JIM BEAM ジム・ビーム グラント・ロコモティブ デキャンタ
米国・ケンタッキー州に移住したジェイコブ・ビームは出身国ドイツで得た蒸留のノウハウと、この土地特有の石灰岩層にろ過された上質な水を使用して1795年に初のウイスキー樽(バーボン)を発売した。ここから200年以上も継続するジムビームの輝かしい歴史がスタートする。後もジムビームは、ビーム一族に代々受け継がれる門外不出の酵母と香味を高める製法、厳選されたオーク材を用いて手作業によって丁寧に組み立てられた樽、そして熟成によって、味わい深いバーボンを輩出し続けてきた。創業当初からの手法を基本的に変えず、手間暇掛けてバーボンを製造し、愛好家を唸らせ続けている。参照:男の100年ブランド
今回は、ジムビーム による洋酒を簡単にではあるが取り上げておきたい。ジム・ビーム グラント・ロコモティブ デキャンタ モデルである。
前回のデューセンバーグモデル は、親族の知人が、アメリカ旅行中に購入し、持ち帰ってきた洋酒をプレゼントとして頂いたものだったが、その後すっかりファンとなってしまった。
とくに同ブランドからリリースされた鉄道モデルを特に気に入り、収集し出したのだが、その後、長い年月棚に飾られ、ディスプレイ化されていたものである。
少し前の日本では、洋酒の税金が高く、旅行中に洋酒をお土産とした時代があった。私も社会人となった若い時に、初めて海外旅行に行った際、上司や先輩などがこぞって洋酒を購入していたのを最後に記憶している程度である。
ジムビームは、米国の豊かな土地で生み出され、世界で最も売れているバーボンである同社は、14年、ビーム社全株をサントリーホールディングス に、総額160億ドルで買収され、14年5月に社名を「ビームサントリー 」となった。
現在は、私たち日本の企業であるが、サントリーが米国市場で足場を固める為の戦略的な買収で、どこまで米国での市場でのシェアを取るか今後に期待したい。
旧 ジムビームは、セントラル・レールロード・オブ・ニュージャージーと思われる汽車をモチーフにして、酒販する戦略が面白く、古き良き「米国を象徴する鉄道機関」をコレクター向けアイテムとしてシリーズ化を図り、酒販単価を引き上げる巧みな戦略を展開していた。
出品数は比較的多いが稀少で未開栓状態が良いものが飛ぶように売れる

さっそく「オークファン」で約 10 年間の相場をみていこう。未開栓箱付きで完品の非常に珍しいモデルなので、国内外をみても、ほとんど売られていない。
現在のところ 約 21,000 円前後が最高落札額となっているようだ。比較的数は多く出ており、そのたびに価格は若干下落傾向に陥ってきている。
ファン層に一巡して、高騰が少なくなり、現在では平均価格帯に落ち着いてきているが、本国のイーベイ(eBay)値段よりは若干高いようである。
模型のクオリティは比較的高く、欲しいと思わせる為の製品戦略も秀逸である
4-4-0という車軸配置は、これ以前にジョン・ジャービスが開発した4-2-0機関車の動輪を増やした形式である。4-2-0は2軸の先台車がカーブ通過を安定させ、上り坂では重心が後ろ下がりになって動輪の軸重が増し一時的にスリップに強くなるというメリットがあり、これの動輪を増やすことで牽引力が増強され、1840~1880年代の米国の鉄道のあらゆる要求にマッチしたことで19世紀の米国では貨客両用(入れ替え作業含む)の一番ポピュラーな形式となっていた。参照:車輪配置 4-4-0
製品について見ていくと、上記の車体が該当すると思われる。当時、多くの鉄道会社が作られ、ベンチャー企業が切磋琢磨する時代であった。模型に関して言うと、クオリティは高い。
また、グリーンの乗客車・レッドのダイニングカー・ブラックの石炭車・グリーンの荷物車・灰色のカバー付き木材車及び線路などコレクション性の高いフルライン戦略を展開しており、欲しいと思わせる為の製品戦略も秀逸である。
基本的に、陶器とプラスチック素材を上手く組み合わせている。ボディは陶器、金属面や木面、その他の内装素材はプラスチックと一部メッキ処理した素材である。
外装のプラスチック素材のチープさは若干あるが、オールド・トレインのテイストとマッチしていて丁度良い。
基本的に、約 37 年以上前の内容なので、中身については、かなり少なくなっているかもしれない。
栓がされているので、確認のしようがないが、程よく液体が揺れる感覚があり、熟成された味わい深いバーボンとなっているのであろう。
カテゴリーからみた二次市場の成長と米国鉄道の黄金期から見えてくること
買取査定結果をからみて、比較的満足度の高い買取結果となった。最近では中古酒買取店も増え、競合も多く、値交渉もほとんど必要なく、希望通りの査定結果となることが多い。
買取査定額 約 13,000 円。通販で売るのではなく、店頭で売り、もう探しているお客さんがいるという。
古酒の場合、瓶が汚い、専用箱の保管状態が悪い、減りが多いなど、売却する前に清掃やリペアし、どの程度量が残っているのか確認する事を忘れてはならない。
同モデルを海外の市場に出しても、買取額よりも高く販売するのはもう難しいであろう。仮に売れても、海外配送の難しさはなかなかのものであるが、日本ほど配送のクオリティが高い国はないからである。
客がいるとのことなので、この手のコレクション商品の価値が分かる人であってほしい。業者さんから聞く話によると、大切に飾り、その後じっくりと愛飲する人との事なので、次の人にうまく渡りそうなので、個人的にも満足な取引であった。
また、国内市場での中古バーボンの底堅い人気は、下記のオークション・カテゴリーデータをみて頂ければ分かる。

上記は 「オークデータ 」 バーボンのカテゴリーで、過去約 5 年間の総落札額及び平均落札額である。総落札額は、約 5 年ほど前で、約 500 万円程度しかなかった市場が、約 2,000万円の迫る勢いで、約 4.0 倍ほどの伸びを示している。
新品の酒販市場が萎んでいくなかで、中古市場は右肩上がりの成長である。また、平均落札額は、当初 約 5,000 円付近を上下していたが、年々上昇しており、これも右肩上がりである。
現在では、約 2.5倍の 約 12,500円あたりまで成長してきている。盛り上がりを見せる中古市場の波が消えないうちに、業者に買取を依頼。売却が完了した次第である。
同モデルは、ジムビームが、傘下におさめたノベルティ専門企業 「リーガルチャイナカンパニー 」に作らせたものだが、鉄道工事には多くの東洋人の移民が使われた歴史がある。
同モデルは、当時の米国を象徴する、古き良きベンチャーの群雄たちが作り上げた鉄道会社の黄金期を支え象徴した機関車である。
米国の鉄道において、企業再編と前人未到の挑戦をする成長期をブランドイメージに重ね合わせることを意図して作られた製品戦略が見て取れる。
今回も、古酒市場が終わる前に買取を完了したが、古き良き米国の鉄道の歴史を買取を通じて学べ、大変貴重な経験となったのである。