いまや国民的なメジャーアイドルになった「秋葉原」の原石 AKB48
知的財産権を様々なカタチで取り上げる当ブログですが、一言で知財といってもその使われ方は様々である。今回は、人気を博しているアイドルや商品に便乗しようと画策しようとする「便乗商法の典型的事例」を取り上げてみたい。
さらに詳しい内容は【 へんな商標?2 】を参照にしていただきたい。なかなか面白い着眼点で知識を少し違う視点で見ることができ、企業の知財担当者は通勤時間でも楽しく読める事ができます。
ただ私の場合、通勤時間に読んだので、ニヤニヤ笑いが止まらず、周辺の人から変な目で見られた次第である。今回は、国民的なメジャーアイドル、”AKB48″に共演を画策した便乗企業の典型的な失策例である。
日本初の犬のアイドルユニットという後先を考えていない底の浅い企画
現時点でのAKB48の権利内容
【商標】AKB48
【登録日】 平成18年(2006)6月9日
【出願日】 平成17年(2005)12月19日
【先願権発生日】平成17年(2005)12月19日
【指定商品又は指定役務】
芸能人の養成教育,音楽ライブコンサートの企画・運営又は開催,コンサート会場の提供,舞踊の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画・運営又は開催,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,音響用又は映像用のスタジオの提供,写真の撮影,カメラの貸与,興行場の座席の手配,映像の上映,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,電子計算機端末及び通信を介して行う映画の上映及び演芸・演劇の上演又は音楽の演奏に関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,書籍の制作,放送番組の制作における演出,娯楽の提供。レストラン・軽食堂・喫茶店・簡易食堂及びファーストフード店における飲食物の提供,展示施設の貸与。
では 株式会社アニコットが押さえようとした権利について見ていこう。
【商標】AKP48
【権利者】株式会社アニコット
【登録日】拒絶査定の確定により登録ならず
【出願日】2011年1月21日
【指定商品又は指定役務】
録音済み又は録画済み記録媒体,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる映像・画像ファイル
完全な便乗商法であるが、この手の類は流行とともに必ず出てくる。いくら犬が可愛いからといってアイドルとして扱うのはどうかと思うわけだが「日本初の犬のアイドルユニット」という。パクリの上に底の浅い発想で作られた「にわか仕立て感」が半端なく漂ってくる。
大半の「犬好き」は自分の犬がいちばん可愛いと思うものだし、道で歩いていてもすぐに見れる「犬」に対価を払ってみたいと思わせるのも至難の業である。AKP48の由来とは何か?とこれについてアニコットの社長が、スポーツ紙で答えているという。
「あぁ~(A)かわいい(K)パピー(P)です」
深くよく考えた形跡は見られない。本家のAKB48ファンは、舐められた気分になるかもしれない。やはりパクリ同然の便乗なので、パクリモノ共通にいえることだが、本家を超えようとするその創造性と志が皆無であることが多く、アクセスを狙いすぎて策に溺れている事が推測される。
商標法では「他人の商標に類似する商標は、登録を受けられない」とあり、常識で考えれば、登録できるわけないのにも関わらず、登録しようとした形跡がある事から、何も知らずに取れると考えたようである。
基本的に時間の無駄なのだが、この手の底の浅い登録申請は比較的多いと聞くので、手続を担当される人々の苦労が偲ばれます。ちなみに私が好きなAKB48の曲は「恋するフォーチュンクッキー」である。いい歌詞であり覚えやすい曲である。
【MV】恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式]
もし便乗商法をする場合は「本家」を超えるクオリティーと高い志が必要
エンターテインメントとしてパクリやパロディは日常茶飯事である。何かしらの新しい試みは、過去のアイデアや企画によるところが大半を占める。インスパイアされずに、まったく新しい企画やアイデアを出す事は常人では不可能である。
ただ出発点は「真似」であっても、そこから生まれる自らのアイデアや考え方・パフォーマンスは、自分の中でしか表現できない創造性を発揮できる分野であり、この価値を引き上げ最大化する事が現在においては非常に重要となってくる。
単純に企画に乗っかるだけでは、通用しない時代である。便乗という道で行くのであれば、相当な努力と本家を超える実力をつけるぐらいの気概で望まなければ、すぐに飽きられてしまう。
また本家よりもクオリティーが低ければ、その価値はなく、すぐに二番煎じとして見られ廃れてしまう。最初はラクでも後が大変になるのがこの便乗商法である。
本来ある実力や才能がある上に、PRにおいてあまり上手くなく、世間でまだ気づかれていない者が、一時的に流行に便乗するのが本来の戦略だと考えられる。
AKB48は人知れず、彼女たちなりの努力とその実力を日々磨きながら、大人数の中で競争して勝ち抜く厳しい世界で戦っているのであり、ただ単純に愛玩動物を企画で仕立てるのは底が浅いといえるだろう。
仕事柄 様々なアーティストやアイドルの曲や映像を商品チェックで視聴することが多く、CDやらDVDやら非常に多く扱います。
ジャンル的には、学生の時から、洋楽やらクラシックが個人的に好きであり、あまり日本の楽曲は聞くことがなかった。
これは同僚が貸してくれた当時のCDやDVDである。個人的に購入したのは、割と最近の作品が多いが、初期の作品などは、同僚が「アイドルおたく」なので、詳しく教えてくれる。
熱狂的なファンでもないのだが、同僚が押すので、全部視聴したが、なかなか良い楽曲も多く、非常にノリよく楽しむ事ができた。
へんなシリーズは、購入して非常に勉強になりおもしろかった書籍ですが、さらに面白い事例を深堀した”1.2 特集”的な書籍を投入して頂きたいところです。
商標登録を受けることができない商標:商標法4条
10 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの