Patek Philippe:歴史的名品を手掛ける時計界の王者であり世界三大高級ブランド
創業年=1839年/創業者=アントワーヌ・ノルベール・ド・パテック、ジャン・アドリアン・フィリップ/創業地=スイス/ジュネーブ:創業当初から竜頭巻上げ式時計(1844年)、ミニッツリピーター(1845年)、パーペチュアルカレンダー(1889年)など、複雑機構の第一人者として、ゆるぎない評価と実績を残してきた最高峰のマニュファクチュール。素材まで妥協無く吟味した最高品質の製品は、古くから世界各国のセレブリティに愛されてきた。参照:腕時計の教科書
オークションで古い自社製品を高値で買い戻す戦略とは
どんなに古い自社時計についても修理することができる「永久修理」を宣伝しているため、「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージを構築することに成功している。しかし、保証期間(通常2年間)が過ぎた時計については、当然のことながら有料修理であり、またオリジナル部品を長期にわたって保持することを保証するものではない。パテック・フィリップはオークションで古い自社時計を高値で買い戻すことによって、「パテック・フィリップの時計の中古市場価値を保たせる」というビジネス戦略をとっている。その結果、上記の「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージの宣伝にも役立っている。参照:パテック・フィリップ-ブランド戦略
ではさっそく価格を見ていこう。過去3年間で取引された高額なモデルの取引金額の一部である。
なるほど、比較的安定的なリーセルバリューである。この上の金額で上記3点に 約 3,000万円クラスの取引があったが、もはや普通のオークションデータとしてあまり役に立たない。
そこまでいくと普通に新品が買える富裕層の方々の市場なので、私たちが介入し考える事もないのでこの際、データは使わない。
上は約数百万円から、約200万円の価格帯を維持しているようである。これに関していえば、比較的状態並びにオーバーホールも特に必要のない資産価値の高い市場と考えた方が良いだろう。
やはり、高級時計ブランドの中でも、価格帯は頭一つ高く、上記のブランド戦略が正しく実行されているのであれば、比較的有効に機能しているようである。この場合、安定した相場で取引に適している事がデータからも読み取れる。
だが、もっと価値があり、状態の良いものであれば、業者同士で取引され、さらに高値をつけて、富裕層にでも売られる事であろう。
基本的に私たち普通の人々は、このように時計販売・買取業者での店頭か、一般的なオークションなどで出玉を待つことでしか手に入れる事はできないのである。値段もそうだが、すぐに買えない事がさらに高級ブランドを神格化していくのである。
高価格をコントロールする事で高額で戦略的な価格設定でブランドを安定化する
Reference: Patek Philippe Luxury Brand Site / Patek Philippe – Nautilus Travel Time Chronograph / Pinterest various user page
上記の戦略が本当とした場合、中古市場においては、適正な価格帯を維持できるように配慮がなされているのであれば、安心して購入する事ができる。
例えば、あるモデルを約500万円とした場合、リセールを約 50% 前後を平均とした場合、単純計算で約250万円である。
リーセルの割合を把握しておけば、リセールされた価格で頭金を作れ、追金をするだけで新しいモデルを比較的早く手に入れる事が可能になる。
また、パテック・フィリップ自体の中古市場が安定していれば、買取業者やその他関連業者は、比較的安心できる取引が可能であり、買取品として広告を打つ事になるだろう。
それを見たパテック・フィリップ購入者はやはり「良い買い物をした」と自分が選び購入したブランドが正しい評価が付けられるとさらにパテック・フィリップを好きになるだろう。
また中古市場で大きく値崩れを起こしたブランドを買って中古市場に流す場合、そのブランドが二束三文で取引されていた事を流す時に購入者は知る事になる。その時に初めて後悔をし、二度とそのブランドが選ばれる事はない。
例えば、このブログでも取り上げたがLVMHの関係とライセンスに手を染めたブランド【参照:モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、ライセンスと自前主義との関係】について書いたが、イヴ・サン=ローランやハナエ・モリやアウトレットに手を染めたコーチやグッチなど自ら凋落の道を選び目先の利益を取った形となり、中古市場では大きく値崩れを起こしている。
高価格を維持する高級ブランドとは、そこまで計算して、市場価格における安定を図る事で、さらに高級というイメージの宣伝をより効率的に行っているのである。
結果、高級ブランドとは、新品市場で目玉が飛び出るほどの価格設定をする事ができ、さらに大きく儲ける事が出来るのである。