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【Swatch Group:スウォッチ・グループ】買収を通じて見えてくる プレステージ・ラグジュアリー構築戦略

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矢継ぎ早の買収による”プレステージ・ラグジュアリ レンジ”の完成

 

プレステージ・ラグジュアリーレンジと言われる最高級に位置するブランド郡は以下のとおり。

オメガ / ブランパン/ ブレゲ / グラスヒュッテ・オリジナル / ジャケ・ドロー / レオン・アト / ハリー・ウィンストン

 

 【Swatch Group:スウォッチ・グループ】データからライバルを見る全方位戦略でシェアを拡大する世界で唯一の時計ブランド

 

スウォッチ・グループの再配置戦略は「高級ラグジュアリー」と「手の届くラグジュアリー」あるいは「新しいラグジュアリー」との差別化を強化するものだった。高級ラグジュアリーは、少数の社会的上流階級層に向けられ、極めて高品質な製品をカバーする。

一方、「手の届くラグジュアリー」あるいは「新しいラグジュアリー」は、ラグジュアリーとして販売されながらも、幅広い顧客層にとって金額的に「手の届く」ものを意味するという。製品の区別によって、異なるセグメントを対象とし、ラグジュアリーの排他性と一般化に基づく並列戦略を進める事が可能にするように進められたわけである。

この解釈は、下のブランドセグメントで、数量をカバーして、大量生産を可能にし、売上の安定化を図りながら、組織を維持できるわけであり、また高級ラグジュアリーのセグメントで技術力の維持と向上を図りながら、高価格のモデルを販売を可能にし、優秀な技術者の確保、伝統ブランドの存続、プラットフォームや生産システムの共有化や、もちろん利益の向上と、すべてにおいて再配置戦略を展開する事でグループのシェアを最大化を図る事が可能となり、一大グループを形成する事ができたのである。今回はそのあたりに至る経緯を追う。

スウォッチ・グループについては昔から知りたい事が多くあり、それを詳しく論じた書籍を探していたが、ラグジュアリーブランドの研究の第一人者である長沢伸也氏が監修及び訳を担当している【「機械式時計」という名のラグジュアリー戦略】を参考にしながら自分なりにまとめておきたいと考え、記事とした。ぜひ詳しい内容を知りたい方は本書を手に取って頂きたい。

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初期の戦略は、オメガブランドのみを最高級と位置づけるが失敗

 

スウォッチ・グループは、早い時期から自らのブランドを最高級に位置付けするように画策する。1984年にはオメガで、創業者の名を冠した「ルイ・ブラント」というコレクションを発表したが、市場に新しいラグジュアリーのサブブランドを投入するのは難事業かつ莫大なコストが掛かり、試みは失敗に終わっている。そこでスウォッチ・グループは、自前でブランドを立てる戦略を見直し、既存ブランドに矛先を向ける事になるのである。

 

最高級を獲得する為の手っ取り早い戦略、それが既存ブランドの買収

 

スウォッチ・グループが自らを最高級市場に位置付けされるために採用した戦略として既存企業の買収である。有名ブランドの買収は、買収コストの観点と経営的な独立性を保ちたいと考えた場合、買収戦略は、少し知恵をひねる必要に迫られたわけである。

スウォッチ・グループを率いるハイエックCEOは、ビバーのブランパンをすでに手に入れており、比較的成功していた事から、この買収に範を取り、知名度の低いブランドを買収し、それを改造するという手法で、1990年代には最高級の位置付けを獲得した。

 

【Swatch Group:スウォッチ・グループ】買収を通じて見えてくる プレステージ・ラグジュアリー構築戦略

 

スウォッチ・グループは、レオン・アト、ブレゲ、ジャケ・ドロー、グラスヒュッテ・オリジナルといった 4 つのブランドを1999年~2000年の間に矢継ぎ早に買収を完了(図 ❶ 表記)させてしまう。この 4 つに共通するのは、いずれも、長い伝統と一流品として名声を誇る企業ながら、世界的な成長企業を持つ産業グループに組み込まれていない事であった。

 

最高級だが”売るための戦略”を持たない一流ブランドのみを狙う

 

