企業の自助努力では困難なのが外部環境である為替
企業の自助努力ではいかんともし難いのが外部環境である。中でも為替変動は、場合によって大きな増減益要因となるので、企業の特性を知っておく必要がある。株価や金利は、企業の自助努力では十分に対応する事が難しい。
また収益に大きな影響をもたらす。為替レートの動向もこうした経営環境のひとつになる。収益への影響においては、主に二つの場合に大別され、為替の大小は【輸出】及び【海外】の比率で類推可能である。
詳しい内容は【株式投資に役立つ『会社四季報』の使い方】を参照して頂きたい。
- 直接決算書に出る場合
- 売れ行き等の営業面に出る場合
の主に二つである。❶の場合は、企業の決算は円で表示されなければならない。外貨建て取引も最終的には円に換算される。
条件に応じて換算方法に違いがあり、会計上の処理は若干複雑であるが、私たちは、取引成立時の為替レートと決済時のレートに違いをみて為替差損益が発生するかどうか考えれば良いだろう。
1億ドルの取引をした場合、取引と決済があり、五円の円高が進めば、売上高は円換算で5億円の目減りとなり、逆に5円円安へ振れれば、かさ上げされる。
為替差損益がいかに推移するか、収益予想の前提となる為替レートを知る事でおおまかに予想が可能になるだろう。
会社四季報では、為替変動の影響が大きい企業について、業績予想の前提となる為替レートを記事中になるべく明記するようにしている。
随時、巻末特集というのがあり、為替変動による収益影響度が掲載されている場合もあり、主要企業自身の想定レートもチェックすれば良い判断ができるようになるだろう。
❷の営業面での影響は、難しくはない。円高か円安か有利か不利かに尽き、一般的に輸出型企業は円高になると外貨建て製品価格が上昇する為に不利になり、円安は有利である。
また、外国人観光客が多くなるのも円安効果によるところもあり、インバウンドの消費も活性化しているのも、この円安効果が大きい。また海外に製品を輸出する場合も有利である。
爆買いなる中国人が主にであるが、政府の誘導で国内消費の一翼を担うように仕掛けるカタチで、中国人がハマっているのは、皆周知のとおりである。
大半の輸出型企業を多数抱える日本では、これらの企業の業績が向上すれば、日経平均自体も上昇するので、さらに良いスパイラルをうむ事ができる。現在の株高も円を安く誘導している事が大きい。
原材料輸入型企業は、原料市況の動向も関係してくるので、必ずしも絶対ではないが、一般的には円高になるとコストが減り、有利に働くが、多くの恩恵を受けるのは、若干の円安傾向が良いだろう。
これまではドルが主たる対象であり、現在でも変わりはないが、中国の元、欧州のユーロの動向も企業の形態に合わせてチェックしておく方が良いだろう。
参照文献:【株式投資に役立つ『会社四季報』の使い方】