ウォルサム リバーサイド マキシマス Waltham Riverside Maximus 23石 14金無垢
- 製造年:約 1904~1906年前後
- ムーブメント:手巻
- ケース:金無垢 K14刻印
- ゼンマイ巻方式:竜頭巻
- フェイス:オープン
- 文字盤:ポーセリン
- 刻印 1:Waltham Watch Company/14K/585/1000/
- 刻印 2:23JEWELS/A.W.W.CO/Waltham mass Riverside Maximus
- サイズ:約 46.0mm
- 用途:鉄道時計
ウォルサム・ウォッチ・カンパニー(Waltham Watch Company )は懐中時計が有名なアメリカ最古の時計ブランドである。エイブラハム・リンカーンやジェームズ・ブキャナン、川端康成も愛用していた。現在は日本の宝飾品メーカー、平和堂貿易の100パーセント子会社である。ウォルサム – Wikipedia
約 110 年前に市場に登場したウォルサム・ウォッチ・カンパニーの黄金時代のモデル
今回は、ウォルサム・ウォッチ・カンパニーの 「リバーサイド マキシマス」 モデルについて簡単にではあるが記しておきたいと思う。比較的、長期間保有されていた同モデルは、約 110 年ほど前に市場に投入された超高級モデルである。
最初に購入したのは、祖父の知人である米国の取引先の人だが、記憶は定かではないのだが、知人からのプレゼントでもらったようである。
プライスに関しては、170.00ドルと記載されていることから、当時約 360 円固定で、約 61,200円しており、なかなか高額なモデルである。
さらに、最初の購入者は、1901~1918年当時で、約 222~224 ドル前後で購入。当時の広告を見つけ、記載されてる事から判明した。
1901~1910年当時の 1 ドルは、現在約 25~30 倍。約 25 ドルと考えたとして、約 25×平均 223ドル= 約 5,575ドル。2017年現在、日本円で 1 ドルは、約 112 円なので、約 5,575× 112円= 約 626,400 円以上となる。
理論上の計算で行けば、そのくらいとなるのだろうけど、約 110 年以上前の当時の日本人でも、富裕層以外はとても懐中時計は買えなかっただろう。
頂いた手前、売ることもできず、高級品ということで、価値の上昇があると考えていたようだが、そのような意味で言うと、あまり成果は上がらなかったわけである。
二次市場は数も少なく稀少な事から、100年前の時計でも金無垢モデルは高額に取引されている
さっそく「オークファン 」で現在の落札相場を調べていこう。約 10 年間の最高額は、約 10 万円前後で取引されており、同様のモデルが、約 7~10 万円前後で多く取引されている。中古販売価格は、約10万円前後で売るのであろうと推測される。
同モデルは、14Kモデルなので、比較的安定した価格で取引されており、まずは一安心したわけなのだが、金相場なども高騰しており、買取には比較的追い風なのが見てとれる。動作の確認を行いながら、現在でも正確に動いており良好である。
機械の確かさ、当時の技術の粋を集めた超高額モデルは、約 110 年の時代を経ても、正確に時を刻むその凄味を感じた次第である。
米国鉄道懐中時計のマスト、ブランドの黄金期を支えたフラッグシップモデル
ウォルサム リバーサイド マキシマスについて、簡単にではあるが、同モデルについての説明をしておきたい。ウォルサム リバーサイド マキシマスは、川端康成氏も愛用していた事で知られる「リバーサイド・モデル」の最高級モデルである。日本の有名作家が愛用していたことから、日本のコレクターに定番の人気を誇る。
手に伝わるズッシリとした重みのあるケースで、デザインはシンプルそのものであり、中の機械を見ると、芸術的な美しさを備えた秀逸なモデルである。
年式は、プロではないので正確ではないが「A.W.W.CO:アメリカン・ウォルサム時計会社」の刻印があることから、1885年~1907年までの間なのは確実である。
また刻印の番号から、最後の方で、後記あたりに属しているのではと推測される。それでもゆうに、約 110 年以上前であることは確実であろう。
全体的なデザインは非常にシンプルでもはや多くのブランドで語られているように、この時代の時計は、非常に質が高く美しい。
素材の魅力だけで勝負ができ、技術の粋を集め、芸術まで高められた潔さを感じる。古き良きアメリカを象徴し、欧州の洗練された文化が辛うじて残る最後ぐらいとなるだろう。
この約30年後、現在のアメリカに通ずる経営の効率化と儲けの追及により、よりインスタントに製造され、その芸術性は失われる。
外装は、約 46.0mmの14Kケースが施され「Waltham COLONIA/14K/585/1000 FINE」及びシリアルの刻印が入り、二重蓋となっている内部の蓋には「Waltham Watch Company」のロゴが円形状に、2つ施され美しさを保つ。
蓋を開けると、シルバーニッケル仕上げレバームーブメント、23個の宝石、複雑な心臓部であるバイメタル切りテンプの最適なバランスを保ち時を刻み続けている。
米国鉄道懐中時計のマストである同モデルは、鉄道員だけでなく鉄道普及により、旅を楽しむラグジュアリー層に相応しい魅力的なモデルを精力的に販売したウォルサムブランドの黄金期を支えたフラッグシップモデルである。
その精密に仕上げられた美しいムーブメントは、私たちが生きている後も正確に時を刻み続けるであろう。
金高騰から見えてくる買取業者の乱立と金無垢モデルの高値買取
今回の買取査定額については、約 71,000円ほどの査定となった。動作については、現在でも正確に動き、内部の状態が比較的良い事や金の相場が比較的高騰していることも多少の影響はあるだろう。
上記図のような金相場の高騰が影響していると仮定して、当時約 360 円固定相場に、プレゼントとしてもらったのであれば、現在の買取査定額で、ほぼ元が取れてしまうのである。
また保有していた小さな地金なども一緒に大量処分を行った。今回売却を考えたのは、高騰する市場を見て、ある程度の落ち着きを見せていて、現在が天井と判断したからである。
金の買取で、18 金であれば、約 2 割引きの青のラインでの価格帯が買取価格となる。
また上記の図は、ここ90日間のウォルサムの平均落札額である。いくつか高いモデルの取引が続いているが、横ばいが続いており、長期的に保有していも、ウォルサムブランド自体に、大きな価値があるとは思わない。
また、上記は「オークデータ 」で、懐中時計・手巻き のカテゴリーで、約 5 年間の総落札数及び平均落札額である。
総落札数は、約 5 年ほどで、約 1.5倍と順当ではあるがあまり伸びが良くない。また、平均落札額は、約 10,000~15,000円前後で横ばいに推移しており、コンスタントに数が出ているが、あまり価格は伸びていない。
懐中時計は、二世代に渡って約 50 年ほど保有していたのだが、保有を続けていても、スマートフォン全盛の現在では使う用途がなく困っていた。
時同じくして、金の高騰と為替とデフレの影響に応じて、買取業者が乱立し、金やブランド品の買取量も価格の高騰で圧倒的に増え争奪戦が行われていた。
祖父や親の代に、長期で投資をしていた金やブランド品への投資も長く低迷しており、長期間損失が出ており、今回の高騰しか売り時がなかった。
金やブランド品の高騰の波が突如なくなる怖れもあり、また、金の価値と稀少性のみに頼った懐中時計においては、新しい需要を生み出すブランドが生まれない限り、時代と共に衰退は免れないのであろう。それが時代の流れである。
寿命が終わる恐れのある資源や製品は、最も高く付くときに売却することで、初めて資産としての価値を次の者に継承できるのである。