデルの大半は、当時の開発陣の常識ではありえないあくなき挑戦とその後の世の中での反響と成果の大きさで決まると言ってよく、最初から狙って行われたモデルはほぼなく、ホンダの高額で取引されるヴィンテージのブランド車は、その分かりやすい例を示している。
このように、真のブランド価値がなければ、ボロボロの廃車寸前のスクラップに百万も二百万も出す事はないである。
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