企業の大半は短期的にブランドから絞り取る為の拡張が行われる
長期か短期かあなたが企業担当者であれば、目先の売上を確保しなければ、明日はなく失業の恐れを抱きながら、短期に力点を置くこととなるだろう。
これはある意味仕方がない。雇われている限りは、いつでもノルマの数字をあげる事を大前提に仕事が進められるからである。つまり、たくさん売り続ける必要がある場合、安直な方法である拡張 ( シリーズ化や商品点数を増やすなど ) というその場しのぎの方法が取られやすいからだ。
しかし、顧客側から見ると 「 何をしたいブランドなのか分からない」 のである。短期的に新商品などには食いつくが、長期的には顧客のアタマの中にあるブランドネームを傷つけるものである。
短期的な売上の為に、他を犠牲にし、長期的に高価格に売る為のブランド力を削り、利益を少しづつ削って、自社の成長を縮小させているのである。
本書:ブランディング22の法則 では、フォード や シボレー の例を挙げている。あなたが明日製品を売るために、今日ブランドを築くのだろうか。あるいは今日の製品を売るために、今日ブランドを拡大し、明日それが衰退する様を目にするだろうかと。まさにその通りである。
ブランドを築くよりも、絞り取るためのライン延長、顧客を惑わす変動的な価格設定、その他短期的に売上を伸ばす為だけのマーケティング・テクニックなど、短期的なカネは手に入るが、長期的にはそれによってブランドは廃れ、最後には何の価値もなくなってしまう。
企業担当者にありがちな罠は、顧客が望むブランドの認識と相反するブランディング・プログラムを実施する傾向がある。
つまり、自社商品と類似商品などを区分けすることに躍起にあり、顧客に選択肢を無尽蔵に増やす事で、仕事をした気になるようだ。
これらを好む層とは、商品マニアか業界の専門家、同業他社など、比較的商品並びにサービス、業界に明るい層だけである。ただ残念ながら、圧倒的に少数なので、大きな利益には繋がらない。
基本的に顧客は、多くの選択肢を望んでいるのではない。顧客はブランドの範囲が狭く、一語で識別できるブランドを望む。
そのサービス並びに商品に特化して、単純で説明が短ければ短いほど、即商品やサービスを理解出来て、その分野で質が高く、カテゴリーリーダーになっていれば、多くの顧客が気に入り購入するのである。
大半の経営陣は、明日生きる為だけの目先の利益しか見ていない。売上を伸ばそうとブランド拡張という安直な道を選択する。そうなると、その従業員もそれに従うしかないのである。そして企業は、少しづつ衰退していく。
もし賢明なあなたが、消費者のアマタの中に強力なブランドを築きたいと考えるのであれば、拡張は論外で収縮をさせる必要がある。ブランドは特化戦略に限る。あれやこれやにあまり手を広げない方が、長期的にブランド力は上昇していくものである。
長期的に見れば、ブランドの拡張は、あなた自身のパワーを削減させ、イメージを少しづつ弱くしていくのである。
参照:ブランディング22の法則