MAUBOUSSIN モーブッサン:コングロマリット にも属さない「老舗五大宝飾店」

パリ・ヴァンドーム広場で、ひときわモダンで明るい外観が目を引くのが20番地のモーブッサン。フランスではグラン・サンクと呼ばれる五大宝飾店の一つして有名だが、伝統を挑戦するかのような斬新な店づくりに、老舗メゾンの新しい戦略が垣間見える。五大宝飾店とは、創業年順にメルリオ・ディ・メレー (1613年)、ショーメ (1780年)、モーブッサン (1827年)、ブシュロン (1858年)、ヴァン・クリーフ&アーペル (1906年) の五つ。参照:フランスのブランド美学
いくつかの危機を乗り越え ブランド戦略は上手ではないが 中古市場は安定している
モーブッサンの卓越したブランド戦略においては、その著名な顧客リストによるところが大きいであろう。
1930年代には、マハラジャやハリウッドスターなどが何人も顧客となった。さらに、1970年代からは、世界中を飛び回り市場を開拓し、ブルネイのスルタン一族を大顧客にするところで、ブランドとして最盛期であった。
ところが、メゾンの売上を一族に依存し過ぎていたモーブッサンは、当主パトリオットが、個人的に親しかった皇太子の失脚で、一日で 50 %以上売上を失い、メゾン経営を危機に陥れる。

そのような顧客の過度な依存を避けるため、一族経営を改めて、私たち一般顧客を対象にしてアジア市場を開拓していったが、有名な 「モーブッサン無料ダイヤ 」 の件で日本でも過度なマーケティング戦略で、足元をすくわれてしまう。
戦略がアダとなったが、ブランドへの信頼や品質については、特に問題はないのである。ここ約10年ほどの相場をオークファン で調べていこう。
ブランド戦略については、他のコングロマリットよりは上手ではないのだが、質の高い宝飾を比較的リーズナブルに購入できるのが、ブランド最大の魅力なのは変わりようがない。

また、オークデータ で調査してくと、モーブッサンのリング全体的平均落札価格を上記の図で示しておいた。
平均 約 64,000円がリングの最低予算として考えておいた方が良いだろう。もうひとつの平均価格帯である 約 47,000円の価格帯は、モーブッサン「カテゴリー全体の平均落札額」である。
今回はリングについての予算帯を考えると、約 64,000円よりは上で、約 150,000円までのレンジを狙うと、比較的良い買い物をすることが出来る。取引額の高額と低額落札相場を丁寧に調べていくと、価格帯のレンジを見つけ出す事ができる。
中古市場においては、似た価格帯を形成するブランドを探す場合、その中から優先順位をつけるとすれば、ラグジュアリーブランドであり、世界的に名が通っているが、相場は安定してリーズナブルなブランドを照準に入れる方が賢明である。
そこら辺の宝石屋さんで、ブランドのないモデルを購入するよりも、比較的上手な買い物をすることが可能となるのである。
世界的に名が通ったラグジュアリーブランドの中古市場を狙うほうが経済的
2002年、モーブッサン家の最後のひとりになる決意をしたパトリックは、スイスの投資家ドミニク・フレモンに事業を売却。経営にはファッション界出身のアラン・ネマルクがあたり、メゾンは新しい歩みを始める。伝統である時代の風を読み取り、高級宝飾をもっと一般に身近なものとしようとした。戦略はズバリ的中、フランスで好成績を上げたのを受け、2005年からは主にアジアを中心に本格的に世界進出、2006年には東京・銀座に初の店舗をオープンする。日本では、婚約や結婚で初めて高級宝飾に接する女性が多かったのだが、最近はフランスのように、自立した女性が自分のために買うようになり、モーブッサンでは三角や星形などの宝飾が人気である。
参照:フランスのブランド美学

婚約指輪や結婚指輪という分けるという概念自体古いと思うが、指輪は必要であるとは思っている。素材における高騰ぶりもあるが、貴金属においてはあまり大きな価値を見出さない方が良いと考えている。
なぜなら、専門店などで私たちが購入する貴金属の多くは、販売業者が付けた言い値であるからだ。つまり原価からいくらというのではなく、私たちの店舗であれば、このくらいの価格を取っても良いだろうという 「経営上のざっくりとした共通認識」 でつけている事が多いのである。
それこそバブル時代に貴金属を購入した多くの顧客は、想像以上の高い値段で買わされているのである。つまり宝飾などの価格は「あってないもの」なのである。多くの購入者は、高く乗せられているのに、売却するまで気づかないのである。
その際、私たち顧客が愕然とするのは、自分の宝飾の現状の価値がいくらかになるかであるが、それこそ 「言い値」 でそのまま購入している人は、業者に 「吹っ掛けられている」 と考えた方が良いだろう。
近年の業者はあまり吹っかけてはこないようだが、ある程度の金額の張る貴金属であれば、平気で 「吹っかけられる」 という事が多いと言う。
多くの宝石の販売価格は、約 16 倍の価格が原価からのせられている。
つまり、私たちが宝飾を売却する場合、1/16の価格からスタートし、素材の重さや石の大きさやデザインなどを加味して「大体の買取価格」が付けられていく。そう、私たちは多くのお金を取られているのである。
そのような価格が大きく乗せられている業界で購入を考える場合、中古品の購入をオススメするのはそこにあるのである。
その場合、目利きができない人は、中古品でもノーブランド品もしくは名が通っていないブランドの購入は控えた方が良い。
個人的にオススメなのは、世界的に名が通り、尚且つ技術力や芸術センスがあるのはもちろんのこと、中古市場でもリーズナブルに買えるラグジュアリーブランドの購入をオススメしたい。
その場合、あまりにも名が通り流通テクニックで価格帯が押し上げられているラグジュアリーブランドの購入はあまり得策ではない。
その微妙な条件に合致するラグジュアリーを選んだ場合、モーブッサンは、比較的良いポジションのブランドのひとつである。
婚約・結婚など分けて考えることはなく、リーズナブルに一回で済ませれば良く、タンスの肥やしになるよりは、一石二鳥で非常に経済的にラグジュアリーブランドを購入することができるのである。