【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:スターを広告から締め出してはじめてラグジュアリーとなる
従来型企業では、CMにおいて著名人や映画・舞台のスターたちが広告に使われる。どのような商品でもそうだが、多額の費用を掛けてスターを広告塔に使うのはその地位と知名度を買っているのである。
本書では、ネスレにおいて、自社のプレミアムブランド製品であるネスプレッソの宣伝にジョージ・クルーニを起用している事例を挙げて、食品マーケティング戦略では世界一のネスレはプレミアム戦略として は、すべて計算の元に行われていると説いている。
一方でラグジュアリー製品の宣伝にスターを起用することは、極めてリスキーな事になるという。
スターとラグジュアリーブランドとの位置関係を考える
この一見、混同しような条件は「ラグジュアリーブランドでもハリウッドスターなどを起用しているではないか」と思われるかもしれない。たしかにプレミアムブランドと何が違うのかと分からないというのは理解が出来る。
プレミアムとラグジュアリーの広告塔の違いは、新聞雑誌記者やパパラッチがスターを追い掛けるのと同じように「スターたちがその後を追い掛ける事」が大きく異なるのである。
つまりは、すぐにでも自分の生活シーンで、宣伝する担当ブランドを即採用して、積極的に使う事を名誉に感じることや、スター自体がラグジュアリーブランドの下に位置する認識を持っているかという事である。
プレミアムの場合多くは、その位置は対等、または著名人自体のネームバリューは上であり、宣伝することで、ブランド自体の地位を上げたいとブランド側が望んで、著名人に宣伝を依頼する。
一方ラグジュアリーは、すでにブランドの名声と信頼は獲得済であり、新製品のコンセプトやそのバリューは比較的不動であって、著名人はそれに追従する立場で宣伝の華を添えるだけである。
つまりラグジュアリー商品が主で、著名人は従、プレミアムは著名人が対等もしくは主で、商品が従という関係にある。
一見分かりにくいが、とくに著名人が宣伝に加わる必要がなく、またたいした宣伝をしなくても、定番で誰もが知り、ビックリするぐらいの高価格で少量だが飛ぶように売れているのがラグジュアリーブランドである。
例えばフェラーリのように著名人が宣伝しても、フェラーリの方が、十分主として上流に感じるものである。
スターを広告から締め出してラグジュアリーとしての地位を得られる
ブランド自体は顧客よりも上に立つ必要があり、その敬意は十分に払われていなければならない。
超有名人であったとしても、スターの助けを頼むということは、自社のブランドが生き残る為にスターの持つ地位が必要と言っている事と同じとなり、ブランド自体に地位がないと認める事になる。
ラグジュアリーブランドとして戦略を使うのであれば、スターを広告の主とするのは誤りである。
ラグジュアリー製品の宣伝にセレブや著名人を起用したら、そのブランドの地位は単なるアクセサリーの地位に成り下がってしまうのである。
あくまでも、スターを広告から締め出す必要があり、主としてはならず、彼らが積極的に後を追いかけさせる必要が、ラグジュアリーには必要なのである。
ラグジュアリーとして著名人を宣伝を利用するのであれば、その感覚を理解してはじめて「その取扱方」の戦略がより明確になるのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか