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【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し"VS"を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける
Image reference:Victoria's Other Secret: The Low-Key Billionaire Behind The Lingerie Giant

【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し”VS”を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける


コングロマリットの中でも米国流中央集権的なトップダウン方式の事業構造

 

【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し"VS"を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける
Leadership Speaker Series: Les Wexner

米国巨大アパレル企業体、L・ブランズ について考察と書評を行っていきたいと思う。

比較的ラグジュアリーブランドが好きな管理人にとっては、アメリカ系のファッションブランドは、あまり馴染みのないブランドなのだが、ファッションブランドとしては、面白いポジションで企業運営がなれている。

実のところ調べてみてわかったが、LVMHのような買収を繰り返し、コングロマリット に近い様相を呈していた経緯も読めて興味が湧いてきた次第である。

個人的に両社を比較してみて二つのやり方に分かれるが、同じような事業構成で、各高級ブランドの扱い方が以下のように違ったようである。

一方は個々のブランドの特性を活かしながら、経営と収益に責任を持たせる緩やかな統治体制、一方は体制を改革して、グループが一体的にひとつとなり、経営者が直接管理出来る範囲まで事業を絞り込み、リーダーを育成しながら、各ブランドの取締役や各部門ごとの管理職の機能強化を図っていく構造である。

グループを一体的にみて、優秀な管理職を育て、ブランドを直轄的に統治する 「中央集権的なトップダウン方式」 かグループ内のブランド毎に、権限を大幅に委任して、傘下の企業が、経営と収益のみ個々で責任を持ち、「中小企業の連合体」 として、緩く統治するかの違いがあるだろう。

LVMHの各ブランドにおける考察は【LVMH】モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのビジネスの手法とコングロマリットの完成でも考察しているが、統治方法においては【ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る】に詳しい。

L・ブランズは前者的で、LVMHは後者的のモデルに分類されると思う。でなければ、ブランドの再整理や切り売りなどしないで、個々で運営させるはずである。

L・ブランズは、VSの比率が高い事から、セクシー路線ばかり目立つ企業に見えるが、米国的経営方式を追求したSPAを実施する極めて模範的なアパレル企業である。

 

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ヴィクトリアズ・シークレットというコア事業を買収し立て直した事で L・ブランズ は成長した

 

【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し"VS"を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける
Reference:Victoria Secret / L Brands

1977年に創業者ロイ・レイモンドによってサンフランシスコに創業したヴィクトリアズ・シークレットだが、年商は順調に上げていたが、ある時から不調をきたすようになる。

売上を上げていても、利益が出ておらず、倒産寸前のヴィクトリアズ・シークレットを400万ドルで、ザ・リミテッドが買収した事で、VSは成長していくこととなる。

現在その親会社であるザ・リミテッドは、破産寸前であるが、混同しがちであるが、L・ブランズではないので注意する必要がある。

ザ・リミテッドは最初のベースとなる企業であったが、上場した時より、買収を繰り返し、事業運営に行き詰まりが出たのであろう。

サンキャピタルパートナーズにザ・リミテッドの株式は売却され、その後運営されていたが、2017年現在倒産となったわけである。一方、L・ブランズとして成長することになったVSは、北米を中心に多店舗展開していたが、主流はカタログ通信販売であった。

男性客を強く意識した店舗戦略を実施しており、男性が入りやすいアダルト風店舗づくりをしていた事から、現在のスタイルとはまったく違うブランドと考えても良いかもしれない。

リミテッド・ブランズが、ブランドの抜本的な改革を行った内容は以下である。

 

1. 購買層の大胆な変更:男性購入のアダルト風ショップから女性が快適に購入できる環境
2. 売場のサービス力向上:男性向けの実用型店舗から接客サービスが行き届いた女性重視のサービス
3. 商品構成の統廃合:商品価格帯の開きを是正、大量のセール品の一掃、商品コンセプトを一新
4. 米国人顧客の購入への意識改革:実用的な下着を買うから手に届く高級なランジェリーを買うという意識
5. 欧州風テイストながら流行にマッチしたファッション性、高品質縫製と手に取りやすい価格戦略
6. 上記全ての改革を実施できる、魅力的で憧れを抱くロマンチックな空間の提供と質の高いスーパーモデルの採用

