【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:需要を支配し増える需要に応えてはならない
従来型マーケティングの主眼点は、販売量を増大させることにある。百貨店やスーパーという大型流通業者と共に体力をつけて、市場専有率で指導者の地位を獲得し、自社を業界で力のある存在に見えるようにする考え方である。
製品は広範囲に流通し、多くの人の目に触れることになり、全国放送のテレビで宣伝キャンペーンを放送することでさらに売れるようになるのである。十分な量の製品を販売できれば、少ない利幅で取引できるようになり、なおかつ儲かる。マスマーケティングの基本モデルである。
過剰供給を前提とし時間が来たら廃棄も行われる量販店などの流通企業
たしかに基本モデルであるが、これについては競争原理の渦中に身をさらすことになる。資本と体力がある企業が自ずと勝利しやすく、ラグジュアリーという概念からは程遠い。
このマーケティングの基本モデルは、増加し続ける事を前提にビジネスを進めていかなければならず、そこそこの品質と流通体系が成否を決める。
例えば私たちの身近なコンビニでは、流通の効率化によって、コンビニなどのストアで商品の過剰供給がなされ、売り切るという概念にもはや乏しく時間が来れば自動的に廃棄され、その廃棄コストが多く出ている。
要は商品が常に新しく切らす事を良しとせず、その需要を充たさなければ、顧客はその企業に苛立ちを覚える事になる。
気分を害した顧客は、待つことはなく、ブランドに対して良い感情を持たなくなるだろう。
そのスーパーやコンビニの品揃えの悪さを思い、話す場所でもあれば、その悪評を広めてしまう事態になりかねず、非常に神経を使っている。それは多くの流通企業が恐れている事である。
ラグジュアリーブランドは需要に対して供給のコントロールに努める
ラグジュアリーブランドというのは、需要に対して非常に供給量をコントロールしようと努める。
例えば、フェラーリでは、年間の生産台数が6000台以下になるように調整されている。稀少性が売りだからだ。
もっともフェラーリはその製造体制からして、現在のところ若干の振れ幅があっても、このあたりが最大量になるのである。
顧客は、そのブランド哲学から、製品がなぜ稀少なのか理解しているから、だからこそ待つ心の準備ができている。
その稀少性は、顧客との関係性と同様に、マネジメントできるものなのであるという。
フェラーリでは、予測販売台数が乏しいことは問題にならずに、需要を支配するためにあえて需要に逆らうという、結果的によく考えられた戦略を採っているのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか