子育て中の女性でもオシャレしたいとき “背中で魅せる” 手軽な高級アイテムが欲しい
今回の事例は、ちょっとした偶然から、知り合いになった女性との話である。個人的に家財整理を行う中で、稀に非常に良い高級ブランド品と出会うことがある。
まだ夏の終わりか、秋のはじめ頃だったか、親族へのクリスマス用のプレゼントを探していた。いつもお世話になっている買取店で、店員の人としゃべっていると、最近「質流れ品」を入荷したと言う。
さっそく見せてもらったのが、今回の ルイ・ヴィトン ダミエ モンスリMM スペシャルオーダー オーダーモデルである。
店頭に並ぶ前のモデルで、販売価格よりも、大幅にリーズナブルで、未使用同然のブランド品を良く紹介してくれるので、いつもどおり購入予約を行い、その後購入の為に再び店頭に訪れた。
店内に入ると、店員と片手に子供を抱え、もう片方には、子供と手をつなぐ子育て中の女性が話し合いをしている最中で、何事かなと思い、店員と軽くあいさつを行い、しばらく待っていると、その女性から声を掛けてきた。
「あの ダミエ モンスリの購入をする人ですよね。」と聞かれ、私は軽く頷いた。話を始めたその女性が言うには、同モデルを譲ってほしいと言うのである。
詳しく訳を聞いてみると、昔からどうしても欲しかったヴィトンのモデルで、なかなか手に入れることができなかったこと。
これだけ状態の良いリーズナブルなモデルは、どこを探しても見つからなかったことを熱く語られ「私が持つべきだ」という主張を展開したのである。
どういうことかと店員に聞くと、ショーウインドーに飾ってあったモデルで、売約済みの札を掛けていたのだが、それでもどうしても欲しいので、購入予定の人が来るのはいつかを聞き出し、来た時にその人 (私) に直接聞いてみるという話の流れになったようなのである。
子育て中のその女性は、前回も「モノグラム モンスリ」を愛用しており、古くなりベルトが切れてしまい、買取を査定しに来たときに同モデルを見かけたようである。
交渉をしている最中にも、二人の子供はじっと私をみている。話の終盤に差し掛かった際に、女性の言った一言で譲る事を決めた次第である。
“毎日子供の事を考えているけど、外で唯一自由になる背中だけでもオシャレしたい”
なるほど。それはもっともな話だという事で、予約を取り消し、子育てを頑張る女性に、モンスリのスペシャルオーダー 稀少モデルを譲ったわけである。
そこで今回は、そんな彼女を魅了した知っている人には「とても稀少」である同モデルを簡単にではあるが記録しておきたい。
基本データ : ルイ・ヴィトン モンスリMM スペシャルオーダーリュック
- 開閉形式:ベルト金具/巾着開閉式
- シリアル:SP0043 ( 04 年製)
- 生産国:フランス
- 外側:ファスナーポケット×1
- 内側:オープンポケット×1
- 素材:ダミエ キャンバス
- 色:ブラウン×ゴールド金具
- 重量:約 700 g
- 付属品:純正保存箱・純正保存袋・カード類
- 購入元:ヴィトン直営店~質流れ
- サイズ:約 W 25.0cm×H 30.0cm×D 12.0cm
- ショルダー:約 66~72 cm (調節穴 5)
- 参考定価 (当時):約 150,000~170,000円 前後
さっそく「オークファン」を使って落札相場データを収集し、過去約 10 年間で、新品に近いモデルの落札相場を見ていこう。
取引数も少なく稀少で、価格に関しては下落基調であるが、未使用レベルは高額
取引上位の価格を見ていくと、 約 141,000 円が上限で売れているようである。それから徐々にだが取引額が下落している。
価格を調べていく過程で大事なポイントは、モデル全体の平均取引価格を知ることが重要である。平均価格は、約 90,000円前後である。
ルイ・ヴィトン ダミエ モンスリMM SPオーダーに関して分析を進めると、あまり市場では流通しておらず、モデル自体もあまり知られておらず、数も多くは出ていない。
その場合、非常に良い状態のモノか使い込まれた訳アリ品などに極端にわかれやすい。彼女の言う通りで、なかなかお目当てのモデルに出会うことができなかったのはよくわかる。
約 10 年間の平均価格帯は、約 90,000円前後なので、査定額を考えていくと、状態の良いモデルで、約 65,000~85,000円前後が買取査定額になってくることが、大よそ分かってくる。
それよりも、高額な査定額の場合は、非常に良心的な業者といえる。リセールバリューに関して言うと、約 70 %~前後と、まずまずの結果が得られそうなことが、データを見ると明らかになってくる。
リュックサックとして定番の設計、機能的なスタイルと効果的なダミエパターン
次に同モデルのデザインや機能面の簡単な説明をしておきたい。ダミエ モンスリMM SPオーダー の大きな特徴は、リュックサックとして定番の設計であること。
また、欧州ブランドに多くみられる「体型が合わないサイズ」ではなく、東洋人にも、ピッタリフィットすることが最大のメリットであろう。
リュック全体に施されたブラウンのダミエパターンは、一目でルイ・ヴィトンと認識できる優れたパターンである。全体を引き締める濃いこげ茶のレザーをポイントで上手く組み合わせている。
開閉面である「ベルト金具と巾着式」で、巾着部分が上部で、両面から織り込まれると女性らしいプリーツが特徴的なバッグとなり、さらにフラップをベルト金具で引き締め、リュック全体のデザインの統一性が図られている。
ショルダー面をブラウンのレザーの同色を使い、上品な女性の為に持たれる事を想定して、腰面に下部レザー面にうまくあたるように、優雅な表情を演出することに成功している。
楕円の金属製トップハンドルのデザインは、手にもって良いし、蒸れやすいシーンで手に提げて移動できる。
通常のレザーモデルは、重くなりがちであるが、同モデルは、約 700 g比較的軽く、数多くのレザーモデルの中でも軽量の部類に入る。
また内装は、シンプルな作りで、大きく収納力もあり、内部のポケットの装備が若干少ないが、コレで十分である。
すべて開き切る開口面は、大きく取られており、使い心地の良さは非常に高い。ただ収納する際に、二度手間となりやすく、瞬時の収納には適さない。
全面的にコンパクトで、日本人体型にあった大きさなので、比較的小柄な女性 (約160cmまで) でも持つことができる。
ただ、一点弱点を上げるとすれば、縦に大き過ぎる収納に関してである。縦長な収納となる場合、なんでも放り込むことができるが、同時に中で荷物がぐちゃぐちゃになりやすいのである。
上手く中で機能的な間仕切りなどがあれば、綺麗に収納できると思うが、シンプルに内部ポケットがひとつだけである。
その場合、袋の中に巾着を入れたり、小袋などを入れて簡易的に間仕切りをつくり、収納物を上手く切り分けた方が賢く収納ができるであろう。
また内装素材が、一般的な布材なので、水気がある場合、乾きが悪く、シミなどの跡が残りやすいのが、この素材の弱点である。
この場合、ビニール系の素材で、軽く内部を養生してから、小袋などで収納を切り分けると、非常に多くのモノを入れておくことができる。
ブランド企業の値上げ、中古品が減少しても、安定したヴィトンの相場
Reference:Aucdata
上記は、「旧オークデータ (2018.06.30終了) 」でルイ・ヴィトン モノグラム ショルダーバッグのカテゴリーで、約 5 年間の総落札額及び平均落札額である。
総落札額は、約 5 年ほど、約 2,000万円を上下している落札額であったが、最近は、約 2,000万円を切る数字となってきている。
同時に、平均落札額は上昇傾向となっており、約 5 年以上、40,000円を切らない安定した相場を形成している。
また、その安定の高さから、ブランド企業の値上げ改定、ヴィトンの人気高騰から、高額モデルを購入できる経済力のあるユーザー層が主な相場にみえる。
格差社会の恩恵を受ける人と受けない人の差が出やすいのが、ラグジュアリーブランドのカテゴリーである。そしてヴィトンの底堅いブランド力が見えてくる。
今回は、子育てをしている女性に購入権を譲ったが、購入価格に関して言うと、私より若干高く購入しているようである。
後で聞いた話であるが、それでも平均価格帯なので、非常にリーズナブルな価格で手にしたようで、彼女の満足度も非常に高かったであろう。
前回のピンク マトラッセ・チェーンショルダー の案件についても、今回のケースでも世話になった買取店なので、そのショルダーにおいても、彼女が購入を検討していたようである。
なかなかのバイタリティーのある女性であり、さすが子育てする女性は強いなと思う。ただ前回案件では、価格の面で折り合いがつかなかったようである。
ブランドの強さの証明とは、中古モデルとなっても、大金を掛けて欲しいと思うかどうかで、強さが客観的に把握できると思っている。
ブランドも含め、価値のある中古モデルは、人気投票と同じであり、状態の良いモノを一定の割合で割引されて買えることは、非常に魅力的に映るであろう。
高級ブランドを購入する際に、ルイ・ヴィトンは、入門となるブランドの代表である。初めてブランドを保有したいと思う人にとっては、最適といっても過言ではなく、扱いやすく優れたブランドというのは、いまだに変わることはない。