ロレックス:既存の常識を打ち破るブランド戦略と驚異的な人気で価格上昇を続ける最も有名になったカリスマブランド
創業年=1905年/創業者=ハンス・ウィルスドルフ/創業地=イギリス/ロンドン:腕時計の将来性をいち早く見抜いていたハンス・ウィルスドルフにより、1905年に創業。精度はもちろん、要求される性能を満たすための腕時計開発を積極的に行い、1926年に世界初の完全防水ケース「オイスター」を完成させる。1931年には360度回転式ローターを採用した自動巻上げ機構「パーペチュアル」を、1945年には午前12時に日付が瞬時に切り替わる「デイジャスト」を開発。腕時計の実用性を飛躍的に高めていった。1950年代以降は、プロフェッショナル向けの製品も積極的に開発し、「エクスプローラー」「サブマリーナー」「GMTマスター」「コスモグラフ デイトナ」など、現在でも続く人気ウォッチを展開。これらはここ数年で目覚ましい進化を果たしており、現在の技術に見合った最高峰の実用時計としての地位を改めて確立している。参照:腕時計の教科書
61年発売。ロレックス唯一のクロノグラフモデル。以前コスモグラフはムーンフェイズ機能を持つモデルの名称であった。当初はアポロ計画の為に開発された物だが、NASAの選定の際にスピードマスターの前に破れ去ってしまった。後、カーレース用のモデルとして宣伝。88年からゼニスとモバードが共同開発した『エル・プリメロ』を大幅に改造したCal.4030を積み自動巻化されたRef.16520に。参照:コスモグラフ・デイトナ-wiki
抜群の二次市場での評価、数も少なく稀少性があり、ずっと驚異的な高騰を続ける
ロレックス コスモグラフ デイトナ パトリッツィ ダイヤル エル・プリメロ。このエピソード満載の超高額モデルの高騰はいつまで続くのか。
バブルの際に高騰し、バブル崩壊後、約 600,000円~700,000円前後で取引されていたが、しばらく経ってから高騰を始めた。
現在の相場はどうなっているのか。さっそく「オークファン 」で取引状況をチェックしていこう。上記モデルについては、最高額付近を取り上げている。
約 4,500,000円前後が最高落札付近で、約 2,300,000 円~ 3,200,000 円前後で取引が見られる。
これについては、状態並びにインダイアルが、茶色く変色するその「見た目」が重要となる。茶色であればあるほど、綺麗に変色していればいるほど、価格が高騰する「不思議な現象」がみられるのである。
また、エラーされる「逆さ 6 」であったり、全体的な個体の状態 ( オーバーホール不要等 ) についても、価格が高騰する要因でもある。
ここ約 5 年間の平均落札額は 2,691,286 円となっており、どうしても欲しいと考えている人であれば、約 2,500,000円前後は、最低用意しておく必要がある。
当時、インターネット黎明期という事があり、カタログデータで申し訳ないが「ロレックスマスターブック Ⅱ 」などの雑誌などを見て、ある程度の相場観を養い、腕時計を購入していた。
これを見ていくと、バブル崩壊後、約 2 年前後において価格は定価に近く、安く放置されていたのである。
バブル崩壊後、比較的良質なモデルを中心に購入を進め、仕事で報酬を得るたびに、故障し、安く放置されていたラグジュアリーブランドの中古腕時計を入手し、修理に出しては、ヴィンテージ品の収集して楽しんだものである。
約二十数年前と違い、現在の腕時計業界においては、価格が高騰し、高値掴みのバブル傾向なので、主に高騰した価格で欲しい人の為に売却を行っている。
現在では、入手する数も減り、よほど欲しい時計がない限り、購入することはないのである。
ロレックス コスモグラフ デイトナ パトリッツィ ダイヤル エル・プリメロ
ロレックス × ゼニス ~ 名機エル・プリメロ「Cal.4030」
毎分 36,000 振動、50時間パワーリザーブ、スモールセコンド、デイト機能。1969 年に開発した時点で「エル・プリメロ」は、現在でも十分通用するスペックのムーブメントである。
約 30 年以上前の腕時計ブランドの中で、ゼニスの「エル・プリメロ」に匹敵する「自動巻クロノグラフムーブメント」は存在していなかった。
当時のロレックスの技術力では、開発することは出来ず、ゼニスからムーブメントを供給し、ロレックスがリファインしてデイトナに搭載する。
ロレックスの「オイスター」とゼニスの「エル・プリメロ」が掛け合わされ、最高のエンジニアリングが搭載された事により、さらに価格が高騰する要因となったのである。
一時的に「技術の輸入」を行うロレックスらしいムーブメント戦略であり、その手法は、後に完全自社製のムーブメントを開発する抜群の成果を得たのである。
デイトナ狂騒曲~この高騰はいつまで続くのか
事の始まりは、1987 年に手巻きのデイトナが製造中止になったことにはじまる。まず、イタリアで空前のブームが起こり、それが世界中に波及し、デイトナが品薄状態となり「デイトナ・バブル騒動」が起きた。
ロレックスは、翌年の 1988 年 12 月に、今回紹介した「オイスター・パペチュアル・コスモグラフ・デイトナ」を市場に投入。正式なシリーズ「コスモグラフ・デイトナ」となるのは、この時である。
デイトナ・バブルの真っ只中だったため、自動巻きのデイトナは、その影響を受け店頭に並ぶことはなかった。
日本ではバブル直前まで、まったく人気がなかったせいで、中古価格で約 200,000~300,000円前後で売られていたが、日本国内でも稀少で数も少なく、アッと言う間に、約 1,000,000 円前後まで高騰した。
この時代は、日本でも空前のバブル景気もあり、高騰したと言っても、当時の金銭価値から考えると、あまり高いとは言えない感覚であっただろう。
その後日本でもバブル崩壊が起こり、それと同時期に、デイトナバブルも終焉し、定価辺りまで価格は下落したのである。
個人的に言うと、バブル崩壊後に購入したモデルであり、定価で入手できた事は幸運であった。
私自身、バブルの時に利潤を享受することが出来ず、その後のバブル崩壊後に仕事を通じて、利潤が回ってきた事もあり、父親から一部カネを借り、安価に入手できた。
コスモグラフ デイトナの高騰は、ちょうどこのバブル時期と重なったため「ロレックスのモデルが製造中止になると価格高騰が始まる」という方程式が生まれ、スポーツ系モデルを中心に高騰が始まることになるが、価格が高騰するというのはデイトナから始まっている。
その後、バブル崩壊後 数年が経ち、2000年代初頭には、再び1980年代末の価格に戻り、長期間保有することに決めたのである。
購入した当時、インターネットの黎明期であり、多くの人々はネットで調べるという事が出来ず、情報格差がかなりあったことを付け加えておきたい。その時は、保有した多くの腕時計を高値で売却できるとは思ってもみなかった。
その中で、今回紹介する「ロレックス パトリッツィ ダイアル エル・プリメロ Ref.16520」 は、コスモグラフ デイトナの中で、インダイアルが、茶色く変色したモデルが「パトリッツィ・ダイアル」である。
経年による劣化で変色し、エラーモデルとして認識されている。当初、経年により変色するのは当たり前と考えていて致し方ないなと思っていたのだが、エラーモデルと気づいたのは後年の話である。
また、自動巻きの特徴はクロノメーターであり、このモデルから、全てのコスモグラフがクロノメーターになった。サファイアガラスを採用、防水性能も50 メートル から 100 メートルに性能が向上した。
また、同モデルが自動巻きになったことにより、現行品が全てオイスター・パーペチュアルになり、個人的にも、かなりインパクトのあるモデルだった。
ムーブメントの Cal.4030 は、これは定評のあるゼニス「エル・プリメロ」を「ベースムーブメント」としてロレックスがリファインし、採用した最後のモデルである。
半年以上前に、腕時計専門店を通じて、約 20 年以上ぶりに買取に出したが、約 2,800,000 円前後で買取に成功したわけだが、どうやら海外のバイヤーに売られたようである。
ちなみに業者からは、販売価格は教えてもらえなかった。恐らく約 3,000,000円以上で販売したのであろう。
国内中古市場でも、高値で取引されており、現在では約 3,000,000 円~4,500,000 円前後で取引されているが、どこまで高騰するのか。
現在の高騰はもはやバブルであり、再び入手するとしたら、世界中に大きな景気後退局面が起こったときに、大きく価格が下落した時に、改めて入手したいと思っている。
今しばらくは、購入してくれた人の元で、大切に扱って頂きたいと思うのである。