 

などを行う事により、VSは大きく成長したわけだが、ザ・リミテッドは、運営過程で多くの企業買収を行っている。90年代までに、9つのブランドを保有し、グループ総計 約5000店舗を運営する大きな組織となったわけである。企業規模が拡大する中で、彼は大きな誤解をしていたという。

自社の成長過程を通じて、複数事業部制の会社に変革できたとこの当時は思っていたようである。実際の姿は、経営統制がとれてないベンチャー企業型になっていたという。彼は、その状態を「ブランドの動物園のなかにいる」と表現した。

このあたりは多くのコングロマリットが経験することである。グループ企業や事業部の経営者のほとんどが、彼と同じく強烈な個性をもった独立型の人材であり、グループ全体で統一した戦略を展開できないと思っていたようである。

彼の期待に反して、実際のグループは、抜本的な変革を必要と考えていたようである。これに関しては、LVMHなどと正反対の捉え方と見てとれるであろう。

 

スリム化した事で比較的好調な事業運営、上場企業ゆえに高い成長を義務づけられる

 

【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し"VS"を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける
Reference:Victoria Secret / L Brands

L・ブランズは、米国発のファッションブランドとして、女性用の服・下着・香水・美容品などを扱っている、世界第4位のアパレル複合企業体である。

上記の買収戦略を繰り返していたが、組織の急激な肥大から、事業を仕分けし、必要でない子会社を売却していくことになる。

現在事業の整理がある程度進み、L・ブランズの傘下企業は、現在 約 5つのブランドに落ち着いている。

 

1. Victoria’s Secret ヴィクトリアズシークレット
2. Pink (Victoria’s Secret) ピンク
3. Bath & Body Works バス&ボディワークス
4. Henri Bendel ヘンリ・ベンデル
5. La Senza ラ・センザ

 

である。その中で最大は、ヴィクトリアズ・シークレットであり、北米を中心として、約 1000 店舗以上を展開、年商 8000 億円以上で同社の収益の約 6 割程度を占めるブランドであって、もはやヴィクトリアズ・シークレットが主力ブランドとしてグループの命運を握っている。

ヴィクトリアズ・シークレットがコケると L・ブランズ の屋台骨は大きく揺らぐ事となる。

コングロマリットにおいてはその事業バランスが重要であるが、L・ブランズ の場合、ヴィクトリアズ・シークレットに依存した収益構造と言えるだろう。

右表の【Investor Handout – September 2016 – FINAL.pdf】 において、業界をリードする販売と生産性、安定したセールスをIRでは謳っている。

27通期の業績において、売上高は年々増加しており、09年以降、売上高55%、営業利益170%を誇っている。

各ブランドにおいても、年々高い売上を着実に上げているという事もあり、ヴィクトリアズシークレットの他にバス&ボディワークスの成長も順調と言いたいのであろう。

グローバル市場においても、L・ブランズ は「成長の源泉」と見ており、国際的な出店速度を上げ、成長を加速させることで、さらに成長基調は続けていくと思われる。

北米のヴィクトリアズ・シークレットだけでも 約 1000店舗以上あり、そういった意味では、日本とは違い、市場規模が自国内でかなりの売上を上げる事ができるのは、大きなアドバンテージである。

現在、グローバル市場でのグループ店舗総数は、約 650 店舗以上であるが、店舗数拡大で、高い成長率を誇っているのは、中東、東南アジア、トラベル・リテール (免税店) での売上である。

また直近の店舗戦略では、近日中に メキシコ・シンガポール・中国 に出店を加速させるという。現在においては、まだ進出していない国もあり、進出国での成否が今後の成長を左右することになる。

 

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ヴィクトリアズ・シークレット : ビジネスを成長させる 3 つの戦略

 

【Victoria Secret / L Brands】L・ブランズ は買収や売却を繰り返し"VS"を軸に米国的コングロマリットを維持し続ける

今回は、ヴィクトリアズ・シークレットの3つの戦略を考察をまとめている。現在では多くのアパレル企業で同じような戦略を取られているが、ショービジネスのようにスーパーモデルを使い、店頭や通販で「ファッション・ビジネス」を展開する際に、大きく3つの戦略を駆使して事業運営を行っている。

L・ブランズの中で「広告戦略」「ソーシャルメディア戦略」「価格戦略」の大部分の経営戦略を駆使しているのが、ヴィ クトリアズ・シークレットである。代表的米国のアパレル企業であり、積極的なプロモーションを行っている。

現在の3つの戦略について簡単にまとめておきたいが、ヴィクトリアズ・シークレットについての分析を行った書籍は少なく、今回参考資料として「『ヴィクトリアズ・シークレット』が全米の女性に愛されるワケ」を資料として参照している。興味がある方は、一読願いたい。

 

VS:ショーを中心としファッションビジネスを拡大した広告戦略

 

ショーを開催して、約22年近くが経過しているが、当初のヴィクトリアズ・シークレットのファッションショーは、業界向けの質素な展示会的なショーであったが、次第に豪華になり、今日では「1時間独占テレビCM」まで打つほど、ヴィクトリアズ・シークレットの売上アップに貢献している。当初は、普通の展開会であったことで、コンセプトを徐々に変化させ、エンターテイメント色を増してきている事から、ショーブランド化していった経緯がありそうである。ショービジネスを成功させた上で、その後ファッションビジネスで収益を立てる戦略。【Read all

 

VS:モデルという強力なコンテンツを武器にSNS戦略でさらに拡大を狙う

 

SNSでショーにおける裏側や告知、コンテンツを使った各SNSでの利用、店頭やオンライン販売と連動した動画やCM等がアップ、リッチメディアが整備される事で情報ハブ化している。ネットの画像/動画と親和性の高いモデルやカラフルな下着を活用し、SNSを通じ、割引・特典・キャンペーンやイベント等様々な企画を展開し顧客を囲い込む。

代表的米国のIT・ソーシャルメディア企業のプラットフォームを最大限使い切り、きめ細かく注力しながら、プロモーションを行っている。【Read all

 

VS:カワイイというその価値を巧みに価格に反映させる戦略で上手く購入へ誘う

 

女性の下着、ランジェリー、化粧品などを扱うヴィクトリアズ・シークレットが、商品の色やイメージカラーとしてピンクを利用するのは、理に適った戦略と言う事は理解できたと思う。では価格戦略においてはどうかと言う事である。私たち一般消費者は、自分たちの基準による「値頃感」を強く意識している。内的参照価格は、自己の記憶や経験を元に頭や心のなかで考える価格の事である。例えばある企業が、特売を頻繁に行い、消費者がそれに慣れてしまうと内的参照価格は大きく下げてしまう。次にそれよりも安い価格にしないと消費者は安いと感じなくなる。【Read all

 

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About 磯守 航史郎

食べる事と温泉・マッサージが好きな勤め人。過去には大小様々な職業につき、現在は不安定の中の安定を楽しんでいる昔から「変わり者」と言われた中年。 好きな分野は、ブランド戦略/建築・不動産/知的財産権/EC・オークション/金融・投資/カメラ/時計/モデルやアイドルなど、ジャンルは幅広いが、趣味や元家業・知人との関係で関わった事件が中心であり、現在は利害関係もなく、気軽にブログを書いている。テーマは知的財産権とブランドとの関係・市場での価格の関係、偽ブランドの撲滅など、高尚なテーマをより面白くしたいと努めている。

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