【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:標的にしていない人にもコミュニケーションせよ
ラグジュアリーにはふたつの側面の様相があるという。自分のためのラグジュアリーと他人のためのラグジュアリーである。
後者の面を持続させるためには、そのブランドを自分のために買う余裕があるかもしれない人よりも、そのブランドによく通じている人がもっと多くいる事が必須である。
例えば、シャネルNo.5 は、香水の中では不動の地位であるが、その認知度は、世の女性のみならず、多くの男性諸氏にも知れ渡っている。
直接購入する層であるターゲットとされた女性が見るであろう媒体に効果的に広告を投下していくことはもちろんのこと、認知度という意味で、どのターゲットに向けて広告を出しているのか一見分からない広告をあなたも見た事がないだろうか?
通常、通販やセールス向けの機能や効用を謳った広告は、ずばりターゲットに向けたピンポイントの広告であり、直接の売上を上げる為に計画されたメディアである。
これが従来型のマーケティングを扱う企業であり、ラグジュアリーブランドとまったく広告の質は異なるのである。
ターゲットを考えるよりもブランドイメージを宣伝すること
Reference image:Window Visual Merchandising | VM | Window Display
従来型マーケティングでは、キーワードは効率である。しかし効率以上に、投資利益率が不可欠である。
例えば、広告のメディア計画は、狙った消費者にだけに集中することが、至上命題でありそれ以外はないのであるが、ラグジュアリーはそれ以外にも広告を投下できる資力を持ち合わせる事が重要である。
よく行われているのが、広告と組み合わせた芸術への接近である。【初めて買う人のために、芸術へ接近するように努めること】でも取り上げたが、一見何を伝えたいのかという事が分からない事がある。
また新しいモデルを芸術家とのコラボで実現していくが、必ずしも狙った消費者以外の人たちにも広く、ブランドを知ってもらうために、このような活動は必須なのである。
従来企業はターゲットだけでラグジュアリーはイメージで広くコミュニケーションする
上記で上げた内容は、従来のマーケティングでは、投資金額の無駄遣いであり、絶対にそのような事をすることはない。
広告を打つという事は商品を宣伝し売上を上げる為に広告を打つものであるからだ。ラグジュアリーはそれであってはならないのである。
ラグジュアリーはすでにその時期は終わり、成熟し誰もが認知している高級ブランドであり、同じような宣伝をしても、自らのブランド価値を落としかねな い。
例えば、エルメスが、通販番組のように大幅値下げの上、金利手数料は販売している企業が負担しますといい、その企業の安価な専用モデルとして販売されたら、仮に売上が急成長しても、今まで購入していた層をすべて失う事になる。
そうならない為にも、イメージで広告を投下するのがラグジュアリーの至上命題なのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか