【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

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ラグジュアリーブランドは現実と仮想の稀少性どちらを取るのか

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

あなたにとって稀少性 とはいかなるものだろうか?あなたの欲となる原動力を深く考えることで、どの分野でもひとつやふたつ「どんなに大金を積んでもどうしても欲しい」と思う商品やサービスが一度は出てくる。

ラグジュアリーブランドにとって、それは「アイデンティティー の中核」なのだが、ラグジュアリーを手にする事のできる人間とは、限られた富裕層のみの特権として、古今東西様々なブランドは、その稀少性を武器に、事業を初期から成長してきたことは共通している。

富を築き、限られた富裕層の最も贅沢なブランドの使い方と言えば「自分の為だけある世界にひとつだけの作品を手に入れる」という事になるだろう。

ラグジュアリーブランドの経営戦略として、この贅の限りを尽くした趣向があるおかげで、ブランドの家名維持とそのクオリティの維持を長らく保ってきた。

ラグジュアリーブランドは、その為に長い時間を掛けて、原材料、職人、ノウハウ・技術などを向上させ、贅を尽くし、他社と比べられないぐらい高額に価格を引き上げる事で「現実に存在するが、多くの人々には手が届かない稀少性の維持」に努めてきたのである。

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ではその稀少性ついて、現実に即した稀少性であるのかと言われると、大半のラグジュアリー・ブランドにおいては、半分当たりで半分違ってきている。

今回取り上げる本書では、ラグジュアリー市場とは、稀少性の放棄から生まれているという。

現在のラグジュアリーブランドの多くの成功は、グローバルに市場に活路を求める事によって成功したわけである。例えば、代表的な LVMH については【 LVMHのビジネスの手法とコングロマリットの完成 】において取り上げてみた。

また、LVMHKERINGRichemontSwatch Groupなど、主に欧州ブランド企業体にとっては、長く現実の稀少性を固く維持していたラグジュアリーブランドの大半は、当時は資本主義市場化で、没落 してあった事実がある。

稀少性は一方で武器となるが、それに代わる代用商品やサービスによって、簡単にその価値を失ってしまうのである。

今回参照としたのは、【ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか】とした。

あなたがブランド企業にお勤めしているか、個人でブランドを立ち上げているか、またはブランド価値を引き上げる際に、共通となる戦略を網羅した良書である。

なぜ、ラグジュアリーブランドがあれほど高額なのか理解ができるようになる。ご興味のある方は一度熟読してもらいたい。

 

ラグジュアリーブランドが戦略を実施している二つの例

 

本書で取り上げているラグジュアリーブランドが戦略を実施している二つの事例は、読者の私たちでも分かりやすい事例である。

稀少性の扱い方には、量による販売を通じた顧客へのアプローチに示されている。

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

  1.  フェラーリブランドに見られる生産のバランス
  2.  ヴィトンに代表される度を越さない稀少性

 

フェラーリ においては、グローバル市場を見据え、世界的に成功しているブランドのひとつであるが、主に新興国における新しい富裕層の対応で、この戦略を上手く機能している。

つまり、客観的 (生産規制) と 主観的 (本来のラグジュアリーの知識) の両輪で、稀少性を保持しながら、クルマの生産量を二倍とした。

新興国の富裕層の数が増えることで、生産規制を緩和して若干増やすことで、ブランドの稀少性と利益のバランスを上手く調整している。

あらゆる自動車メーカーが、稀少性に挑戦してきているが、出来ているのは一部のブランドと各ブランドの少数モデルであり、現実的には困難だが、各社ブランドがどう対応していくのか非常に興味深い。

私たちアジア圏に住むラグジュアリー戦略の特異な例は 「 即席の階級 」 には、ラグジュアリーブランドと見れば、ほぼ無条件に、高いお金を払うつもりがある事が、欧州とは違った価値観である。

特に、私たちの住む国である日本では、ラグジュアリーブランドが、高い価格で大量に販売する戦略で最初に成功した国である。

欧州や欧米のラグジュアリーブランドが、ショッピングモール・デパート・免税品店に殺到し、店舗を構えているのは、初期の成功に基づくものであり 「 舶来品礼讃 」 は未だに続いている。

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

最近の日本市場の場合、長く不景気が続いた影響と持ち前の日本企業の優秀・勤勉さで、品質は大きく向上し、それに対する「肥えた目」がラグジュアリー以外の一般的な企業にまで浸透し、世界一厳しい消費者としての経緯が前提にある。

現在でも売れ続けるのは、高品質・最高級で名前が通ったブランドのみに限られる。

また個人的に、二次市場を多く取り上げている当ブログで発信している「買取の事例」において二次市場で証明されている次第である。

私たち日本の例で言えば、欧州や欧米における国際的な生活様式を学び、階級を与えられる「標」であるラグジュアリーブランドの世界にどっぷり漬かっている物品を買ってしまう。

また、特徴的なのが、ブランドと聞けば、皆が同じルイ・ヴィトンのバッグを提げている事実をあまり気にしていない。

別にルイ・ヴィトンでなくても良いが、定番及び流行のラグジュアリーブランドが他人と被っていても、大半が気にしていないのは事実である。

日本のように、比較的統合された大きなローカル社会では、あまりに度を越した稀少性 ( 超高額であったり、流通していなかったり、対象国では無名であったり ) は、ブランド価値を損なってしまうという。

まさにそのとおりであり、要はブランドの深い見識がなく、すぐに飛びつく人々の大半は 「 ミーハー 」 なのである。

代々階級が高く、貴族のような層が少ない日本及びアジア圏では「少し無理をすれば、手に入るかもしれないラグジュアリー」が一番売れてしまうのである。

ヴィトンしかりロレックスしかりである。

 

ラグジュアリーブランド希少性の 5 つのタイプ

 

では、稀少性の5つの類型について、本書では以下のように取り上げられている。

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

  1. 原材料・限られた量しかない要素・稀少な名人技
  2. 技術的稀少性・革新・新製品とその特長
  3. 限定版・特別注文・顧客関係性
  4. 流通チャネルに基礎を置いた稀少性
  5. 情報基礎に置いた稀少性・マーケティング・ブランド・秘密

 

1.に関しては、皆さんも馴染みがある料理店の話で例えると、高級な原材料や限定された食材をオーナー自ら直接目利きし、新鮮な食材を朝一仕入れると聞けば、あなたも稀少性のある料理が振舞われると思う事であろう。

高級ブランドでも、素材や生地など特に吟味を重ね、厳選された素材などをバイヤーを通じて仕入れられる。その珍しい原材料だけで、高額を支払うかと言えば、それだけでは十分ではないが、条件としては必須となる。

2.に関しては、技術上の稀少性であるが、完璧を求める究極の需要を通して、稀少性があるという印象を創りだす。

高級時計ブランドの例で例えると、高い専門性を発揮できる専用工場、優れた金属合金、セラミック、カーボン、シリコンなど特殊な素材を優れた技術力を以て、いかに普通の商品ではないかを強調する事が多い。

また、時計に搭載される新技術、新コンセプトなどで、ブランドの技術的神話を創り上げていく。

これについても、高い技術力を持ち、誰もが使えない素材を厳選して商品を作り上げることで、高く売れていくかと言えば、それもまた違うが、この条件についても必須といえる。

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

3.に関しては、生産自体の稀少性であるが、需要の自己制限おける限定戦略の理論である。比較的分かりやすいブランドで言えば、さきほど取り上げたフェラーリであろう。

フェラーリは、先行予約情報を一部の限られた人間のみに流し、フェラーリブランドはその製造を限定する。

モデル登場前に、順番待ちリストで、欲望を膨らませる事で稀少性は生まれる。これは、高い需要があるサービスや製品には通用しやすく、ブランド力は、比較的普通でも、欲しい人間より提供するモノ自体が少なければ可能な手法である。

4.に関しては、流通チャネルの稀少性は、稀少性があるという印象を創造する。例えば、ラコステは日本においては、ライセンシー により販売を任せており、近所の店や普通の店でも売られている。

ところが中国では、高級デパートと自社ブランドのブティックだけに置かれている。この場合、ブランドの認識としては、ラグジュアリーブランドとしての認識であり、国によってまったく見方が変わる。

まさに、ブランドとは流通過程で、どう出されているかが重要であり、その出し方で稀少性が変化し、ブランドの価値観は一変することがある。

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】意図的にかつ仮想的にブランド神話をつくる稀少性を維持し成長を加速させる 5 つのタイプ

 

このタイプは「どう扱うか」によるところがあり、ネットの普及により流通だけではコントロールは難しいが、初期の段階において、ブランドの価値観を植え付けるには重要なタイプである。また次の情報における基礎と連動して真価を発揮してくる。

5.に関しては、比較的多くの企業で導入しているお馴染みの手法である。情報の稀少性、つまり物品やサービスの稀少性ではなく、あれを使い、着ている著名人とか、こういったホテルやレストランによく通っているなどセレブリティなどの著名人を使った手法である。

稀少性をテクニカルに引き上げる投資手法であり、また、雑誌でばら撒かれる独占情報・CMや広告、最近では、SNSでのインフルエンサー・マーケティング もこの類である。

現在のラグジュアリーブランドを筆頭に、ラグジュアリーになりたい予備軍の企業によって、稀少性も皆無で、いかにして稀少性を打ち出し広めるか、様々な企業で行われている。

つまり稀少性については、マネジメント可能で、一般的な企業でも模擬的にシュミレートでき、このタイプを使いこなす事で、ある程度ブランド力がある企業だと思わせてしまうことができてしまう。

 

ラグジュアリー・ブランドはあらゆる局面で稀少性を上手く使っている

 

【Luxury strategy ラグジュアリー戦略】

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5つのタイプは、ラグジュアリーブランドにとってはなくてはならないノウハウである。1~5を上手く使いこなし、巧みにブランド力維持に日々努めている。

私たちは日々、自分にとって稀少性のあるサービスや商品を欲する場合、その稀少性を感じるほど、大金と時間を投じて手に入れたいと思い、手の届かない憧れの存在として、対象ブランドを見ることを現在でも脈々と続けている。

現在の稀少性は、自然になるということは難しく、仮想的かつ意図的に作られたブランドの神話をより自然に顧客にアプローチする戦略が、多くのラグジュアリーブランドで取り入れられている。

ラグジュアリーブランドの二次市場を日々見ているが、二次市場でも、需要と供給のバランス と 人気などの稀少性の戦略に基づいて、市場取引価格が更新される。

一次市場で稀少性がコントロールされ、二次においても一次よりも高い稀少性が生まれ、ディスカウントされた稀少性も相まって、より需要が引き上がる。

現在まで、ラグジュアリーブランドが、自ら築き上げてきた稀少性を放棄し、過去の遺産であるブランド力がそれを相殺し、マス・マーケティング でグローバル市場に打って出る事で、さらなる成長が生まれた。

ただそのやり方では、参入国がなくなり、すべて国で飽和状態に達した時「本当の意味での稀少性のあるブランド」を打ち出し、高い価値を持ち長期的に成長を維持できるかどうか疑問である。

この状況を続けていく限り、多くのラグジュアリーブランドについては、これからさらなる困難が予想される。

参照ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか



About PG編集:道長

食べる事と寝る事に一生懸命な旅人。 世界は感染症や戦争で混沌としておりますが、平和になったら平和な国を旅をしたいと準備しております。 先代の管理者様より、サイト管理・記事制作を委任しております。 ※現在は写真提供をして頂いております。

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