ブランド化する場合の罠は成功モデルを同じように真似してしまうこと
多くの企業で間違いを起こしている最大の理由は、成功した企業を真似することである。多くのマーケターたちは、成功したブランドの理由を拡張したことによる成長を見て判断することである。
同業他社の成功モデルを自社に反映するように右倣えとばかりにすぐに真似をする。多くが真似していくので、すぐにその市場は競争が起こるが、真似した2位以下が生き残れるのは僅かである。
ただ成功しているカテゴリーを見て模倣しても、すでに遅い。超大手企業であれば、模倣も有効な手段であるが、中小企業や個人がする戦略とは言えない。
大半の企業や個人は、まったくとんちんかんな場所で成功を求めていると 【 本書 :ブランディング22の法則 】 で教えてくれている。
成功した企業や個人など現在何をしているのかを見つけ、それを真似しようと努力する。仮に少し成功しても、それは長い目で見ても、あまり上手くはいかない。
上手く行かなくなった途端、また成功している企業やカテゴリーを真似し続ける。このように常に真似をする対象を探し続ける。その戦略では、企業や個人の衰退は目に見えているのである。
米国飲食企業に見られる事業をフォーカスしたパターン
では、成功した企業はどのようにフォーカスしたのか。いくつか企業の例を挙げているが、以下の4つの代表的企業を参考例として挙げておく。
トイザらス:Toys“R”Us
トイザらス の創業者、チャールズ・ラザラスはチルドレンズ・スーパーマーケットという店舗を一軒持ち、二つの商品子供用家具と玩具を売っていた。その後、店を大きくするために、家具を取りやめて、玩具だけに焦点を絞った。家具を追放した後に余った棚に、玩具を並べ、買い手の選択肢を広げた。後に、ラザラスの名前とおもちゃを意味する英語、トイズ・アー(ル)・アス、略称トイザらスと呼んだ。
スターバックス:Starbucks Corporation
1970年代、シアトルで開業した スターバックス は、コーヒー焙煎会社に過ぎなかった。その後ハワード・シュルツが入社、エスプレッソ主体の飲料類の販売を社に提案したが、その後スタバを辞めて、自分で会社を作り、その企画が大当たりして大流行し、後にシュルツは、スターバックスの店舗並びに商標を買収して、コーヒーだけを売るショップをオープンしている。多くのコーヒーショップが、様々な飲食メニューを導入していた当時は、焦点を絞った店舗はほぼ皆無だった。
サブウェイ:SUBWAY
サブウェイ は、1965年にコネチカットでフレッド・デルーカとピーター・バックが「ピーツ・スーパー・サブマリンズ」として創業し、当時あらゆる種類の飲食を置いていたデリカテッセンと違い、ただ一つのタイプ、サブマリン・サンドイッチに焦点を絞り、74年にサブマリン・サンドイッチだけを売る店として、現社名に変更した。
ドミノ・ピザ:Domino’s Pizza, Inc.
ドミノ・ピザ は、1960年、ミシガンにあったドミニックス・ピッツァという小規模のショップを創業者トーマス・S・モナハンが買収した。商売を始めた当初、同社はピザとサブマリン・サンドイッチを売っていたが、焦点を絞り込んだピザ店は、世界的チェーン店となったのは言うまでもない。
成功する前のブランドがフォーカスしたときの見られた 5 つのパターン
以下は、ブランディング22の法則で書かれたカテゴリーキラーは、一様に次の 5 段階のパターンに従っているという。小売業のカテゴリーのパターンであるが、個人的に小売以外にも、理解しやすくするために、少し自分なりに書き込みを加えている。
1. 焦点を絞り込む
得意分野もしくは自社で圧倒的シェアがあるモデルに焦点を絞り込むことで、強力なブランディング・プログラムを推進することが可能となる。常にカテゴリーを拡張するのではなく、収縮することから始める。
2. 製品を豊富にストックする
焦点を絞ったカテゴリーの在庫・情報など、量をストックし、圧倒的な品揃えを強化していく。これについては、専門店としての認識が高まり、この分野については「このブランド」という見込み客へのブランドイメージへの認識に繋がる。
3. 安く仕入れる
何事においても、安く仕入れることができることで、仕入れだけで利益を上げることもできるようになる。これは、モノだけにとどまらず、コンテンツなど、情報や知的財産についても、同様の事が言える。
4. 安く売る
安く仕入れておけば、安く売ってもなおかついい利幅を維持できるからであり、量を捌くことができる。また、高く売る場合は、カテゴリーを制して、尚且つ品質を強化し、ブランド力を上昇させてから販売をはじめる。高く売る場合は、その質が重要となる。
5. 当該カテゴリーを支配する
ブランド力のある企業と製品は、特定の分野でカテゴリーを支配していることで長く成長を維持している。ブランディング・プログラムの究極の目標とは、絞り込んだカテゴリーの支配である。
個人もしくは小企業は、資本力の問題からカテゴリーを絞り込む以外勝ち目はない
ブランド化する場合にもっとも大事な事は、成功者もしくは成功企業が成功する前に何をしていたのかを深く研究し見つけ出すことが重要である。
成功しているブランドは、フォーカスして事業を選び、その分野のカテゴリーキラーとなってから、そのカテゴリーを拡張しているのである。
製品のライフサイクルの寿命は短くなってきているが、例えば、ギブソンや ハッセルブラッド など愚直にまでも、キラーカテゴリーを支配し続けている。
自社や個人の中にあるキラーカテゴリーをみつけよう。自分だったら、この分野で勝負できると判断して、カテゴリーを支配できる分野を極める。
ブランディングにとってそれが、最重要事項の一つとなるのである。
参照:ブランディング22の法則