アップルの知的財産戦略とは
知的財産権を様々なカタチで取り上げる当ブログですが、一言で知財といってもその使われ方は様々である。そこで何週かに渡って奇妙な商標と権利関係を取り上げてみたい。さらに詳しい内容は【 へんな商標? 】を参照にしていただきたい。
なかなか面白い着眼点で知識を少し違う視点で見ることができた。今回は特に有名な件である”例のスマートフォン”を生み出した有名企業の後手の事例である。
現時点での商標の権利内容
【商標】:iPhone
【出願日】:平成18年(2006)9月19日
【氏名又は名称】:アイホン株式会社
【登録番号】:第5147866号
【登録日】:平成20年(08)7月4日
【出願日】:平成18年(06)9月19日
【指定商品】ゲーム機能を有する携帯電話機,携帯電話,携帯電話の部品及び附属品,TV電話,インターネット接続機能・電子メール送受信機能・映像及びデータ情報送受信機能を有する携帯電話機
なるほど。ガッチリと権利をホールドされていますね。アイホン社は、主であるインターホン業界においてトップシェアで製造販売している事から、アップル側に突如提案を受けた事が推測されます。
これではアップルがいくら権利を欲していても、アイホン社から商標権を譲渡してもらわなければ、権利を使う事ができない。どうやらアップル側は、アイホン社が「使用許諾する事」で折り合いをつけたようである。アイホン社さすがである。
日本市場の知的戦略は後手にまわっている感がある
ポイント:内容の整理
- “iPhone”の商標権は、アイホン株式会社という日本企業が保有
- 商標法では、他人の登録商標又は類似する商標は登録できない
- 07年にアイホン社と協議、本商標はアイホン社の名前で商標登録
- アップル社に使用許諾を行う合意
現在の売り上げの半分以上を占めるのは創業事業のパソコン部門ではなく、iPhoneおよびiPadを中心とした携帯端末事業であり、それにiPodを中心とした音楽事業が続く Apple Inc.-Wiki
アイホンという商標は、当時の社名である愛興高声電話器の「愛」とインターホンの「ホン」を組み合わせたもの。アイホン株式会社–Wiki
ドル箱事業と言う事は、現在みなさんがお持ちになっているスマートフォンの隆盛を見れば一目瞭然です。
個人的には、使用許諾料を知りたいところです。結構多額ということにちょっとした期待感があります。というところでこんな記事が
営業外収益内訳に「受取ロイヤリティー」という項目を新設。「その他」に計上されている金額を1億円減額して、その分、受取ロイヤルティーの項目に1億円計上する、という単純な訂正だ。日本国内においては弊社がApple社に使用許諾を、日本以外の地域においては両社の商標が共存することで友好的な合意に至りました。その他の契約内容については、公表できませんのでご了承願います。参照:アイフォーンの商標使用料は年間1億円?
なるほど内容を公表していないようである。概ね友好的に話が進んでいった事を願いたいですね。
金額はさておき、老舗であり長年アイホンという名前を使用してきた企業として、現在のロイヤリティーは「安いのか・高いのか」と言うところが気になります。
権利ひとつ取ってもその過程には様々なドラマがあります。アップルについての日本での知財戦略はあまり芳しくないようであり、また取り上げてみたいと思います。
参照文献
へんなシリーズは、購入して非常に勉強になりおもしろかった書籍ですが、さらに面白い事例を深堀した”1.2 特集”的な書籍を投入して頂きたいところです。
参照商品
iPhoneに関して言うと、最近ではオークションで「 SIMロック解除 」された美品の本体を安く購入するとお得だったりします。
上記写真は、仕事で使用する 一時的な購入品(3台目)です。ただこうした機器は、個人での利用は新品に限ります。
商標登録を受けることができない商標:商標法4条1項11号
第4条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
11.当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、商標登録に係る指定商品若しくは指定役務の規定又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの