【ブランディング22の法則】ライン延長の法則:成功作を否定してラインの拡張を行う事はブランド力を著しく低下させる

【ブランディング22の法則】ライン延長の法則:成功作を否定してラインの拡張を行う事はブランド力を著しく低下させる

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メーカーがやりがちな基本的なミス。成功作の否定とエッセンスを絞り取ること

 

【ブランディング22の法則】ライン延長の法則:成功作を否定してラインの拡張を行う事はブランド力を著しく低下させる

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今回の話は簡単である。メーカーの論理がいかに顧客側の論理とズレているかでブランド力を自らの手で衰退させることである。私は気に入ったブランドを長く愛用する傾向があるが、その気に入ったブランドとそのモデルをいきなりフルモデルチェンジしたり、そこに可笑しな概念を入れてフルライン化するメーカーの論理を振りかざした瞬間から、ブランドチェンジを行うことにしている。

おそらく顧客である方の多くの人が、自分が惚れ込み、自分の為だけに作られたと思っている「思い入れのあるブランドやモデル」を一度は経験したことがあるだろう。

考えてみると、その経験を買ったモデルを否定してラインを拡張した場合どうなると思うか、メーカーには知る由もなく、基本的なミスは、その成功作を土台から否定して、その成功作の名前を冠したまったく「異なるモデル」として市場に厚かましく投入する事である。

これについては様々な分野のブランドでやりがちなミスであり、それによって新しい顧客が生まれたかというと必ずしもそうとは限らず、失敗の方が多く、実はリスキーな選択である事は多くの企業で気づいていない。

参照:ブランディング22の法則

 

顧客は急激な変化と選択肢が多すぎると終いにはそのブランドを選ばなくなる

 

本書では、ビールメーカーのライン延長の企業間競争を取り上げているが、まさにそのとおりである。飲料業界のモデルの多種多様さは複雑怪奇に陥り、何を出しているのかもはや顧客もほとんど把握していない。

まさに「数を撃てば当たる」という向きに私たち顧客側からみるとそう見えるのである。メーカー各社がモデルを増やし続けるのは、勝手にすれば良いが、増やせば増やすほど実は、顧客は選べなくなるのである。

新しいモデルを投入しても、長くロングセラー商品を選んでしまう。味覚については人間は保守的なのである。

個人的に言えば、少し前だが、もうじき社会人にもなるし 「 メルセデス・ベンツ・W124 」 でも購入するかと思い、雑誌やカタログや試乗などを通じ、購入一歩手前まで自分の中で盛り上がってきた時の話である。

ところが、購入資金を貯めている時期に、フルモデルチェンジの話が入り 「 W124 」 から 「 二代目:メルセデス・ベンツ・W210 」 に大幅に変更され、市場に投入されてしまった。個人的に言うと、初代のモデルが凄く良いなと思い、一生懸命 購入資金を貯めていたわけだが、まったく違う「ベンツ・Eクラス」ですと紹介された日には、目を疑ったわけである。

「最善か無か」の時代に作られた最後のミディアム・クラスとして現在でも人気は高くW124を中心に扱う中古車販売店も存在するが、生産終了から相当の年数が経過していることもあり良好な個体は減少している。 参照: メルセデス・ベンツ・W124-wiki

その後には 「 メルセデス・ベンツ・Cクラス 」 でも同じく照準を合わせ狙っていたが 「 初代:メルセデス・ベンツ・W202 」 から 「 二代:メルセデス・ベンツ・W203 」 に変わってしまい、私の好きだった前企業の余韻はすべてなくなってしまった。

多くのクラスが新しく立て続けに市場に投入されるにつれ、メルセデスベンツを選ばなくなってしまった。ベンツには、フルライン主義からラグジュアリーブランドとして、原点回帰を目指すブランドに戻ってもらいたいが、企業の論理上、限りなく今風のフルライン・メーカーの道に邁進している。

少し前に比べると企業は格段に良くなってきていると感じるが、私が好きだった「 最善か無か 」 のメルセデス・ベンツ・ブランドの時代をもう経験することはできない。

下記は参照記事であるが、人気の理由を簡単に記している。私も知人のW124の助手席に乗せてもらって、その後試乗してから、その良さに気づいたひとりである。

参照記事:メルセデス・ベンツの名車『W124』いまだに衰えない人気の秘密とは | editeur

 

企業の論理を抑え顧客の論理に精通するとブランド力は著しく向上する

 

【ブランディング22の法則】ライン延長の法則:成功作を否定してラインの拡張を行う事はブランド力を著しく低下させる

 

ライン延長の法則は、企業が考えている経営戦略の逆を考えることで、顧客側の論理がはじめて見えてくるものである。メーカーの論理でいけば、量産成果が上がらない場合に、売上維持または増加を図りたいが為に、ラインを拡張もしくは新ブランドを投入したいと考える。

また、カテゴリー全体の販売が伸び成長しているときに、新ブランドを投入する時期でもあるのに、メーカーの論理では、そんな必要はないと考え、成績が上がっている限りは、拡張もしくは新ブランド投入は必要ないと考えるようである。つまりは「困ったときに使う手段」としている限り、ブランド力は、著しく低下していることに、企業は気づいているかもしれないが、比較的顧客の論理は無視される。

また、企業の宿命として「競合他社を模倣したがる」その本能は、どの分野でも散見される。ただ、ラグジュアリー・ブランドで、その他の企業の模倣を見たことがあるかと言えば、模倣などはしている形跡は特に見られない。

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例えば、ルイ・ヴィトンやココ・シャネルやエルメスが、他社の模倣したモデルを市場投入をしているかと言えば、明らかにノーであり、いかに自社の定番モデルを守りながら、新しいモデルに挑戦しているかが、ハッキリとラインを分けているのが明らかである。挑戦する新しいモデルが、市場で一定の効果を得て、売上向上に役立つか分からない。

多くの新モデルが失敗しても、いくつかのモデルを残しながら定番としていくのである。過去の定番モデルが売れ続けている限りは、ブランドのさらなる構築を続けていき、正常進化していることを顧客は歓迎する。

なぜなら過去に購入した顧客は、選んだことの正統性、間違いではないと認識できるからだ。例えば 【 エルメス ケリー・バッグは エルメス買取から見える手作りの職人技に徹し 中身が伴った本物の高級ブランド企業 】 の件で少し取り上げたが、昔ながらの製法で作られる「定番モデル」であり続ける限りは、顧客は高い価格で安心と信頼を買うのである。

これを続けていくと、高価格を維持する事ができブランド力も上がり、企業経営も安定する。馬具を応用して顧客のニーズに沿った鞄を作ったわけだが、まさに顧客の論理である。顧客として選ぶ方は、長年に渡り、気に入った定番モデルを購入し続けるのである。

そして定番は時代を経ても、高価格を維持して売れ続けていくのである。少し売れなくなったからといって、成功作をガラリと変えてはならない。ラインが変な方法に拡張してはならず「変わらない定番人気モデル」は、優良顧客にとって安心を与えるものである。

参照ブランディング22の法則



About PG編集:道長

食べる事と寝る事に一生懸命な旅人。 世界は感染症や戦争で混沌としておりますが、平和になったら平和な国を旅をしたいと準備しております。 先代の管理者様より、サイト管理・記事制作を委任しております。 ※現在は写真提供をして頂いております。

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