メジャーではなく、マイナーであるが、過去には伝統と一流を誇るが、現在は零落し、ファンドや投資会社・製造会社に利用・翻弄され、落ち目であった高級ブランドを比較的安価で買収して、ラグジュアリーレンジをほぼ完成させてしまったのである。

4社の買収には共通する戦略が用いられているという。スウォッチ・グループは、小売ネットワークが乏しく、特徴的なグラフィカル・ラインを持っていないという、マーケティング面に弱点を抱えた一流ブランドに狙いを定めたのである。そこで買収した個々のブランド戦略は比較的同じ手法で進められる。

つまりは、象徴しブランドのトレードマークになりうる「顔であるデザイン」を定め、これらを自社が持つ世界的規模の小売ネットワークに組み込み、グローバル・ブランドへと成長させたわけである。これらの 4 つのブランドをスウォッチ・グループに統合する事で、生産の合理化が促進されたようである。2000年代を通じて、最高級ムーブメント製造がグループ内で再編成され、集中管理がなされてい く。

 

宝飾部門への挑戦は失敗し、既存トップブランド企業の買収で完成させる

 

最後に位置づけられるのは、宝飾時計の挑戦である。高級セグメントで最も価格と利益が上がるのは、宝飾を施した高額時計の販売数量を上げる事である。買収により、高級ラグジュアリーのデザイン及びマーケティングに関して得たスキルを活かし、07年には米国のティファニーとの間でラグジュアリーな宝石商の名を冠した時計生産 (図 ❷ 表記) を契約する。しかしスウォッチ・グループは、ティファニーが時計生産に十分重きを置いていないと見えた為、11年には早くも契約解消となった。

スウォッチ・グループは宝飾市場に挑戦の目標を捨てず、ブレゲやオメガなどグループの時計ブランドにジュエリーコレクションを投入するが、期待したほどの結果を出せなかったようである。2000年初頭には、宝飾セグメントに位置づけられたレオン・アトの時計は失敗に終わっており、2008年から2009年の世界金融危機の影響で、トゥールビヨンがショップから徐々に姿が消えたという。

競争力のあるジュエリーウォッチの立ち上げは極めて難しい事業である事が証明されたわけであり、スウォッチ・グループはまた戦略の変更を迫られていく。数々の戦略で手痛い経験を経て最後の戦略は、またも既存企業の買収であり、宝飾部門のトップレベルのブランドを買収し、その時計製造部門を支配する動きに出る。スウォッチ・グループにとって、宝飾企業を買収する方が戦略として適当と思われたようである。

LVMHが2011年にブルガリを買収すると、2013年、スウォッチ・グループに残された買収企業は、小規模の時計製造部門のハリー・ウィンストン・タイムピーシーズを有していた「ハリー・ウィンストン」を買収 (図 ❸ 表記) したのである。

 

【Swatch Group:スウォッチ・グループ】買収を通じて見えてくる プレステージ・ラグジュアリー構築戦略

余談であるが、上記写真は、親族より譲ってもらったのオメガ シーマスターである。オメガの手巻仕様で、仕事でもたまに着用していく。現在でも通用するシンプルなデザインである。

親族が社会人になった際に、奮発して購入したようである。ケースの直径は、約35mmと標準的だが、重さはあまり感じず、軽快で腕になじみやすく、ドレスウォッチでありながら仕事でも使う事ができる。シンプルなデザイン、オメガでもアンティークで誰とも被らないので、非常に気にった次第である。

オメガブランドは、個人的にも好きなブランドであり、オメガ好きからはじまり、その親会社は、スウォッチ・グループであるという事を知ってから非常に興味が湧いてきた次第である。

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About 磯守 航史郎

食べる事と温泉・マッサージが好きな勤め人。過去には大小様々な職業につき、現在は不安定の中の安定を楽しんでいる昔から「変わり者」と言われた中年。 好きな分野は、ブランド戦略/建築・不動産/知的財産権/EC・オークション/金融・投資/カメラ/時計/モデルやアイドルなど、ジャンルは幅広いが、趣味や元家業・知人との関係で関わった事件が中心であり、現在は利害関係もなく、気軽にブログを書いている。テーマは知的財産権とブランドとの関係・市場での価格の関係、偽ブランドの撲滅など、高尚なテーマをより面白くしたいと努めている。