【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:顧客を非顧客から守れ、上客を並みの客から守りきること
現在のラグジュアリーというのは、ある時は閉鎖的で、ある時は開放的な法則の上で機能するという。
閉鎖的過ぎてもいけないし開放的すぎてもいけない事の事例としてラルフローレンの成功を上げている。欧州市場においてプロとしての彼の成功の基盤をひとつ蝕んでしまったというのである。
自社製スポーツ用のポロシャツをつくり、別のカジュアルウェアのプレミアムブランドであるクロコダイルとの差別化には成功したが、そのヒントであるアイデアは、ラルフローレンが米国で台頭し始めたことに閃きをそこから得たものだということだという。
ラグジュアリーであるほど顧客に差別主義的な対応を取る必要が出てくる
開放的すぎて、一般的な企業の戦略では当たり前の方法でも、ラグジュアリーブランドの価値は著しく落ちてしまう例である。
またブルジョワジーのようなターゲットを狙いすぎて陳腐化しないようにする必要もあり、またアッパークラスにおいてふさわしいモデルの提供も行う必要に迫られる。
閉鎖的過ぎると、経済的にブランドは維持できないようになってしまうわけであり、微妙なさじ加減が必要となるのである。
実際、この法則で言えば、ブランドが対象を差別主義者になることを意味するといい、全社会の民主的な原則を忘れることになる。
ある店舗では、一階をこの人向け、二階を他の人向け、という社会的隔離という手段を巧妙に取り入れる必要がラグジュアリーブランドには必要だという。
ファーストクラスのような質の高い対応がラグジュアリーには求められる
アルマーニについて言うと、様々なターゲット向けにアルマーニを巧妙に振り分けており、広告やプロモーションについては不特定多数へ向けて行うが、コミュニケーションでは細心の注意を払って標的を絞り込んで行っている。
特別扱いの客と一般の客のサービスでの対応が物語っているのは、多くの方がお気づきであろう。
航空分野では、現在、新しいファーストクラスの客が、ビジネスクラス・エコノミークラスの乗客と顔を合わせる事が絶対ないようになっている。
搭乗している間のみならず、オフィスを離れてもすぐ、目的地のオフィスに着くまでずっとそのようなサービスであり、まるでプライベートジェットに乗って移動しているように感じるという。
ラグジュアリーブランドでは、他の客 (階層の低い客や冷やかしや高額リピータ、上客ではない客) が自分たちの「真の顧客」に迷惑を掛けないように細心の注意を払い、スタッフがうまく立ち振る舞うかによってブランドの命運が掛かっているというわけである。
ラグジュアリー・ブランドの条件においては、より質の高いサービスを私たち一般人の顧客の目に見えないように「真の顧客」だけに、別の扱いで巧妙にサービスが行われているのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか