基本データ : ルイ・ヴィトン ロックイットMM 2way バッグ パイソン×レザー
- 開閉形式 :ファスナー開閉式
- 内側 :ファスナーポケット×1,オープンポケット×2
- 素材 :ヴォーカシミールレザー×パイソン
- 底面 :底鋲×4
- 付属品 :パイソンクロシェット,パドロック,鍵×2,ストラップ×1
- サイズ :約 W 31.0 x H 29.0 x D 13.5 cm
- 参考定価 (当時) :約 500,000~510,000円 前後
店頭で美しく見えた高額モデルを衝動買い LV のセールス・センスが際立つ
今回の事例は、正規店でつい衝動買いしてしまった後に相談が寄せられた案件である。その場の雰囲気は独特で、つい触手が伸びバッグを買ってしまった知人女性との話である。
彼女は、私がよく行くショップの元店員の娘で、なぜかウマが合ったことから、たまに外でメシなど行く仲なのだが、そんな彼女から、衝動買いしたヴィトンの特殊モデルの相談をされた。
彼女は、当ブログの熱心なユーザーでもあり、買取のため業者に何度か出したのだが、良い査定額ではなかったとの事で、上手く売却できないかという事である。
今回のモデルは、比較的特殊モデルということで、知名度の面から自分でオークションで出品しても、同モデルの相場が分からないので、どのくらいの価格を付けて良いか分からず、高めに価格を付けても売れなかったようである。
また、オークション代行会社に出そうと思っても、そこそこ高額なモデルなので、アルバイト程度が出品し、大したセールスページも作れない上、その割に手数料も高く、代行会社に長期間預けるのも嫌という事で、売却するにも苦労しているという事である。
個人的に言うと、同モデルについては、非常にセンスの良いバッグだと思うし、ずっと使い続ければ良いと思う。また、稀少性も高く、私が女性なら春夏まで使う倒すだろう。
要はそのぐらい、良く出来たモデルであり、さすがルイヴィトンと思っている。ただ、彼女にしてみれば、後悔の方が大きいようである。
手詰まり感のある高額モデルをいかに処分するか、ショーウインドーで見て一目惚れし、衝動買いをしてしまい、計画的な購入ではない上、後で後悔する女性の気持ちはよくわかる。
そこで今回は、同モデルの紹介と、二次市場の相場、買取査定並びに売却まで、簡単にではあるが記しておきたい。
では、さっそく「オークファン」を使って落札相場データを収集し、過去落札されたモデルの新品に近いモデルの落札相場を見ていこう。
個人間では出品されることの少ない稀少モデル、取引数は少ないが比較的安定した相場
落札上位価格を調べていくと、約 290,000円前後を最大となり、それから徐々にだが取引額が下落している。価格を調べていく過程で、大事なポイントは、モデル全体の平均取引価格を知ることが重要である。
ルイ・ヴィトン ロックイットモデルに関して言うと、未使用品や比較的状態の良いモデルなどが多く、そのことから使い勝手の問題があるかもしれない。
その場合、買取査定においては難しい相場となりやすく、業者から個人への販売では苦戦が予想される。つまり、査定については若干低めとなるのである。
ただ、状態が似た落札価格を見ると、横比較しやすいモデルと言うことが分かる。約 10 年間の平均価格帯は、約 230,000円前後なので、最高価格から類推すると、約 190,000~210,000 円前後が、上限の買取査定額になってくることが、大よそ分かってくるのである。
リセールバリューに関して言うと、約 45 %前後とまずまずの結果が得られそうなことが、データを見ると明らかになってくる。このリセールバリューは、ヴィトンの他の状態の良いモデル平均とも一致してくる。
ルイ・ヴィトン ロックイットMM 2way バッグ
次に同モデルのデザインや機能面の簡単な説明をしておきたい。ルイ・ヴィトン ロックイットモデルの大きな特徴は、上質なヴォーガシミールを使用し、優雅な曲線と丸みを帯びたフォルムにある。
1958年の誕生以来、ロックイットは モノグラムやエピなど、幾度となく再構築され、定番のモデルとして進化を遂げてきた。
今回のモデルは、ハリウッド・セレブが愛用していることもあり、シャーリーズ・セロン、ジェシカ・アルバ、キャリー・マリガンなどが主な愛用者である。
最近では、サイトから注文が可能であり、個人的にも新作で欲しいブランド品を購入する際には、ウェブ上で予約し、そのまま購入したり、店舗に見に行ったりする。
同モデルの外装で、特徴的なカットされたレザーを組み合わせて、一つのパーツに仕上げる繊細な技術は非常に高度である。
パッと見て、1枚もののレザーバッグに見えるが、実は2枚のレザーを使用しており、強度を上げる構造と立体感のあるデザインが上手く調和している。ほかのモデル同様、タイムレスとモダンの魅力に溢れるデザインである。
エッジ部分の染色は、防水のワックス処理を施したような質感の獲得に成功している。実際、少々の雨に濡れても平気であろう。
バッグの出来は、染色の高い技術が必要となるが、とくにエッジの部分の染色技術の高さで、バッグの質が変わってくると言っても良いのだが、隅々にまで、染色が施され、熟練した職人の技術が理解できる。
ハンドル部分に関しては、より精密な技術を要するパイソンレザーを使用しており、より高級感が増している。個人的に言うと、これは過剰装備であり、耐久性の問題から、あまり使用には適さないが、見た目のアクセントとしての組み合わせは抜群。
仕上げの縫製は、厚みの異なるレザーを何枚も縫い合わせるため、熟練した職人の手作り。しなやかさと強さを融合させ、上品な曲線を出すために、革職人の忍耐と技術で一針一針精密に縫いこまれている。本物をみると精密な技術が伝わってくる。
ロックイットデザインの最大の見せ場であり、都会的な美しさと優雅なスタイルを特徴づける洗練されたディテールである。
新作のロックイットは、腕から下げれることはもちろん、長さ調整可能なストラップでショルダーとしても利用できる。ハンドバッグにもショルダーにもなる機能美を持っている。
ファスナー開閉面は、出し入れがしやすい長めのファスナーが装備されており、内装素材は、ベルベットカーフが装備されている。いつも手に触れる部分では、最上の素材であろう。
内ポケットはゆったりとしており収納力が高く、側面には何でも収納できるファスナーポケットとスマートフォン用のダブルポケットも装備しており、機能面の満足度は高い。大切な持ち物を守るパドロックは、ヴィトン定番の仕様である。
全体的な製造工程には、250以上の工程と長きに渡る熟練した技術が結集されており、高品質な素材の使用、卓越したクラフツマンシップ、ディテールに対するこだわり、全てを盛り込んだルイ・ヴィトンのアイコンモデルといっても過言ではない。
ブランドの定番、ヴィトンにおいて実際の高級稀少モデルは買いか否か
Reference:Aucdata
上記は、「旧オークデータ (2018.06.30終了) 」で、ルイ・ヴィトン 天然革ラインとその他稀少モデルのカテゴリーで、約 5 年間の総落札額及び平均落札額である。
まず、総落札額をみると、その他モデルは、年々取引額が増えており、2.5倍~3.0倍近く取引が増えている。一方、天然革ラインは、ここ5年間はずっと横ばいである。
また、平均落札額をみると、その他モデルは、ほぼ横ばいで推移しており、天然革モデルについては、上下しながらも、約10万円を超える事が多くなってきている。
このことから個人的な見解を言うと、ヴィトンの稀少モデルについては、比較的お買い得と思う。なぜなら、一目でヴィトンと分からないモデルも多く、かといって理解されても、モデル自体の知名度の面や機能や用途上の問題から触手が伸びにくいという障壁がある。
二次市場においては、より分かりやすいモデルが好まれる傾向があり、また売りやすいモデルに人気が集中する。逆に言うと、今回のような特殊なモデルは、状態が良い場合が多く、かつリセールも高く、数十万円のモデルが約半額で購入できてしまう。
そう考えると、女性へのプレゼントなどにも、最適なモデルが安価に買えるので、個人的には買いとしておきたい。
今回、彼女が最初に出した買取業者における査定額は、約 130,000~180,000円と非常に幅があった。数社ほど査定に出したそうだが、あまり芳しくない結果である。数が少ないこと、売りにくいことで、比較的査定額を安くされていたようである。
まあ、業者は足元を見るので、他店で言われた査定額を聞いて、若干値を上げながら、客の反応を見て安く買取しようと考える。ベースとなる査定額が低い場合、あまり値が上がりにくい。
私のように相場をある程度掴んでから、ベースとなる価格を高めに伝えておけば値が上がりやすく、赤字を覚悟できず、ビビッてしまう業者は、そこで諦めるので、非常に分かりやすい取引ができる。
ということで、私が査定を出した三社査定額である。
彼女が考えていた査定額よりも、一段と上位に位置していることが分かる。最終的に B 社にお願いし、納得のカタチに落ち着いた次第である。
あとは、業者が然るべき価格で販売し、転売を上手に行うことであろう。最も安く査定した業者と、最も高く査定した業者の差は、約 80,000円以上である。
ブランドの強さの証明とは、中古モデルとなっても、大金を掛けて欲しいと思うかどうかで、強さが客観的に把握できると思っている。
ルイ・ヴィトンおいては、高級ブランドを購入する際、入門となるブランドの代表である。初めてブランドを保有したいと思う人にとっては、最適といっても過言ではなく、扱いやすい優れたブランドというのは、いまだに変わることはない。