IWC/インターナショナル・ウォッチ・カンパニー:時計の歴史に名を残す名機を数多く開発
創業年=1860年/創業者=フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ /創業地=スイス/シャフハウゼン:スイス伝統の職人技術と米国最先端技術の融合を目指して1868年に創業。同年、独自の緩急針やバイメタル補正テンプを備えた「ジョーンズ・キャリバー」を開発し、1885年にはデジタル式時計を開発するなど、創業当初から斬新な複雑機構を発表して名声を得る。その後の展開は多彩で、航空時計の最高傑作とも称される「マークIⅩ」(36年) ラグジュアリーな大型高精度モデル「ポルトギーゼ」 (39年) 500年先まで正確にカレンダーを表示する驚愕のコンプリケーション「ダ・ヴィンチ」(1985年) など、時計の歴史に残る名機を発表してきた。05年に高耐磁性能を持つ「インヂュニア」の復活をはじめ、毎年のように各シリーズのフルモデルチェンジを敢行。14年は「アクアタイマー」ラインが大進化を遂げた。参照:腕時計の教科書
クォーツショックで自らのブランド価値を失墜させた事がリセールバリューにも影響
安価な日本製クォーツ式時計が市場を席巻し、時計の価格が大幅に下落したため、機械式の製品では懐中時計以外の自社製ムーブメントの開発・生産を打ち切り、安価なエタ製の汎用機械を搭載するようになった。エタ製の機械には大幅に独自のカスタマイズを施しているといわれる。70年代初頭まではロレックスよりも格上の高級ブランドとして認知されていたが、エタ製の機械の採用に伴い、かつてのブランドイメージと人気を失ったことは、否めない。参照 : wiki-インターナショナル・ウォッチ・カンパニー
Reference:IWC Official Luxury Brand Site / Pintarest user page : Aquatimer Chronograph in 18-Karat Red Gold Watch.
かつては安価なムーブメントに頼った外面だけのブランドという印象が私の中にあるが、過去の行った経営を払拭する事が課題でもあるブランドそれが、IWCである。
ブランドイメージ先行で、比較的高い価格で売ろうと考えているあたりが、少しアメリカンな発想なのだが、自ら価値を落とし、目先の利益に走ったのが過去の IWC ブランドである。
現在のIWCは新しいブランドのイメージづくりに邁進中である。基本的に保有したいという強烈なイメージまで獲得できておらず、かつてはロレックス以上に、価値があったと言われていた。
さっそくデータを見ていこう。最近のモデルが並び大半が状態がよく、K18を使用した豪華なモデルで価格を保っている印象である。
基本的に技術とデザインがしっかりと融合し、長い歴史の中で過ちのないブランドが好きなので、上記は高額な印象であり、共通してブランド全体的に言える事は、現在のモデルは、これぐらいで取引されているという指標で見てもらう分かりやすいだろう。
IWC ポルトギーゼクロノグラフ IW3714 WG
ポルトギーゼ : オリジナルモデルは、ポルトガルの時計商であったロドリゲスとティシェイラから「大型でも構わないので懐中時計用の機械を使用して高精度の腕時計を」との注文を受け、当時懐中時計用としては最も薄型であったキャリバー74を使用して1939年に生産された。1993年創業125周年を記念し『ポルトギーゼ・ジュブリー』として限定生産の形ながら復活、その後通常生産ラインとなっている。IWCの中でもドレッシーで人気の高いラインである。特にポルトギーゼ・クロノグラフは1998年のラインナップ以降、見た目やサイズに大きな変更の無いロングセラーモデルである。参照:wiki-ポルトギーゼ
ここ約3年で欲しいと思ったモデルである。価格を見てもらうとお分かりであろうが、あまりリセールバリューは高くない。
ポルトギーゼクロノに関して言うと「あまり変わらない」事が良いのだが、やはり高額な時計を望む多くのユーザーは昨今流行りのドレス路線を選びたいという購入心理が働くものである。
下記の写真でも比較的ドレス路線のモデルを取り上げているが、IWCのトレンドもやはりドレス路線に向けられているのは時代の流れである。
全体的にシックなファッションが多くなる中で、腕周りだけは少し豪華に見せたいという心理を上手く付くデザインを採用するのは、現在の時計業界では多いのだが、逆にシンプルなデザインモデルを欲しいと思った次第である。
残念ながら、シンプルなデザインであるゆえ、コピー品も多く、それらが中古市場価格に若干の影響が出ている。海外においてはコピー品が多い傾向が見られ、海外のオークションやECにも手が出しづらいのが正直な印象である。
マーケティングはアメリカンな印象に振られているのが残念
昨今のモデルを見ていると、よりアメリカブランドの印象が否めない。もともと創業者がアメリカ人という事もあり、実態は米国企業に近いだろう。
日本でのセールス面で言える事は、アメリカ的なマーケティング戦略で推し進めても、良い結果は得られる事は少ない。
なぜならアメリカ的ブランドの手法は日本では飽きがきているし、より安いイメージが全体にあるからだ。
また高級ブランドというイメージ醸成をする事も困難である。モデルを含め、よりアメリカ色を出せば出すほど、残念ながらブランド価値は落ちていく。
やはり欧州テイストのスイス・メイドを前面に押し出す方が良いだろう。そのような意味で言うと、ブライトリングに近い戦略を感じるのであるが、残念ながらブライトリングの方が航空時計のイメージは上である。
高級ブランドの定番のマーケティング・スタイルである「陸・海・空」の過酷な現場でも。精密に動く時計のブランドイメージを醸成したいようだが、よりアメリカ色が強いのが残念である。
ただ個人的には、スイス産アメリカブランドの中で、IWCは好きなので、今後に期待したいし、より欧州テイストが、前面に打ち出す戦略の展開に期待したい。