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【LVMH】モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン

【LVMH】モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、セレクティブ・マーケティング手作りの制約が高付加価値を生む

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LVMHのビジネス手法:扱う製品の生産における制約が逆に強みになる

 

高級ブランド特有の制約は、こうした生産における多くの制約により付加価値を生み、高い売価を維持する事につながっている。たとえば、ルイ・ヴィトンが、発展途上国の大規模工場で、オートメーション化で無機質で大量生産されていたとしたらどうだろうか。東南アジア製のルイ・ヴィトンであれば、数万円以上を支払うかどうかである。答えはノーである。

当の東南アジア諸国でも、自国でルイ・ヴィトンが作られた場合でも、そのモデルを疑う事であろう。伝統あるフランス・パリの工房で職人が手作りしたモデルでなければ、一度ルイ・ヴィトンを経験した顧客は購入する事はないのである。日本の低価格ブランドであるユニクロを買う多くの顧客が、フリースが日本製であろうと、東南アジアや中国製であろうと、気にはならない。

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それは低価格でソコソコの質が保たれていれば、どこで作ろうが満足感は得られる。そう、低価格はブランド自体を忘れてしまうのだ。そのユニクロもはじめて目にする進出する国で、高価格を謳うブランド戦略を展開している。日本で展開したように質もソコソコな低価格ブランドではないのである。やはりユニクロも高価格で商売したい下心は持っており、コレを以てブランド力を引き上げたい思惑は感じられる。

 

参照:UNIQLO
参照:UNIQLO

 

しかし一度低価格で始めたブランドは、高級を纏っていても、所詮は低価格が色気を出してきた程度しか見られないが、高級が大衆に降りてくる場合、多くは喜ばれて買われるのである。この違いは天と地ほどの差があり、ユニクロは経営をどんなに効率化して利潤を追求しても、ルイヴィトンには成りえない。ここにルイ・ヴィトンをはじめ、高級を傘下に組み込んでいく、LVMHのブランド戦略があるのだ。

 

アトリエのマルティエ(職人)でないと意味がない

 

マーケティングや流通に少し精通した人であれば、ルイ・ヴィトンをはじめ高級ブランドの生産方法をもっと効率化し、大量生産した方が良いという事も一度は考える事であろう。手作業を基本的に機械化する事は、一見便利で効率的に見えるが、実は顧客から見た場合、それは駄目で、手作業が良いのである。ルイ・ヴィトン一族が率いるアトリエのマルティエ(職人)でないと意味がないと考えるのである。

さきほどの話で、東南アジア製と欧州アトリエのマルティエ(職人)が作った高価格で同じ価格のブランドであれば、話を分からずとも、欧州ブランドを選ぶであろう。生産者の顔がイメージできると言うのはそういう事である。ルイ・ヴィトンの指定国のアトリエのマルティエ(職人)でないと意味がなく、製造シリアル付きである事がルイ・ヴィトンの証明なのだ。

 

 

ウージェニー皇后時代から伝統を引き継ぐマルティエたちが作ってこそのルイ・ヴィトンなのである。アジア工場の名もない縫子が製造に関わってはルイ・ヴィトンの意味がないのである。しかしLVMHも必死で職人を育て、増産体制をもって行きたいところだが、職人の技術は効率的に向上はせず、人間業である限り時間は掛かってしまう。

低価格ブランドではそんな事は待ってられず、すぐに自動化して、効率化しようとするだろう。だがルイ・ヴィトンの場合、多くの顧客は非効率な手作りを望み、顧客が待ち大金を払うからこそ、高級ブランドと言えるのだ。これは多くの高級ブランドでは大切な要素なのである。

 

セレクティブ・マーケティング戦略

 

セレクティブ・マーケティングはLVMHで言うところの生産量は限られた高級品を売るのに特化したマーケティング手法である。最近では新興ブランドや老舗ブランドの高付加価値の箔付けや古くからのリバイバル、低価格ブランドからの脱却を目指して、値上げして利幅を増やしたい多くの企業で実践されてきている。

一般的な企業である、製造を極限まで効率化して大量生産を以て、流通を最大限使い、多くの顧客により多く浸透させる事で、低価格でも経営が成り立つモデルとはまったく違う。生産という制約があるなかで、低価格しか手を出さない多くの大衆を相手にする商売はできない。この段階でマス・マーケティングは無理である。生産量が限られた高級品をより良く売るためのプロセスが、セレクティブ・マーケティングである。

 

制約の中で取りうる二つの戦略

 

