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【決算書の急所】基礎編:百貨店セクターは構造的問題から軍資金を効率良く使えない息詰まりの業界

【決算書の急所】基礎編:百貨店セクターは構造的問題から軍資金を効率良く使えない息詰まりの業界

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株主から託された軍資金を効率良く使えない業界

 

株主資本と自己資本とはほぼ同じで、突き詰めれば株主の所有資産になる。株主が託した資産で経営者は利益を上げ、株主に還元するのが、株式会社の正常な姿である。ところが、株主から託された大事な資金が潤沢にありながら思うように利益が上がらない業種が、この百貨店という業界の典型例と【倒産した会社倒産しない会社の決算書】の大神田氏は指摘している。

もはや百貨店というビジネスモデル自体が、現在と合わなくなってきているが、その巨艦ゆえゆっくりと沈む船をなんとか維持し持ち堪えさせている印象の強いセクターである。統廃合や買収などを繰り返し、いくら寄り合いを作ろうが、延命し少し寿命が延びただけであり、構造自体を変え、新しい姿にでもならなければ、長期的に考えると落ち目の業界である事は誰の目にも明らかである。

巨額の軍資金を保有して使えないのは、企業の延命とその規模を維持する為に、カネはとっておきたいという”防衛本能”と、どう使って良いのか実はよく分かっていない”将来への不安”、構造的に間違っていると誰もが分かりながら現状を維持したい”古い業界体質”など、八方塞がりの未来と突破口は未だに見えていない。確実に言える事は、現状のやり方では、確実に衰退していくセクターである。

 

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現在は統廃合による経営効率の向上と駅ビル開発に寄り添う

 

時を遡る事、2008年4月経営統合を果たした「三越伊勢丹ホールディングス」を例にとっているが、この場合も唸るほどの軍資金を持ちながら、効率的に使えておらず、数字がそれを証明している。2009年4-12月の9ヶ月では売上高が減ったとはいえ、9785億とほぼ1兆円近く確保したが、最終損益は104億円の赤字。

年度ベースでは利益の額をゼロ円と予想されたというが、これに対し、新株発行で調達した資金剰余金が3249億円。過去の利益を寝かせてある利益剰余金が1025億円に上ったわけである。そのほか合わせて4700億円超の株主資本があり、全国でグループ総員1万7000人が働いても利益が残らないのでは、何の為に投資しているのか分からない。

昨今の事業戦略を見ていると、統廃合と駅ビルにおける集客効果を狙った併設された百貨店建設を進めている。主にJRにおける駅開発に相乗りしているのが顕著である。

 

ROE(%)自己資本利益率 は投資する者にとって最も大切な指標

 

最終利益を自己資本で割った値を「ROE(%)自己資本利益率」といい経営効率の高さを示す一般的な指標である。投資などを通じて関わる人々には、最も重要で知りたい数字である。投資した資本によってどれだけ利益が出ているかを知る事がいちばん重要で、主に外国人投資家などは最も重視する指標でもある。

 

【決算書の急所】基礎編:百貨店セクターは構造的問題から軍資金を効率良く使えない息詰まりの業界

 

ROE(%)自己資本利益率 が低いということは、多額の軍資金を株主から預かりながら、利益を出せないという事が証明される。

ROE(%)自己資本利益率 が低い理由として

❶ 業界全体が衰退セクターか構造的に問題を抱え、ビジネスモデルに問題があるか
❷ 経営者の経営手腕が悪く、派閥争い創業者一族内紛・能力不全、放蕩経営等

が考えられる。原因は様々でこれら以外かもしれないが、百貨店業界で言えば、❶が原因になることが多く、❶につられ❷の問題も噴出するという事態が考えられる。百貨店業界は典型的な衰退セクターであり、様々な百貨店は閉鎖や閉店などの廃業、M&Aによる買収や、グループ内の統廃合を経て超大手しか生き残れなかったわけであり、デパートで買物をするありがたみは年々薄れ、その存在感は、統廃合の意外性、建物の巨大さと店舗数の多さというインパクトのみという状況であり、本当の意味での改革は未だに進んでいない。

 

参照文献:倒産した会社・倒産しない会社の決算書

 

 

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About 磯守 航史郎

食べる事と温泉・マッサージが好きな勤め人。過去には大小様々な職業につき、現在は不安定の中の安定を楽しんでいる昔から「変わり者」と言われた中年。
好きな分野は、ブランド戦略/建築・不動産/知的財産権/EC・オークション/金融・投資/カメラ/時計/モデルやアイドルなど、ジャンルは幅広いが、趣味や元家業・知人との関係で関わった事件が中心であり、現在は利害関係もなく、気軽にブログを書いている。テーマは知的財産権とブランドとの関係・市場での価格の関係、偽ブランドの撲滅など、高尚なテーマをより面白くしたいと努めている。

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