知財戦略におけるシャネルの対応についての考察
シャネル (Chanel)は、ココ・シャネルが興したファッションブランド、および同ブランドを展開する企業である。レディース商品を中心に展開しており、服飾・化粧品・香水・宝飾品・時計と展開分野は幅広い。1910年、ココ・シャネルがパリのカンボン通り21番地に「シャネル・モード」という帽子専門店を開店したのが始まり。シャネル:wiki
スナック・シャネル事件から見るブランドイメージ防衛の訴訟と知財の監視強化
日本全国には数は少なくなったが、シャネルを使った施設などがある。シャネル社は一説に、これらの使用者に、数多くの警告書を送っていたと言われる。
事業を拡大するために、創業国から事業対象国に上陸する場合のブランドの取るべき最初の戦略のひとつに、知財を守り、違反者の一掃を行う必要がある。
従わない場合は、裁判を起こしたり告訴したりしているのだが、そのうちで象徴的な事件が 「スナック・シャネル事件」 である。
【平成19年(ワ)第33797号 不正競争行為差止等請求事件】判決文:PDF

現在でもシャネルのブランドを利用して商標違反容疑で逮捕されているニュースをよく見かける。
シャネルの名前や”CC”ココマークなどのロゴマークを無断で使用するケースは後を絶たない。偽物大国中国絡みの事件も起こっている。
昨今では偽物を作り、SNS などのユーザーなどに、勧誘して販売している業者が世間を賑わせたが、摘発を早急に行ってもらいたい。
少し前の話になるが、スナック・シャネル事件は、知財でいう 「広義の混同」 を争ったようである。
シャネル表示の周知性がきわめて高く、経営が多角化する傾向がある事などから混同が生じるおそれがある事を広義の混同惹起行為とし、シャネル側の利益を侵害するものとして請求が認められた。
最近では知財の問題に関しては、広く認知されつつあり、酷い模倣はあまり見かけなくなってきているが、ニセのコマースサイトの販売やオークションなどでもたまに贋物のシャネルらしき製品を売っている業者を見かける。
スナック・シャネル事件については、判決の前例を作ることが目的のように感じる。まさにお金ではなく、イメージの問題である。
高級ブランドにとってカネの問題よりも、イメージが損なわれる方が危険であり、引いてはイメージが損なわれると、売上にも響いてくる。
象徴的な事件に判決に持ち込む事でブランドの重みと、名称は勝手に使わせない、監視は強化していますという強烈なメッセージを発信する事につながっている。
才能に絶対の自信を伺わせた模倣には容認主義であった創業者 ココ・シャネル
かつて、ココ・シャネルは知的財産権は必要ないと言い「贋物」を容認していたという。贋物こそが本物を際立たせるのだと。
ココ・シャネルの本物として自信の裏返しの発言であり、安価な粗悪品が流通するのではなく、本物の高級品であれば、贋物が出回っても両者が混同される事はないと言うことである。
シャネルは法を犯しても大きく儲けたい人々にとっては、真似したくなるブランドである。ただ、この問題は、偽物を作る側のクオリティは低いので心配することはないという当時の常識だったわけなので、この手の発言においては、当時の社会的風潮としては、あまり的外れではない。

問題はそれを購入するユーザーに被害が出ることと、ホンモノを知らないもしくは経済的に買えない層に、多くのユーザーが流れてしまい、高額なホンモノを必要ないと思われてしまうことである。
現在では贋物は巧妙であり、混同を生じる恐れのある場合が多く、放任し続ける事で大きな社会的被害が出ることも多い。
シャネル側の贋物の取締は一定の効果を上げていて、販売しようとする正規の事業者であれば、とてもシャネルを模倣しようとは思わない。
ここにブランド企業側が、知財を厳しく管理する真髄が秘められている。知財を徹底することで将来の禍根を絶つ事ができる。
守るべきトレードマーク、創業者が人生で築いてきたブランドイメージの保護
積み重ねた信用と信頼がブランドであれば、将来においても儲けの源泉は受け継がる。そして、多くの顧客を獲得する事で、半永久的に可能になる。
犯罪業者や犯罪者が、商標を犯し、売上にダメージを受けたり、ブランド・イメージが希釈化されたりする前に、事前に知財を防衛する事で、そのブランド・イメージは保たれるのである。
創業者の哲学や生き方を真似る事は、ブランドにとって喜ばしい事であり、シャネル・ブランドとしては歓迎する事だろう。
現在のブランドの多くが守っている事は、価値を構成する部位とそのトレードマークである。シャネルの場合”CC”マークと一連のデザインスタイルである。トレードマークとデザインだけは容認されない。
ラグジュアリーブランドの価値を構成する部分の模倣に対する処置は徹底しており、それを厳しく取締る事で、ラグジュアリーブランドは、パロディであろうと模倣は絶対に認めるわけにはいかないのである。
参照:シャネルの戦略 ―究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営
参照記事 【CC_HACKS】シャネル・マトラッセ 簡単に偽物を見分ける 12 の真贋方法