1. ブランドの付加価値を最大化する

 

安価で販売する事に意味はなく、そのためにブランドシナジー効果を生む経営をする必要がある。お互いの顧客を奪い合わないポジション同士が、LVMH コングロマリットの優れたメリットである。市場で顧客を奪い合うのがブランドにとっていちばん痛みがあり、顧客の少なさから他のブランドに切り変えられるのは避けたい。

いかに市場での独自ブランド・ポジションを占めるか、また市場での独占を目指して多くのブランド掌中に収めれば、ポジションの奪い合いはなくなる。ルイ・ヴィトンのバッグと連動したプレタポルテの展開において、ロエベの革製のプレタ、ガリアーノによる若年層にディオールなど、それぞれの周期に応じたブランド展開が可能になり、各ブランドの時代に応じたポジショニングを微妙に調整しながら、付加価値を最大化していく。

 

2.セレクティブ・ディストリビューションの展開

 

高級品を求める人のところへ届けるセレクティブ・ディストリビューションの展開である。商社や問屋を通さずに自前で流通をコントロールし、販売する店舗までを自らのブランドに適するか、そぐわないかを吟味する作業である。グループ内の販売部門が担当し、セレクティブ・リテーリング部門が販売にあたる。

世界最大のDFSグループ、世界最初のデパートとして名高いボン・マルシェ、香水・化粧品流通チェーンやセフォラ、伝統あるデパートであるサマリテーヌ、さらにマイアミ・クルイセリン・サービシズなど買い集められた企業群を使う。セレクティブ・ディストリビューションというコンセプトは、欧州では法律で認められているが、日本でも同じように踏襲されている。

 

参照:Harrods Opens Its Own Louis Vuitton Store
参照:Harrods Opens Its Own Louis Vuitton Store

 

プレタポルテが名前こそ既製服とはいえ、高級ブティックの一店舗にアイテムが一着、多くて二着入荷するぐらいで、街角で自分と同じブランドの同じプレタポルテを着た人間と遭遇する事はあまりないという事である。これがユニクロや低価格ブランドであれば、同じブランドで同じ服という事も多く、恥ずかしい思いをする事も多い。遭遇が少ないということは、主要都市・人口100万人につき一店舗といった割合で配置しているからである。

最近ではネット販売でこうしたルールは緩くなってきているが、その高価格さ故、あまり遭遇する事はないのはこうした配慮が最初から徹底されているからであり、二次市場でも高価格を維持する事が可能になる。流行だけ追ってマーケティングテクニックに頼ったブランドではそうはいかない。
真のブランド力とは使えなくなっても大金を投じたいかどうかである
【LVMH】モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン:ブランド帝国の素顔

 

参照書籍:ブランド帝国の素顔―LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン

 

多くのブランドは、マーケティングテクニックと流通・メディアなどで説明が出来、約100年から200年以上の歴史や伝統があるわけでなく、流行と新しさを売りにする事で、セールスで押す事が多く散見される。この場合、二次市場で大きく躓く場合が多く、高価格の割に、転売利ざやは安く、マーケティングテクニックに頼った見せかけの高級ブランドというのが分かってくる。

本当の高級ブランドとは、二次市場で高付加価値(値段)がつくものが真に実力のある高級ブランドというものである。新古品や未使用品ではなく、使い古してボロが出ているモノでも、お金を払ってでも欲しいと思われるかどうかである。

それが高級の高級たる所以である。そのようなブランドは数えるほどしかなく、ルイ・ヴィトンはそのひとつであり、他にシャネルやエルメス、ウブロ、オーデマ・ピゲ、ロレックス、種類は違うが、メルセデス・ベンツ、ロールス・ロイスやフェラーリなども同じようなカテゴリーに入る。

壊れていても大金を投じて手に入れたいかどうかである。それが真のブランド力といえる。





 
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About 磯守 航史郎

食べる事と温泉・マッサージが好きな勤め人。過去には大小様々な職業につき、現在は不安定の中の安定を楽しんでいる昔から「変わり者」と言われた中年。 好きな分野は、ブランド戦略/建築・不動産/知的財産権/EC・オークション/金融・投資/カメラ/時計/モデルやアイドルなど、ジャンルは幅広いが、趣味や元家業・知人との関係で関わった事件が中心であり、現在は利害関係もなく、気軽にブログを書いている。テーマは知的財産権とブランドとの関係・市場での価格の関係、偽ブランドの撲滅など、高尚なテーマをより面白くしたいと努めている。

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