【ラグジュアリー戦略】マーケティング逆張りの法則:ラグジュアリーが価格を定め、価格はラグジュアリーを定めない
逆張りでマーケティングができるのは、ラグジュアリーブランドだけである。ラグジュアリーは、売り手中心のマーケティングを実践できる稀少性が前提にあり、通常の企業はまったく違うアプローチで、顧客に製品やサービスを提供する。
従来型マーケティングでは、買い手中心に物事をすすめていくものであり、このアプローチの仕方では、一般的な企業では混乱状態に陥りやすい。
あなたの企業で、自らのブランドのマーケティングをする場合、どちらのアプローチで進めていくのか、もう一度検討する事で、自らのブランドの位置というものがわかってくる。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか
ラグジュアリーは一貫して”売り手”中心のマーケティング

ラグジュアリーでは最初に製品ありきではじまり、それからどの程度の価格で売るかを考えることができる。例えば、フェラーリであるが、先に年間生産台数を割り出し、おおよその価格帯を決めてしまう。
その後、購入できる顧客条件をブランド側が設定し、購入意思がある厳選された顧客に絞り、順次生産完了したモデルから少量ずつ届けていく。
顧客がその製品をラグジュアリーなものと知覚されればされるほど、高価格になる。
【需要を支配し増える需要に応えてはならない】でも書いたが、年間 約 6,000 台程度を上限として、需要を完全に支配する事で、主導権を完全にブランド側に握られているのである。
逆張りマーケティング手法に乗りかかる顧客と相乗りする二次業者の面々
古典的製品や高価格だけの商品を売る場合、逆張りマーケティング手法を適用できるかと言えば明らかに正反対である。
そこでは、マーケターもしくはそれに準じた二次市場のプレイヤーは、どの価格帯に製品が入る余地があるのか見つけ出そうとする。
歴史的価値や時代的に稀少性があるもの、もしくは、当時は安価であったが、現在稀少性のあるブランドというだけで、高価な場合があり、その高価な価値をどの位置に入る余地があるか見つけ出そうとする。
ラグジュアリーもしくは、それに似た希少価値のある商品のあぶり出しやすいブランドとその市場を探り、オークションなどで顧客自らが付けたプライスを事前に知り、それ以下で手に入れると儲かるというプロセスを二次市場の中古業者は、実践しているのである。

例えば事故で壊れた製品でも、ラグジュアリーブランドの背景を知っている者にとっては、壊れていようと高い価格をつけて手に入れたいと思うものである。
ラグジュアリーブランドの逆張りマーケティング手法を感覚的に知る業者は、ラグジュアリー戦略を実践している企業の製品をオークション市場で高く売り儲けられる事を知っている。
個人的な買取などの実践を通じて、二次市場から導き出せる事を理解した次第であるが、ラグジュアリーのセールスで、重要な鍵を本書では伝えている。
ラグジュアリーを目指す企業も知っておいて損ではないこの手法を使うことで、企業広報や販売スタッフは、顧客に働きかけて、物品の生み出される場所の精神性や、個々の製品に投入された時間や品質、哲学について、理解し共有してもらうように努めてもらいたい。
その高い価格を説明するのが義務とすれば、それが伝わった顧客によって、高価格で買う行為が、徐々にだが繰り返されるようになる。
そうなると、ラグジュアリーブランドと言うことを顧客が勝手に認識するようになるのである。
参照:ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか