【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:高い権威者から顧客の上に立ち一定の距離を置いて神秘性の霊気を保つ
ラグジュアリーは、実力社会に勝ち抜いた人々に与えられる帰結である。かつて貴族社会の独占的特権であったが、ラグジュアリーはいまでは、階級なき社会を再び階層化している。
その階層化は、単なる生まれつきでなく、実力に基づき手に入れる事ができる。
皆自分の経済的地位と実力を得るために、向上しようと努めるが、ラグジュアリーブランドは、努力した自分へのご褒美でもあるし、地位が上がった事を示す証拠である。
地位が上がった人々の象徴性を守る必要がラグジュアリーには求められ、ブランドは常に顧客の上に立つ必要がある。
王室御用達から実力のある人々へ開かれるがその霊気を失ってはならない
仮にもし顧客を「良き相棒」として接していたら、顧客に対等の関係であると思わせてしまう事になり、ブランドにある霊気はなくなり、ブランドの所産を深く傷つけるという。
身近にあり過ぎると、ブランドの価値は大きく損なうが、はじめて手に入れた時の嬉しさは興奮して一生大事に使おうと考えるものだが、生活を共にしていくと、その霊気も失っていく。
どうしても毎日接していると「良き相棒」として接してしまうところであるが、そのような意味でブランドは、顧客に相棒と接せられても、特別な霊気を醸し出す”何か”を保ち続ける為に、常に顧客の夢を上回る必要があるのだ。
富裕となり自分を指し示す記号が分からない人々の社会的なガイドであること
ラグジュアリーは、教養や好みの領域である。裕福な購買客は本当は自身が指し示す記号を持っていなかったとしても、ラグジュアリーブランドを際限なく買うことによって、彼らはその製品が、ラグジュアリーとして記号化されているに違いないということ、何がラグジュアリーかわかるようになっていくという。
これについて言うと、記号を持っていない顧客に、このブランドを買っていれば安心を提供する顧客を増やす事で、何世代にも自社のブランドを愛用する事が目的だろう。
ただ昨今は、格差の拡大でより裕福な人はずっと裕福であるが、貧困の人々はずっと貧困が広がっている。また裕福な人々は少ない故に、市場でのパイを確保するために、ブランド自らが入門モデルを多く市場に投入するようになってきた。
ラグジュアリーブランドは、はじめて「高級」を購入する為の社会的なガイドの役割をいつも以上に演じられる事が求められる。
そのような意味で、ラグジュアリーブランドは常に顧客の上に立たなければ、その存在意義すら失いかねないのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか